表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それは硝子の函の中  作者: 縁
4/5

4.噂話F

黒騎士と白騎士は騎士学校の寄宿舎に入った時からの付き合いである。ときどき喧嘩もあったようだが、すぐに仲良くなった。


孤児院出身の黒騎士と貴族の次男の白騎士。


寮の部屋が同じになったことから交流を深め互いに好敵手として切磋琢磨し、成績は2人で常にトップを争っていた。卒業してからも、2人とも評価は高く、まだ若いが、小隊長を任されるようになっていった。


黒騎士・白騎士と呼ばれるのは、黒髪の黒騎士とブロンドの白騎士という元々の容姿もあるが、わかりやすく色分けしたこの国の師団の黒師団と白師団にそれぞれ属しているからである。鎧や剣もその色で作られ、髪色も相まって彼らにとてもよく似合っていた。


ジークの妹シャルロッテとそのかしましいお友達をはじめ、女性たちの間では、どちらの方が好みだのという話題が度々出ていた。


しかし、彼らに特定の女性の噂はなく、最終的に立てられた仮説が


『彼ら同士が思いあっている』


のではというものだった。


同じ寮部屋に住んでいた、とても友達とは思えない贈り物をしている、あれは匂わせでは、この前の魔物狩りでは、など眉唾から真実のことまで、数多の噂が飛び交い女性たちのおしゃべりの場を賑やかせていた。


しかし、ある種それが、決定的なことのように言われたのは黒騎士が亡くなってからだった。彼は、任務の成功報酬に長期休暇を求め、屋敷に籠り、そのあとに会った人の噂によると、真っ黒な喪服を着ていたそうだ。喪に服すため休暇を取ったのだ。家族はともかく友人にまでそのようなことは求められていない。そして、彼が復隊を決めたのは、邪竜討伐の折り、粉々に砕かれてしまった黒騎士の剣が復元が成功したからだと言われている。黒騎士の黒剣を背負い舞い戻った白騎士は今までにも増して勇猛に活躍している。もう悲恋の物語扱いだ。


詩人も美しく盛り立てて、黒騎士と白騎士の絆は、庶民にまで響きわたる定番の美談となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ