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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第41話】魔法の真理と、伝説の魔術師バルタザール

「君たち、当初の目的を忘れてないかい? 君たちの目標は『究極魔法』の再現だろう? そのための禁書庫だったはずだ」

グスタフ学長は、にこりと微笑んだ。


あ、そうだった(汗)。

俺自身のヤバすぎる秘密をカミングアウトして、すっかり全部終わった気になっていた。


「エルザくん。君がなぜその魔法を探しているか、その理由は聞かないよ」

学長は、少し驚いたように目を丸くしているエルザに向かって、穏やかに言った。

「ここは魔法師の国家資格を与える機関ではあるが、同時に『知』を追求する大学でもある。究極魔法を再現したいという知的探究心を、頭ごなしに止めることはしないさ。……まぁ、仮に理論を完成させたとしても、実際にそれを撃つのはもっとハードルが高いだろうけどね」


「さて、少し授業をしようか」

学長という立場上、生徒に直接教える機会が少なくなったグスタフ学長は、どこか楽しそうに目を細めた。

「新たな魔法を作るには、どうすればよいと思う?」


エルザが少し考えてから答える。

「属性の細分化か、属性の掛け合わせと、新たな詠唱でしょうか?」


なるほど、と俺は内心で頷いた。

水属性を細分化して氷魔法が派生したように。また、ついさきほどシャルロッテが見せた氷刃魔法が、風と水の掛け合わせだったように。これらを安定して再現するために、詠唱というシステムが必要になる。散々練習して詠唱が定着すれば、いずれ無詠唱でも魔法は放てるようになる。実に理にかなっている気がする。


「ふふふ。残念だが不正解だ」

学長は優しく首を振った。

「これは、この学校の6年間の授業でも教えない話だからね。知らないのも無理はない」

「新しい魔法を作るのに必要なのは……『イメージ』なんだよ」


イメージ……。たしかに、魔法の授業でも初めて聞く概念だった。


「私もそうだが、エルウィンも全属性が使える。もちろん得意不得意はあるがね。だが、たまたま私やエルウィンに全属性の才能があったわけではない」

学長は自らの手のひらを見つめながら語る。

「元々、魔法には属性などという区分はなかったんだよ。ある意味、無属性しかなかったと言ってもいい」

「己の大元にある魔力を、『イメージ』で作り変えていく……それが個別の魔法の正体だ。ただし、毎回すべての人が、一から頭の中でイメージを組み立てて個別魔法を生み出していては非効率極まりないからね」

「その工程を省略するために、後から『属性』と『詠唱』という枠組みが作られたんだ」

「ふふっ。面白いだろ? そうやって人類は、様々な魔法を産み出してきたのさ」


魔法の真理とも言える規格外のスケールの話に、俺たちはただ黙って聞き入るしかなかった。


「さて、話を元に戻そう」

学長は紅茶のカップを置き、真剣なトーンに切り替わった。

「君らが言う究極魔法とは、光と闇を掛け合わせた魔法だ。実はこれには、ちゃんと名前もついている。『アトミックブレイク』という魔法だ」


アトミックブレイク……! なんだか響きだけでヤバそうな魔法だ。


「この魔法、正確にどうやって発動するかの詳細な情報は失われている。だが、発動条件がやたらに厳しいことだけは分かっているんだ。複数人の光と闇の上級魔術師が必要なのと……発動のコアとして『ドラゴンの心臓』が必要になるのさ」


ド、ドラゴン!?

俺のテンションが思わず跳ね上がった。めっちゃ男子の血が騒ぐ激アツキーワードが出てきた!


「発動条件は極めて厳しいが、とんでもなく威力のある魔法が放てる……らしい」


そこで、ふと俺は疑問に思った。

(いくらイメージで作れるとはいえ、複数人の魔術師とドラゴンの心臓が必要な魔法なんて、最初はどうやって編み出したんだ?)


「イメージで作れるとはいえ、そんな特殊な魔法をどうやって作ったのか? と思っただろう」

俺の顔にデカデカと書いてあったのか、学長がふふっと笑う。

「この魔法を知った者は、皆がそう思うよ。でもね……実は、この魔法は『一人の天才魔術師』が編み出したんだよ」


ええええーっ!?

こんな化け物みたいな大量破壊魔法を、たった一人で編み出した!?


「当然だが、その天才がアトミックブレイクを発動するのに、ドラゴンの心臓など不要だった。純粋に、彼一人の魔力とイメージだけで撃てたらしい」

「……伝説の魔術師、バルタザール。その人だ」


バルタザール。

その重々しい響きに、俺はゴクリと喉を鳴らした。


スライム、世界のバグ、銀の時代、究極魔法アトミックブレイク、ドラゴン、そして伝説の魔術師バルタザール。

俺の脳みそは既にキャパオーバーでパンクしそうだったが、大師匠のありがたい(そして重たい)話は、まだまだ続くのであった。


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