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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第45話】魔槍の持ち帰りと、マッドサイエンティストの建前

俺たちは、森で見つけたあの青く光る『魔槍』を、母国リディアへ持ち帰ることに成功した。


どうやったかというと、オズワルドさんに「どうか、この槍を貸し出して欲しい!」と全力でお願いをしたのだ。

さすがのアストリア国トップ魔術師も、出所不明の怪しい遺物の取り扱いには悩んでいたが、最終的には「半年だけ」という条件で貸し出しを許可してくれた。

「国への報告は半年後にするとしよう。なに、グスタフへは昔から大きな借りがあるからね。今回の件で貸し借り無しだな。ふふっ」

(どんな恐ろしい貸し借りがあったのやら……汗)

俺は心の中で冷や汗を拭いながら、ありがたく魔槍を受け取ったのだった。


そして帰路。

俺は、本当に、本当に、本っっっ当にエルウィンさんのところ(ガバレリア領)へは寄りたくなかったのだが、こればかりは仕方がない。

もしこの超貴重な未知の魔槍を持ち帰ったのに、あのマッドサイエンティストを素通りしてリンギアに直行などしようものなら、後で冗談抜きに社会的に(あるいは物理的に)抹消される危険性があるからだ。


「でかした!!」


ガバレリアの秘密部屋で魔槍を見るなり、エルウィンさんは大喜びだった。

さらに、俺たちがアストリアの首都近くで新たに見つかった洞穴の跡地の話をすると、彼はあごに手を当ててしばらく考え込んでいたが、やがてパッと顔を上げた。

「……近隣国を含め、他にも同様の洞穴が現れていなかったか、極秘に調査させてみよう。その出現位置の分布を調べれば、手がかりが掴めなかった『エルティア』という国の場所が分かるかもしれない」

エルウィンさんは、もう隠しきれないほどのウキウキ顔だ。

光るスライムを捕獲して魔術師を増殖させるというヤバい計画が頓挫した今、どうしてこうも他人の厄介事に乗り気なのか? 俺はたまらず、素直に聞いてみた。

「未来の人たちに恨まれたくないだろう? 300年近く経って、あの時この危機に気づいた人達はなぜ何も対処しなかったのか?……ってね」

おぉっ。

俺は少し感動してしまった。エルウィンさん、そんな先の時代の未来人のことまで考えてたんだ。普段の変態的な言動からは全く分からないけど、やはり領をまとめる上に立つ人は視座が違う。少しは尊敬しないとな。

「まぁ、これ以上に楽しい……もとい、やり甲斐のある未知の事象など、私の人生で今後二度と出会えないだろうからね」ニヤリ。

「…………」

前言撤回。やっぱりこの人、ただ自分の知的好奇心を満たしたいだけのマッドサイエンティストだったわ。


その後、魔槍の解析も兼ねて、なんとエルウィンさんも俺たちと共にリンギアに向かうことになった。

道中の馬車では、大の大人エルウィンさんが子供のようにはしゃぎながら様々な実験を繰り返し、結果として「やはり魔剣と全く同じ未知の物質である」と結論づけた。


◇ ◇ ◇


アストリアへの旅から、約2ヶ月ぶりにリンギア魔法大学に戻ってきた。

「おお、カール! クレム! おかえり!」

「また模擬戦やろうぜ!」

学内を歩いていると、すれ違う同級生たちから次々と声をかけられる。

入学当初は奴隷上がりだと舐められ、トーナメント後は因縁をつけられたりもしたが、今ではなんだかんだで普通に受け入れられ、ここが自分の『居場所』になっているのを感じる。


学長には道中からすでに手紙で詳細を伝えていたので、大学に戻るとさっそく今後の検討に入った。

方針としては、やはりエルウィンさんが提案した「まずは近隣諸国の洞穴調査」となった。

グスタフ学長曰く、これに関してはわりとすぐ(1〜2ヶ月程度)で調査できるだろうとのことだった。国を跨いでの極秘調査や情報収集は、リディアの魔法師団の得意分野であり、すっかり慣れているらしい。(それはそれでどうなんだという気もするが)


そして、そろそろその調査結果が集まりそうになってきた頃。

カルバン領に帰っていたエルザも、ようやく学校に戻ってきた。


「大きなお土産を持って帰ったわよ」


教室の扉を開けるなり、彼女はそう言って不敵に笑った。

相変わらず自信に満ちた、腹黒で計算高そうなお嬢様の顔立ち。それを見て、俺はなんだかひどくホッと安心している自分に気がついたのだった。


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