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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第40話】二千年前のおとぎ話と、大人たちの決断

「『銀の時代』とは、今から二千年前に、たった50年間だけ存在していたと言われている時代の名前だ」

グスタフ学長は、遠い目をしてそう話し始めた。


「二千年前……そんな大昔のことですか」

「ああ。まだまともな文明がなく、正式な歴史書すら存在しない。ただの伝聞だけで語り継がれてきた歴史だよ」


学長の話によれば、その『銀の時代』は突然この世界に現れ、そして突如として消え去ったという。

しかし、そのわずか50年の間に、人類の文明は急激な進化を遂げたらしい。

なんでも、全身が銀色の見た目をした者たち(それが人なのか、人型のモンスターなのかも定かではない)が、『銀の城』と呼ばれる場所に住み着いていたそうだ。

彼らは外部との接触を極力拒んでいたため、余計に正確な情報が残っていない。

分かっているのは、その時代の偉人(あるいは人型モンスターの長?)たちが総じて『銀のほにゃらら』と呼ばれていたらしい……という、実にふんわりした伝説だけだ。


「いまとなっては、その話が嘘か本当かすら分からないし、銀の城がどこにあったのかも不明だ。……まぁ、二千年も前のまゆつばな話だ。少しくだらん話をしてしまったね」


学長は苦笑しながら紅茶を一口飲んだ。

「だから、現実的に探すのであれば、もう一つの『優秀な土魔法の使い手』の方ではないかと私は踏んでいる」


銀などの希少な鉱物を生み出せる特級の土魔術師。

学長の話によると、現在最も優秀で、かつ歴史の裏表など色々なことを知っているだろう高齢の土魔術師が、隣国にいるらしい。


「名を、オズワルド・ハワードという。君たちが4年生になってフィールドワークに出る時期になったら、急ぎアストリア国へ行けるように手配しよう」

「えっ、隣国にですか!?」

「幸運なことに、我がリディア国とアストリア国は現在良好な関係を築いているし、何よりオズワルドは私の以前からの友人だからね。紹介状くらいは書いてあげよう」


(すごい。さすがは元12魔術師にして魔法大学の学長! コネクションの規模が違いすぎる!)

真実かどうかも分からない二千年前のおとぎ話を調べるよりも、まずはそのトップ土魔術師へ会いに行く方が絶対に確実だ。よし、方針は決まった。


俺がホッと胸をなでおろしていると――隣で話を聞いていたエルザが、扇子を口元に当ててひどく難しい顔をしていることに気がついた。


「エルザ、どうしたの?」

クレムが心配そうに声をかける。


「……今の、銀の時代の話。少し気になる点があるわ」

エルザは考え込むように視線を落とし、ゆっくりと口を開いた。

「今や消失してしまった闇魔法の技術の中に、特殊な鉱石『オリハルコン』と呼ばれるもので作ったパペット(操り人形)を使役する技術があったそうよ。そして、そのパペットを『銀の騎士』と呼んでいたらしいの」

「銀の騎士……それに、オリハルコン?」


「ええ。私自身が探している『究極魔法』の調査のために、実家のカルバン領にある古い書物を読み漁っていた時に見つけたの。ほんの一か所だけ、その記述があったわ」


銀の騎士、謎の鉱石オリハルコン。そして、二千年前の伝説。

単なる土魔術師の異名よりも、なんだかそっちの方が『バグの尻拭い』という厄介事の匂いがプンプンする。さて、どうしたものか。


「……決めたわ」

エルザはパチンと扇子を閉じ、顔を上げた。

「アストリア国には行ってみたかったけれど、私はカルバン領に残って、その『銀の騎士』についてもう少し深く調べてみるわ!」


こうして、俺とクレムは隣国アストリアへ、エルザは自国のカルバン領へ。俺たちは高学年のフィールドワークで二手に分かれて調査を行うことになった。


一通りの調査方針が決まったところで、グスタフ学長は俺たち3人を真っ直ぐに見据え、学長として、いや、大人としての威厳を持って告げた。


「さて。本件については、今後は私たち『魔法学校』が預かることにする。エルウィンやガバレリアの領主であるエドヴィン侯爵には、私からうまく伝えておこう。光るスライムを捕獲・養殖して、規格外の魔法使いを量産しようというガバレリアの目論見は、どうやら無理そうだからね」


状況を考えるに、もう光るスライムが発生する洞穴は現れそうにない。

よって、争奪戦にもなりえないのだ。


「それに、300年先の脅威……しかも、それが本当に起きるかどうかも分からない不確かなものに対して、国や領が動くのは無理があるだろう。」


学長のその言葉に、俺とクレムは深く安堵の息を吐いた。

全部を丸投げできるわけではないが、魔法学校にいる頼もしい大人がバックについてくれるというのは、とてつもなく心強い。


「……さて。少し話が変わるが」


グスタフ学長は、ふぅと息を吐き、今度はエルザの方へと視線を向けた。


「エルザくん。君がずっと探しているもの……『究極魔法』に関しても、私は一部だが答えをもっている」

「……っ!」

エルザの肩がビクッと跳ね、その青い瞳が大きく見開かれた。


「今度は、そちらの事情を説明しよう」


(まだあるのか……!)

スライム、世界のバグ、銀のヴォルク、オリハルコン、そして究極魔法。

怒涛の情報量に俺の脳みそはすでに限界を迎えそうだったが、大師匠のありがたい(そして重たい)話は、まだしばらく続くのであった。


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