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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第9話】本物の魔法に大興奮!……からの、親友たちとの別れ

合流後、すぐさま野盗のアジトへのカチコミが開始された。

そして討伐は、エルウィンさんの言葉通り、文字通り『一瞬』で終わった。


一緒に捕まっていた子供たちがすでに奴隷商人に売られてしまっていた(後で騎士団が商人を追うことになった)のは心残りだったが、戦闘中、後方で見学させられていた俺とクレムは、別の感情で大興奮していた。


「おとなしく縛につけ、愚か者ども」

エルウィンさんが杖を軽く振るう。

(ま、魔法……すげぇぇぇぇっ!! かっけぇぇぇ!!)


詠唱すらなく放たれた凄まじい突風が、野盗たちを殺さずに空高く吹き飛ばしたかと思えば、地面がドロドロに波打ち、土の牢獄となって落ちてきた彼らを一瞬にして捕縛してしまったのだ。剣を振るう隙すら与えない、圧倒的な蹂躙だった。


帰り道、目をキラキラさせて大興奮で尋ねる俺とクレムに対し、機嫌を良くしたエルウィンさんは自慢げに魔法の概要を教えてくれた。

「魔法には火・水・土・風・光・闇・無の7つの属性があり、それぞれに得意不得意があること。そして、この国500万人の国民のうち、魔力を宿して生まれる魔法使いはたった『5千人』しかおらず、わたしはこのガバレリア領にいる300人の魔法師のトップ『魔法師の長』なんだよ」


(どおりで理不尽なくらい強いわけだ。500万分の5000って、超エリートじゃん! 俺もあんな風にド派手に魔法をぶっ放して、でっかい伝説を作ってやるぜ!)

俺の野心は再びメラメラと燃え上がった。


しかし、ゾル街へ帰還した後、俺のその野心は一旦強制ストップさせられた。

「エルウィンさん、俺、母さんに会いに行きたいです。隣村にいるんです。10年も待たせてしまったんだから、早く無事を知らせて安心させなきゃ……」

必死に頼み込む俺に対し、エルウィンさんは静かなプレッシャーと共に首を縦に振らなかったのだ。


「母親には、わたしの名で手紙と迎えの馬車を出す。君は、わたしと一緒に領主様の街であるガバレリアへ先に向かってもらうよ。いいかいカール君……君という存在は、君が思っているよりずっと『重要で、危険』なんだ。絶対にわたしの手元から離すわけにはいかない」


有無を言わさぬその冷徹な決定に、俺は唇を噛み締めて従うしかなかった。


そして、出発の朝。ジャック兄さんとクレムが、馬車の前まで見送りに来てくれた。

「カール、元気でな。お前ならガバレリアに行っても、どこへ行っても絶対に大丈夫だろ! 大物になれよ!」

「うん! ジャック兄さんも、本当にありがとう。元気でね」

事の重大さを理解し、俺を適切に上へ報告してくれたジャック兄さんと拳を突き合わせて笑い合う。


そして、クレムが俺の前に立ち、俺の両手をギュッと握った。

「カール君……僕、このゾル街に残ることにしたんだ」

「えっ? 村には帰らないの?」

「うん。昨日の、ジャックさんや討伐隊の大人たちを見て決めたんだ。僕も……強くなりたい。家族を、大切な人を自分の手で守れるように。だから、雑用でもなんでもいいから兵士の見習いにしてほしいって、お願いしたんだ!」


少し前まで檻の中で泣きじゃくっていたクレムの瞳には、もう逃げ出さないという強い意志が宿っていた。感銘を受けやすいクレムは、大人の強さにすっかり憧れてしまったらしい。

「……そっか。絶対、強い兵士になれるよ!」

「うん! カール君も、元気でね! 絶対にまた会おうね!」


(いつか必ず、誰もが知るデカい男になって二人に会いに来るぜ)

心の中で熱い野心を燃やしつつ、俺は手を振りながら、大貴族である領主様の街『ガバレリア』へと向かう豪華な馬車に乗り込んだのだった。俺の本当の試練は、ここから始まるとも知らずに。


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