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作家さんの集まるパーティーなるものに参加してみた

 私の名前は二日市とふろう。

 どこにでもいる普通のなろう作家である。

 そんな私だが、書籍化されて一応先生と呼ばれる身となったのだが、デビュー時は例の病気の真っ只中。

 パーティーなるものに出たことがないのである。

 そんな中、やっとパーティーが開かれたので参加する事に。

 これは、参加した感想ついでにPRを兼ねたエッセイ風日記である。



 お昼に福岡空港を発ち、15時に羽田空港に到着。

 何が困るかというと、着ていくものが分からない。

 なお、かつてSF大会でジャケットを着ていったら暑くて熱中症になりかかり、地下鉄に鞄を忘れかかるというポカをやらかしたので荷物は少なくしたい。

 という事で向こうで買う事にする。

 今回の宿は行き帰りが羽田空港なので蒲田をチョイス。

 そこで服でも買うかと羽田空港出口を出たら目の前にある『ユニクロ』の文字が。

 商売上手だなぁと思いながら服を買って宿に。



 最近は東京の宿も高くなったが、先に予約していた事もあってお値段は一泊7000円ちょっと。

 書籍化の際に初めて東京で泊まった宿が2000円のカプセルホテルだった事を考えると出世したなぁと思いながら少し仮眠をとって会場に。

 今回のパーティーは『日本推理作家協会』の新年会。

 私はこの協会員なのだが、お前推理作家じゃないだろうというツッコミは十二分に分かっているので理由を言わせてほしい。

 文美の為である。

 文美こと文芸美術国民健康保険組合は作家になった際に入れたらお得な国保なのだが、入るためには紹介が必要というボッチにはかなり厳しいものだったりする。

 その紹介でSF大会で知っていた先生の名前を出して入り、去年さいたまで行われたSF大会で頭を下げに行ったのはいい思い出……話がそれた。

 とまあ、入れたのはいいが、畑違いなのは重々承知。

 私の本来の畑はSF系の架空戦記畑なのだから。

 とはいえ、パーティーには出てみたいのでホイホイとエントリーしたのである。



 で、会場に到着。

 神保町の出版クラブ三階ホールで紳士淑女が100人ばかり集まっており、少し遅れた私はなんとか乾杯の挨拶に間に合った所で気づく。


……誰も知り合いがいない。

……これ、ぼっちで料理食べて帰るだけで終わるんじゃね?


 やばい事この上ない。

 わざわざ福岡から飛行機に乗ってやってきたのだから、ここの料理は他の先生に比べても私は高いのである。

 元はとらねばと決意し、名刺のばらまきを頑張る事にする。

 まずは何はともあれ最初の一人に名刺を渡せば後はなんとかなるのが経験で分かっていた。

 とはいえ、ボッチでトークデッキもある訳もなし。

 ウーロン茶とオレンジジュースを片手にうろうろとしていたら某社の方を見つける。

 しめた。


「〇〇〇〇サンですね。名刺交換させてください」


 何がしめたかというと、ここ小説投稿サイトを運営している大手だからである。

 なろう転載の形で私はそこにアカウントを持っているので無下にはしないだろうとの読みもある。


「なろう作家の二日市とふろうと申します。

 そちらのミュージアムの図書館で私の本をピックアップしてくださってありがとうございます。

 私〇〇〇〇にも転載してまして。

 〇〇〇〇コン今やっているんですよね?

 それにエントリーするかどうか迷っていまして……」


 そんな感じで名刺げっと。

 一人もらえれば、こんなトークデッキを入手できる。


「今日は何人いらっしゃっているのですか?

 できれば全員に名刺をお渡ししたいのですが……」


「先ほど〇〇〇〇の▽▽さんから名刺をいただきまして……」


 そんな感じで出版社は三社ほど名刺をばらまくことに成功する。

 なお、大手は各社10人ぐらい来ていたので、全員にばら撒くのは無理だった事をここに残しておく。


「おや?

 あの方SF大会で見たな?」


 偶然、見知った顔を見つける。

 たしかサイン会で一緒だったのだが、名刺交換などはしていなかったのだ。

 いい機会なので、挨拶をして名刺を交換する。


「失礼ですが、たしかSF大会に来ていらっしゃいませんでしたか?」


 その方から重大情報を入手する。

 この情報本当に助かったのである。


「たしか何人かなろう作家さん見かけましたよ」


 それはしめたもの。

 同じなろう作家なら無下にしないだろうと会話に聞き耳を立てる。

 この時の私は『幽霊のように存在を消しゴキブリのように図々しく』と心の中で呟きながら会場の中を泳ぐ。

 で、お目当てのワードを耳に捕らえた。


「……なろう……」


「失礼ですが、今、なろうとおっしゃいませんでしたか?

 私もなろう作家なんですよ」


 かくして、その方の紹介で名刺を配る事に成功したのである。

 で、一度その手のサークルに入ればあとは会話勝負となる。

 あるものである。会話デッキ。


「遊郭の研究をしていまして……」

「私は戦国期の遊女を調べて博多や長崎の遊郭……」


「今度警察の話を書く事に……」

「公安ですか?外事ですか?」

「警視庁の……」


「そのお名前、もしかして福岡県ですか?」

「ええ。西鉄沿線の駅からいただいて」

「昔、あのあたりに住んで……」


 パーティも終わり、そんな感じで満足して会場を出る。

 で、出て主張する腹の虫。

 参加費を払ったはいいが、料理にほとんど手をつけていなかった事を思い出す。


「じゃあ、秋葉原駅中の新田毎で蕎麦でも食べて帰るか……たしか春菊の揚げ物を入れると世界が変わるとかなんとかTwitterで……」


 たしかに世界が変わるぐらい美味かった。

 で、宿に転がりバタンキューの後これを書いている。


 怪しげなごく普通のなろう作家の私を相手にしてくださり本当にありがとうございました。

 改めてここにお礼申し上げます。

なお、これをネタにこの後お礼状を書く予定

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― 新着の感想 ―
[一言] 作家さんのパーティーってこんな感じなんだ……! と、読んでいて面白かったです(´ω`*) やっぱり書籍化作家さんは名刺持っていらっしゃるのですね! かっこいいですv そして秋葉原の駅中にそん…
[一言] 完全ノンフィクションというわけではないのでしょうが、『作家という職業の社会人』の在り方、また生活というものの一端が感じられました。 コミュ力というか会話、大事ですよねえ… 特に取材という面に…
[良い点] 実に正しい作家さんですね。 作家とは多くの人が面白いと思うものを書く仕事です。面白い、読みたいと思うからこそお金を出して買うのですから。 ということは、多くの人が好印象を持つ文章を書かない…
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