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行方知れずの私  作者: 秋月カナリア
12/34

恭子12

 涼子はなんで消えたのだろう。


 私は好きな人と一緒にいるためだって思ってた。

 それは涼子が家出をしてまう理由が、他に思いつかなかったからだ。


 成績が良くて、金銭的な余裕もあるし、最近綺麗になった。


 向かうところ敵なしじゃないか。


 だから、理由があるとすれば、誰にも内緒にしているその想い人に関係したことだろうと、勝手に思ってしまっていた。

 私は見当違いの方向へと進んでいるのだろうか。


 校庭に戻ると、片付けがもう始まっていた。


 残っているのは、私たちも含めて十人程度。本当に食べるだけで帰ってしまった参加者もいるようだ。

 使い終わった食器類が集められていたので、数人で校舎内の家庭科室へと持っていった。


 家庭科室は、昨日侵入した校舎とは別の棟の中にあった。

 昨日見て回った教室はどこも、少し古めかしい感じがしたけれど、この家庭科室はとても綺麗で現代的だった。今も頻繁に使うから、リフォームしたのかもしれない。


 食器や鍋を洗い、水気を拭いてから、それぞれの場所にしまう。

 みんな疲れているのか無口だった。

 主さんも後輩さんも校庭のほうにいた。あっちは長机やテントを片付けているのだろう。


 二人と連絡先を交換すべきだろうか。

 いや、でも、断られるだろう。友達を作りたい人には不向きのイベントだと言っていたから、この場限りの交流を好む二人なのだ。連絡先を聞いたら嫌がられそうだ。


 それに二人とも涼子のことを知らないようだったし。

 どうしても連絡を取りたければ、またこのイベントに参加者すれば良い。主さんは常連だと言っていたから捕まりやすいはずだ。


 最後にシンクの水気を布巾で拭き取って終わった。

 この布巾は誰が洗濯するのだろうかと、関係ないところで少し心配した。


 校庭にまた集まって、お疲れ様と挨拶すると、みんな帰っていった。


 守衛小屋で鍵を渡して荷物を受け取る。

 私が最後だった。

 笑い顔の人が「どうだった?」と聞いてくる。


 少しムッとしてしまった。


 けれど、不機嫌さを表に出すのは失礼だと思ったので、深呼吸をして気持ちを切り替える。

 笑い顔の人は私をこのイベントに呼んでくれたのだ。実りがなかったのは、この人のせいではない。


「今のところ手がかりはなしです」

「ふーん、残念だったね」


 ふと笑い顔の人の手元が目に入る。

 取手のついた小さな金属製のボックス。

 そこではたと思いつく。


「あの、お金」

「え?」

「イベントの参加費! すみません、全然考えてなかった。おいくらでしょう?」


 今の今まで思い当たらなかった。

 カレーの材料費だって、ここをレンタルするのだってお金がかかっている。当然参加費が発生するはずだ。

 お財布には、そんなに入っていない。


「あー、いいよ、今回は。俺が招待したんだしね」

「え、でも、払います。カレーも食べたし」

「じゃあ、次から、次から払ってよ」

「次?」

「あれ? 友達のことがわかるまで、参加するのかと思ってた」


 笑い顔の人は頬杖をつく。


「他にも常連っているから、その人たちに聞いていくのも良いかと思ったんだけど」


 どうする?

 涼子の家出の理由を探り直す?

 学校の友達を当たっていく?

 でも、そうやっていろんな人たちに聞いて回ったら、涼子が戻りづらくならないだろうか。

 他に探せる場所はある?

 どうする?

 どうする?


「ちなみに、次はいつですか?」


 こことの関わりは持っていたほうが良いかもしれない、そう結論づけた。

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