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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第44話】大魔術師の肩透かしと、森に落ちていた遺物

アストリア国の首都、フィレンティア。

その中枢にある魔法師団の応接室で、俺とクレムはトップ土魔術師であるオズワルド師と対面し、簡単な挨拶と自己紹介を済ませた。


オズワルドさんは、立派な白いあご髭を蓄えた、いかにも「大魔術師」といった風貌の好々爺だった。

だが、その口から発せられた第一声は、俺の期待を粉々に打ち砕くような、あまりにも意外なものだった。


「グスタフにはすぐ手紙で返信したんだがね。君たちの探している『銀のヴォルク』について、私もまったく分からん、とね」


(なにーっ! 聞いてないよ! グスタフさん!!)


俺は思わずソファーからずり落ちそうになった。

どうやらオズワルドさんは、学長からの手紙を受けてわざわざアストリアの長い歴史を調べなおしてくれたらしい。だが、その上で「歴史上『銀のヴォルク』と呼ばれた人物はいなかった」という結論が出たのだ。


余談だが、アストリア国は歴史的に見ても優秀な土の魔術師が多く輩出される国らしい。

そして、それぞれの世代で優れた功績を残した土魔術師には、その実力に応じて『銅の**』『銀の**』『金の**』『白銀の**』という称号が国から贈られる文化があるそうだ。

ちなみに目の前にいるオズワルドさんは、『金のオズワルド』と呼ばれているらしい。

さらに余談だが、かつて歴史上に一人だけ、超級の土魔法を操る『白銀のユリウス』と呼ばれた伝説の魔術師がいたとのこと。


「ヴォルクという名前がない以上、銀の称号を持つ土魔術師ではないだろう。それでもグスタフが『彼らが知りたい事の根本につながるかもしれないから』と言うのでな、会ってみようとなったんじゃよ」

「そ、そうだったんですか」


答えを持っていないのに、わざわざ時間を作って会ってくれるとは。ありがたいやら、恐縮しきりである。


「グスタフのやつ、詳しい事情は本人たちから直接聞け、と言っておってな。その方が『面白いから』とね。かっかっか!」


豪快に笑うオズワルドさんの姿を見て、俺は(もしかして、トップ魔術師ってのはみんなこういう悪戯好きの性格になっちゃうのか?)と遠い目をした。


とはいえ、アストリア国の魔法師トップに会える機会など、一生に一度あるかないかだ。この機会を最大限に活用させてもらうつもりだ。

俺たちは、グスタフ学長と事前に話し合って決めておいた「話してもいい範囲」までの内容をオズワルドさんに説明した。


「実は、突然現れた洞穴ダンジョンの中で、300年後に起きる災厄のお告げを光るスライムから聞いたんです。そして、それを回避するためには『銀のヴォルク』に相談しろ、と。なんでも、エルティアという国が何らか関わるらしいのですが……」


もちろん、俺のレベルが30超えだの、時空のバグだのといった厄介な裏事情は色々と端折っている。


「うーん……やはり、その情報だけでは分からんのぉ。エルティアという国名も聞いたことがない」

その後、俺たちは色々と質疑応答を交わしたが、やはり歴史の知識からアプローチするのは難しそうだった。


俺が肩を落としかけた、その時だった。

オズワルドさんの護衛のため、部屋の隅に同席していた一人の騎士が、「発言をしてもよろしいでしょうか?」と声を上げたのだ。


「なんだね?」

「はい。実は10年以上前に、この首都近くの森に『突然、正体不明の洞穴が現れた』と報告されたことがあります。当時、私は街周辺の守備隊長をしておりましたので、部下を連れてその洞穴を調査しにいったことがあるのです」


(な、なんだってーー!!)


俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。

俺が落ちたあの故郷の森以外にも、同じタイミングで『洞穴』が作られていたとは!! 完全に予想外の衝撃の事実である。


騎士の話によれば、当時簡単に内部を調査した限りでは、特にモンスターが溢れ出してくるような問題や危険な罠が無かったため、上へ報告だけしてそのまま放置していたらしい。森のわりと奥深くにあったこともあり、誰もわざわざ近寄らないだろうという判断だったそうだ。


……というわけで、俺とクレムは後でその騎士に、洞穴があった場所へ案内してもらう事になった。


その後、念のためエルザが探している「アトミックブレイク」や「ドラゴンの心臓」の方も質問してみたが、光と闇属性が絡む話なので土魔法が主流のアストリアにはあまり情報が残っていないとのことだった。ドラゴンに関しても、アストリアの気候ではめったに見かけないらしい。


「せっかく遠い国から来てくれたのに、手ぶらで返すわけにはいかんな。彼らをその森へ案内してやりなさい」

オズワルドさんの粋な計らいで、わざわざ騎士の人を動かしてもらい、俺たちはその洞穴があったという森の奥深くへと足を踏み入れた。


案内されたのは、もう10年以上も前に現れたという洞穴の跡地だ。

俺の故郷のテルト村や、母さんが捕まったゾル街近くの洞穴を、消失した後に散々調べ尽くした俺からすれば、正直まったく期待していなかった。

どうせ、あのダンジョンは用が済めば綺麗さっぱり消え去る仕様なのだ。


そして目的地に着いた。

木々が開けたその場所には、やはり洞穴の入り口など存在せず、完全に『消失』していた。

いや、あったらあったで、単に自然現象で発生しただけの無関係な洞穴だということになるので、むしろ消失して”無い”方が、俺の知るダンジョンと同じ法則だと証明できて良かったのだが……まぁ、今さらここを調べても何もないだろう。


そう思って、ため息をつきながら視線を落とした、その時。


「……え?」


なんとそこには。

ジャック兄さんが手に入れたあの魔剣と同じように、淡く青色に光る『槍』が、ポツンと落ちていたのだった。


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