2話
護衛として、馬車の周りにいた女性冒険者十人は、コタローに会えることを楽しみにしていた。
コタローの噂を耳にしていたからだ。
黒髪黒目の真っ黒な格好をした男は、普段ゲスで卑猥な目を向けてくる腐ってもAランクの男を、言葉と威圧だけで泣かしたと。
そしてそれを成した男は、Dランクのコタローという男だと。
また、Dランクでありながら、当時のDランクパーティー「レッドボンド」をBランクに導いたと。
噂の正確性は兎も角、単純に憧れていた。
何故今回コタローに会えると思ったのか。
それは
リバーシ関連の商人が顧客情報をダークエルフ姉妹に渡していたから。
米を欲しがる変......珍しい客。
コタローというDランク冒険者で黒髪黒目。
今回の護衛依頼はたまたま。
ダークエルフ姉妹からの護衛依頼を受けることは多々あった。
女性だけの冒険者パーティー。
数は限られてくる。
信頼関係は既に出来上がっていた。
旅の途中、姉妹から聞かされる目的。
胸が高鳴っていた。
噂の人物に会えると。
しかし、目の前でコタローと思しき人物から、お金が入っているであろう袋を受け取ったダークエルフ姉妹が、大泣きしている。
冒険者たちは、沸々と怒りに似た感情を抱き始めながらも、姉妹を慰めようと近づく。
ガチャンッッッ
姉妹の手から袋が落ち、袋から大量の金貨が顔を出す。
やあ!
と。
その瞬間、理解させられてしまう。
冒険者たちも金貨で殴られてしまった(比喩)のだ。
陥落である。
自分の心を護らなくて、他人を護れようか!
護衛を名乗れようか!!
......知らん!!
陥落である!!
チョロいのである!!
コタローは一人オロオロしていた。




