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それは硝子の函の中  作者: 縁
2/5

2.昔話Z

1を読んでくださった方、評価ブクマいただいた方本当にありがとうございます><

よかったら今回も読んでやってください。


「そこの少年、蹲ってどうした?」


「ぐす…なんだよぉ」


あれはジークが5歳くらいの時であった。母に連れてこられたお茶会を抜け出し、挙句他人のうちの庭で迷子になったジークのテンションは底辺だ。空は澄み渡っているが、己の周りの空気はどんよりだ。


「どうしたんだよ。迷子になって困ってる?」


見上げると、淡いブロンドが綺麗な少年だった。ジークよりは何歳も大きくみえる。


「それだけじゃないもん…」


「ふーん…」


彼はかがみ込んで笑顔で視線をジークに合わせた。どうやら話を聞いてくれるみたいだ。


「みんな、兄上ばっかり褒めるんだ。ママはロッティ…妹ばっかり可愛がるんだ。僕、いらない子なんだ。ぼく"じなん"だからダメなんだ。」


5つ上の兄は優秀だった。祖父にも目をかけられ大事にされていた。2つ下の妹は初めての女の子、しかも兄のジークから見てもそれはもう可愛い子でみんなメロメロだった。


できるだけいい子に迷惑をかけないようにしていた。それなのに、ちょっと拗ねた気持ちで1人になりたくてふらついただけなのに、迷子になってしまった。でも、いらない子だからもしかしたら、探してもくれないんじゃないか。途端に怖くなった。


「次男なのか。俺もだよ。妹はいないけど。兄貴はいる。」


「お兄ちゃんも、かわいそうな子なんだね…」

勝手に同情する。


「ははっ失礼だね、少年。」


彼もまた少年だろうと、言い返してやりたかったが、金色の綺麗な目をこちらに向けて笑ってくれたから、何も言えなかった。


「でも、そうだね。実家の後は兄上が継ぐから、たしかに実家の後継には必要ないのかも。でも、だから自由で好きなことができる。俺は騎士になるんだ。」


「騎士?あの、剣で戦う?すごい!」


男の子なりに戦いに憧れがあったジークは涙も引っ込めて驚いた。


「まだ、なってもいないんだけどね!来月から専用の学校に行って、寄宿舎にも入る。」


「…なんか大変そうだね。」


正直よくはわからなかったが色々手順があるようだ。一応心配しておいた。


「俺は頑張るよ!君は大きくなったらやりたいこと、ないの?」


言ったことのなかった秘密。将来の夢を訊かれた。少年はとてもいい人そうだったので、話してみたくなったのだ。


「僕、僕は魔法のアイテムが好きなんだ、だからなんかそういうやつ…作る人…」


「へぇ、いいね。頑張って?でさ、王立研究所とか入ったら騎士団用の魔法道具とか作ってよ、つっよいやつ。」


やっぱり彼は、ジークなんかにはできないと馬鹿にしないで、話を聞いてくれた。それがとても嬉しかった。


「…うん!うん!」

いっぱいうなずいて返事をした。彼は言った。


「じゃあ俺も頑張って、次男業界の星にならないと!ははっ、なんてね。だから、君も自分のこといらない子なんて言わないで?君の道を頑張ってみて。」


「…うん。あの、お兄ちゃん…ありがと?」


「はい、どういたしまして。じゃ、みんなのところに帰ろう。」


手を差し伸べられて、そのまま手を繋いで母たちのところに帰った。怒られそうになったが、彼がフォローして、母を宥めてくれた。


「お兄ちゃん、お名前は?」


「俺?


ローレンスだよ。」


この約束ともつかない約束の後、"次男の星"は本当に次々と名声をえていった。そう現在の白騎士である。風の便りに話を聞くたび、彼の評判は鰻登りだ。


そのたび、めげずに頑張ろうと思えた。彼のように名をあげることはなくとも。兄のように優秀でなくとも、妹のように愛らしくなくとも。目指していた魔法研究所にきちんと入って人並みに役立つ仕事ができるようになった。


だから、"次男の星"が墜落して落ち込んでいる様など、みたくはなかったのだ。

小説って難しいですね。説明文になってしまう;;

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