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嵐の前の静けさ

永井兼人はふと目を覚ます。

何時間眠ったのだろうか。多少はましになったとは言え体にはまだ熱っぽさとダルけが残っていて自分の血液に鉛が入ってるがごとく体が重い。そして母親が帰って来たのかリビングからは物音が聞こえる。窓に目をやると外は暗くわずかながらの街灯の光が、カーテンの隙間を通り兼人を照らしていた。

今は何時だろうか・・わずかながらの光を頼りに枕もとに置いていた携帯をつかみ今の時間を確認すると携帯は夜の21時30分を指示している。時間を見終え画面を消そうとしたときおもむろに連絡先を開いた。その連絡先の一番下には、濱中美紅の文字がある。

今日の出来事は夢じゃなかったのか。

そう思うと同時に発信ボタンを押し携帯を耳に押し当てる。

携帯から聞こえるコール音は無機質に鳴り続け、耳を通り鼓膜を通過して脳を震わせ熱でぼんやりとした兼人には永遠のように感じさせた。

すると突然コール音が止み電話の向こうから声が聞こえる。

「もしもーし。風邪大丈夫?」

間違いない、携帯の向こうから今日の昼に出会った濱中美紅こと、みくねえの声が聞こえる。

「うん、大丈夫。今日はありがとう」

鼻声気味の声で返答した。

「あいよーどういたしまして。でもすんごい、鼻声だけどほんとー?電話はうれしいけど体調回復した時でも良かったのに」

「へへっ、ちょうどさっき目を覚ましたし真っ先に、みくねえの顔が浮かんだから」

「あーね。とりあえず今日は寝て明日には元気になれるといいね。私今ニート中で暇だし見舞いに行こっか?」

「え、いいの?うれしいなぁ。ありがとう」

「じゃあ明日のお昼におやつ片手に尋ねるよ。それまではゆっくり休んでてね」

「うん、待ってるね。じゃあもう一回寝るよ。おやすみ、みくねえ」

「はーい。おやすみーけん」

そう言うと電話が終わった。

明日のお昼には元気にならなきゃ

兼人は携帯を置くと眠りについた。


次の日の朝6時頃、平野裕二はふと目が覚めた。

窓の方に目を向けると外はわずかに明るい。

ベットの横に置いてある時計を見ると時刻はちょうど6時を指示していた。

もう少し寝よう

そう思い足を動かすと布団の中で何かに当たった。一瞬椿かと思ったが、しかし椿は昨日の夜に荷物を持ち自宅に帰ったはずだ。

じゃあ今のはもしかして・・

平野が寝ていたベットの反対側を見るとどこか見慣れた長い白髪と白い浴衣のようなものが見える。

間違いない

それは平野が夏に知り合い昨日まで林の家に泊まっていた、かぐやだった。


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