辺境の鍛冶屋ですが、王国で無双します
そうして、国王直々に学園に招待された俺は、自分の馬…漆炎に乗って王都にやって来ていた。持ち物は、マジックボックス…中級魔法に位置する、便利魔法…それに入れている。ただ、これはあまりバレない方がいいだろう。なにせ、中級魔法の中でも習得の難しい魔法だ。学園を卒業する年になって初めて習得するような代物である。その辺の上級魔法より難しいらしい。
と、そんな事を考えていた。そして思った。今から王城に行っても怪しまれるな、と。しかし、国王から手紙で言われた通りなら、一旦王城に入ってから学園に案内されるはずだ。それはつまり、王城へ誘導してくれる人間が必ずいるはずで。
『お待ちしておりました。海叶殿。』
…そいつは、そこにいた。灰色がかった髪、同色の髭…そして、勲章の付いた軍服、長年、教育が施されたであろう洗練された礼儀。間違いない…王城への誘導役は、こいつだ。
「あぁ…で、国王の言う限りでは俺は王城に行くんだよな?」
馬から降りながら、俺はそいつに問う。
『それで間違いありません。まず、王城にて国王との謁見、王子との面会が済み次第学園の寮へとご案内します。」
その男はニッコリと笑い、俺の問いに答えた。
相変わらず、堅苦しいな…と思いながら、馬の手綱を緩める。
「別に、敬語でなくてもいいんだがな。…それよりも、何故俺が王子に会わないといけないんだ…もう二度とあの面は見たく無いんだが。」
この国の王子…いや、正確には"元"王子だが、俺にはそれを毛嫌いする理由がある。
『すまない。ただ、国王が貴方に会ってほしいと言うものでな。』
…いきなり敬語を外したこの男と俺の仲が良い理由…それは、こいつは俺の第二の親だからだ。とは言っても、実の親、というわけじゃない。初めて王都に来た時に世話になって以来、こっちに来た時に面倒を見てもらっていたというだけだ。俺はこいつを気に入っているし、こいつも俺を気に入っている。
「分かってるよ。俺の事情を知っていても、あんたが国王に頭が上がらないって事ぐらい……まぁ、なんでもいい。取り敢えず、王城に案内して欲しい。」
『わかった。ついて来てくれ。…馬には乗っておけよ。お前の名誉の為だ。』
その男は、筋骨隆々と言える、その愛馬に跨る。俺も同時に、漆炎に跨った。
「分かってるさ。馬に乗れる事と位の高い事がイコールになっているこの国の仕組みはよく分からんが、な。」
そうして、俺たちは王城へと向かった。
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(' . '/作者、参・上!
はいはいはいはいはい!こんにちはこんばんはおはようございます!最近クトゥルフ神話TRPGのシナリオを通過した作者です。作者さん、尊敬しちゃいました。とてもいいシナリオでしたからね。
てことで、後語りでもします。
今回、結構話が飛んだと思います。家で手紙を見たところからいきなり王都に来たところまで吹っ飛んだので。ただ、これも現在連載中の喜怒哀楽の四十奏から学びました。さっさと次の展開に移らないと、永遠に先に行けない事がわかりましたので…
と言う事で、四十奏の方も1、2話だけ挟んでそのまま次の展開に吹き飛びます。
なので、皆さん楽しみにしておいてください!
それでは、adiós!