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スライム食ったら世界を救うことになった  作者: エリト


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【第34話】予想外の強敵と、腹黒美少女(本家)からの作戦会議

試合後、闘技場の端で目を覚ましたヴェルナーから、親の仇のようなものすごい形相で睨まれているが……まぁ、無視である。


次は、準決勝第2試合。クレムの番だ。

さぁ、応援応援!(ヴェルナーの視線が背中に刺さってめっちゃ気になるが、汗)


ここでクレムが勝てば、あとはもう決勝で俺とクレムが当たるだけ。どちらが勝っても「学長へのお願い」が手に入るので、実質的には消化試合になる。

いつもクレムとは二人で魔法や体術の練習をしているから、お互いの手の内は完全に知っているし、手加減も慣れたものだ。


実は、試合前に二人で話し合って「ここはクレムに優勝してもらう」ということに決めていた。

正直、俺はすでに物理的な勝ち方で悪目立ちしすぎている。ただでさえスライム由来の規格外ステータスを隠さなきゃいけないのに、これ以上注目を集めるのはマズい。だから、クレムに華麗に優勝してもらって、少しでも俺への話題を逸らしたいのだ。


さぁ、クレムよ。決勝で会おう!


……と、余裕ぶって話していたら。

まさかまさかの、クレムが負けてしまった。


相手は、シャルロッテ・ヴィヴィアンという女生徒。彼女相手に、まさかの敗北を喫したのだ。


クレムは俺と同じく光属性は得意だが、無属性の扱いは俺ほど極まってはいない。とは言え、ガバレリア領でジャック兄さんに憧れ、立派な兵士を目指していたこともあり、今も体術や剣術の練習には熱心に取り組んでいる。身体強化を駆使した肉体戦のレベルは、学年でもトップクラスのはずだった。


別に、紳士的な騎士として可憐な女生徒に手を出せなかった……というわけではない。クレムは普通に全力で闘った。そして、純粋に負けてしまったのだ。


シャルロッテは水属性の使い手で、特に氷の魔法を得意としていた。


ここで俺は、非常に恥ずかしい事実を初めて知ることになる。

俺がさっきまで調子に乗って連発していた光のレーザー魔法『ア・レイ』は、なんと氷魔法に弱いらしい。

……と言うか、氷の鏡面で「反射される」ということを初めて知った(汗)。


遠距離からの光線ア・レイを氷の盾でことごとく反射され、攻め手を欠いたクレム。

さらに彼女は風魔法も得意としており、風の推進力を使って一気にクレムの懐へと近づいてきた。そして、風と水を組み合わせた鋭い「氷刃の魔法」で、クレムの防御を切り裂き撃破したのだった。

クレムの強固な魔法防御をたやすく破るあたり、あの氷刃には相当な攻撃力があったのだろう。


試合終了の合図が鳴っても、シャルロッテは元々のクールなタイプのまま、涼しい顔をして闘技場を後にしていた。


(こりゃ参った。思わぬ強敵が現れちゃったなぁ……)


ちなみに、クレムは試合で氷刃を受けて大ケガをしたものの、自身の得意魔法『ヒール(回復魔法)』を使って一瞬で傷を治療していた。

正直なところ、試合のルール度外視で「治療アリでのデスマッチ」なら、クレムは最強の回復魔法によるゾンビ戦法が使えるので、最終的には勝っていたと思う。だが、ここは学校のトーナメント。致命傷を受けた(と判定された)時点で試合終了なのだ。


(クレムと俺、基本スペックは似てるんだけど、あの反射と氷刃相手に俺勝てるかなぁ……)


俺は光と無属性のゴリ押ししかできない。氷でア・レイを反射されるとなると、かなり厄介だ。

ちょっと不安になって控室で頭を抱えていると、不意にエルザが声をかけてきた。


「ちょっと、よろしくて?」


気位の高い令嬢のような口調。

(ん? なんだ、キャラに合わないが、かいがいしく応援でもしにきたのか?)

と俺が顔を上げると、エルザは扇子で口元を隠しながら、冷ややかな声で告げた。


「シャルロッテごときに負けてもらっては困るわ」

「……え?」

「あの女、クールに見えて、私に一方的にライバル心を持っててね。いずれ私をやりこめてやろうと虎視眈々と狙っている、とんでもない腹黒よ」


(おまえが言うのかよ!)


俺は危うく特大のツッコミを口走りそうになったが、なんとか奥歯を噛み締めて飲み込んだ。どの口が言ってんだ、この学園一の腹黒女が。


「私に良い案があるわ」

エルザは扇子をパチンと閉じ、ギラリと光る青い瞳で俺を見据えた。

「禁書庫への入室許可……私たちの『報酬の件』もかかっているのだから、絶対に負けたらだめよ」


せっかくの決勝戦、身内同士の気楽な消化試合だと思っていたのに、急きょガチの強敵と戦うことになってしまった俺。

しかも、エルザの個人的な因縁(?)と、絶対に負けられない裏の目的まで背負わされるハメに。


果たして、カールはシャルロッテに勝って無事に禁書庫への入室を勝ち取れるのか!

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