表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/94

第31話~ティーブとの再会~

投稿が遅くなり大変申し訳ございません。

インフルエンザにより活動を休止しておりました。

本日より再開しますので引き続きよろしくお願いいたします。

 炎で攻撃していたのが噓のように、メグは軽い足取りで歩いていく。それに引っ張られるファニー。辺りは次第にただの洞窟ではなく、ところどころに朽ちた建造物が残るドワーフの遺跡に戻り、カルミアに先導されながらしばらくさまよった。


「あっティーブ」


 やっと見つけた従者の姿。大声で呼びかけようとして、なかなか声が出ない。小声で呟くだけだったが、隣でメグがまた口元をゆがませていた。


「ファニー様。ご無事でしたか」

「う、うん。心配かけてゴメンね」


 いつもと変わらないはずのティーブの真剣な眼差しを、直視できない。目を逸らしたまま、ずっと深呼吸を続けていた。


「どうかなさいましたか?お怪我でも」

「ううん。そうじゃない、大丈夫」

「左様ですか」


 ティーブはうろうろしながらファニーに視線を向け続けた。無遠慮な眼差しから身をよじらせて逃げようとしたところ、両肩をしっかりと手で掴まれ固定されてしまう。

(メグ。ニヤニヤしすぎじゃない?)

 手をどけながら振り返ると、目を輝かせるメグがいた。ウィンクしながらアゴでティーブのことを示している。


「ファニー様?そちらの方は」

「あっそうだね。メグ、赤の賢者なんだって、えっ、ちょっ」


 途端に剣を抜き払うティーブ。カルミアのことを睨みつけながら、剣の切っ先はずっとメグに向けられていた。


「ファニー様。こちらへ」

「えっ?えぇ?」

「赤の賢者は敵と聞いています。カルミア様、なぜ連れてきたのですか?」

「姫が望むこと」


 ファニーが咄嗟に見たのは、メグの炎。剣を向けられた相手を、焼き尽くそうとしてしまうのではと思ってのこと。


「ティーブ違うの」

「それは、ご説明いただけるでしょうか」

「メグは敵ってわけじゃないよ。ちょっと意見が違うだけで、良い人だから」

「そうで〜す。ファニーとは友だちになったの〜」


 抱きつきながら頬をすり寄せるメグ。目をパチクリさせながら何かを訴えるような目になるティーブ。


「これは、その」

「ティーブ君、わかりやすく説明してあげるね。赤の賢者の私はね。ルイスの敵、だ、け、ど、ファニーの友達で味方なの」

「それは、あっと、あの」

「ねぇ、どうする?私はルイスを傷つけるかもしれないけど、私を傷つけるとファニーも傷ついちゃうかもよ?」


 後ろから抱きつきながら話すメグの声は明るい。炎の明かりも踊るように周りを飛び回っていた。

(なんだか楽しんでない?ルイスの敵なんて言って)

 本心で敵だと言ったわけではないだろうとファニーは思っていた。なのであえてティーブを困らせるように話しているようにしか聞こえない。


「意味がわかりませんが」

「ふ~ん、わからないの~?ファニーは友達を大切にするでしょ?だから友達の私を傷つけたらファニーも傷つくのよ。ね~」

「ちょっと離れてよ~」


 後ろからさらに強く抱きしめたメグは、ファニーの耳元でひそひそと話し始める。


「ねぇねぇ。ファニーはどう思ってるの?」

「なんのこと?」

「またまた~。ティーブの気持ちに決まってるじゃん。普通のガーダンなら、もっと素っ気ないよ」


 完全に固まってしまっているティーブ。ふと目をやると、アスチルベは炎の明かりと一緒にくるくると楽しそうにしている。


「ルイスの敵って、嘘だよね?」

「ごまかさないの。ほら見て。どういうことか理解しようとしている。普通のガーダンなら、あんなに頭を悩ませたりしないよ」

「そ、そうかなぁ」


 剣の切っ先だけは油断なくメグに向けられ続けている。

(普通なんて言われても、そんなの知らないし)

 ティーブ以外のガーダンと会ったことも話したこともないファニー。2人が戦い始めてしまわないかと気が気ではない。


「ねぇティーブ。剣をしまって、大丈夫だから」

「し、しかし」

「ファニーはガーダンのこと教えてもらってないの?こんなことありえないはずなんだけど。それこそファニー恋してないと」

「えぇ?」


 メグのことをずっと睨みつけ、剣を降ろそうとしないティーブ。炎の明かりはほんのりと暖かいまま。


「では、どうして、どうやってここに来たのか教えていただきましょう」

「どうしてって、お姉ちゃんを追いかけてきただけ。どうやってって、昔来たことがあるから抜け道がいくつかあるの」

「ルイス様もリズ様も、抜け道などご存じありませんでした」

「そりゃそうだよ。昔ここで戦ったのは私だけだもん」


 目を細めるティーブの剣の切っ先がわずかに揺らぐ。合わせるように炎も静かにゆらめいた。そして剣は、静かに下ろされた。


「わかりました」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ