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第33話~ルイスとの再会~

 音の反響で周囲を探る。近くにある大きな空間へ向かう途中、大きく羽ばたく音が大きくなってくる。その空間の真ん中でティーブとカルミアは剣を抜き払い、メグは手の平から炎を灯す。


「ファニー様。お下がりください」

「姫。共に逃げましょう」

「ファニー。どこか教えて。今度こそ溶かし尽くすから」


 4人は互いに背中合わせに立つ。翼の音は突然止まり、敵の息づかいすら聞こえなくなってしまう。2つの剣と1つの弓がその向き先を見失う中、メグだけは悠然と炎を強める。


「ファニー?」

「メグ、あそこ。天井」


 呼びかけに応じ翼の音が消えた方を指差す。すかさず打ち込まれ炎は激しい音を立てながら飛び、天井を焦がす。まるで日の光のように燃え上がって、空間全体を光に染める。


 思わず目を覆ってしまうほどの光の中で、燃え落ちるいくつもの影。次の瞬間、その影もろとも炎が一点に吸い込まれていく。


「ありゃりゃ」

「姫。炎を喰らう者を喰らうは我が剣の花」


 螺旋を描く炎の先には、真っ黒なガーゴイルの口。決して焼かれたわけではないような、みずみずしさすら感じる肌。

(あれは、炎を食べてる?)

 部屋が一気に暗くなる。1人で突撃していくカルミアの後ろから、闇に消えゆく黒い魔物に矢を放つ。


 敵へ一直線に飛び、そして吐き出された炎に瞬く間に消されてしまう。


「へ〜、面白~い。私も行くね。ファニーのこと、よろしく」


 足元から炎を出したメグは、軽やかに空中を蹴っていく。自ら作り出した剣の花を足場に敵に迫るカルミアの後ろから、ゆっくりと上がって行った。


「行こう」


 空を飛べないファニーは、共に矢を射抜くために前に出た。黒いガーゴイルに散った剣の花はティーブが薙ぎ払い、炎を目印に臆さない。

(熱っつ)

 天井で爆ぜたメグの炎。剣の花も溶け落ち、枯れた切っ先が宙を舞う。再び真昼のように明るくなり、敵の姿と異様な光景をハッキリととらえる。


「なにあれ?」


 そこにあったのは、天井まで届く巨大な一輪の剣の花。その上の人影はカルミアで間違いなく、花弁の上を走っている。


 放たれた小さな剣の花は、黒い翼で弾かれてしまう。火花を散らしながら聞こえるのは激しい金属音。合間を縫うようにメグの炎が飛ぶが、剣の花まで溶かしている。


 その真下でファニーは弓を構えた。散りゆく剣の花が次々に落ち、こぼれ落ちたメグの炎も共に落ちている。その下で身をかがめ、全てをティーブに防いでもらいながら敵を狙う。


 戦い動き続ける敵に、なかなか狙いを定められない。それでも感じるパターンを見て取りながら、防ぎきれずに顔をかすめる花と炎を無視し、絶対に外さないように集中した。


 メグが炎を放つタイミング。敵は動きを止め、また吸い込もうと口を大きく開ける。その瞬間にファニーは。口の中を狙い矢を放つ。


 グギャァァァ。


「おぉ〜当たったね〜」


 敵の苦悶の声と、耳元で騒ぐアスチルベの声、そしてその間もティーブが黙々と剣を振るう音。


「ティーブ、ありがとう。一旦離れよ」

「かしこまりました」


 大きな隙を作り出せたはず。剣の花と炎の猛攻をさばき続けていた敵は口から矢を引き抜こうともがく。より激しく降り止まない剣の花と炎をかいくぐり、元の場所に戻っていく。


 十分離れた時、炎が天井から落ちてきた。床で激しく燃える炎。その中に見えるのは、剣の花に串刺しにされている黒いガーゴイル。炎は消えることなく激しく燃え、剣の花を溶かし、そして敵の体も溶かし尽くしていく。


 そのはずだった。


 決着したと思った瞬間。どこからともなく飛んできた水の塊によって鎮められてしまう。


「リズ、さん?」


 そこにあるのはリズの青い髪。アスチルベはすぐに、隠れるようにポケットに入っていく。炎は一度消え、訪れたのは完全な闇。メグはすぐに炎の明かりを灯し、すぐに明るくなっていく。


 そして何故か。黒いガーゴイルのすぐ横にルイスが立っていた。


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