表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここは終末世界、私は女子攻生と旅をする。  作者: 播磨播州
対インルーラー戦篇
40/43

40話 最終形態

 爆風で何メートルも吹き飛ばされたキューは、立ち上がることもできずに土煙の向こう側を見つめていた。


「オー……」


 土煙が晴れると、オーがいた場所に小さなクレーターが出来ていることがわかった。

 キューはようやく立ち上がる。爆発の衝撃で体中に痛みが走り、片足が上手く動かせない。それでもどうにか一歩踏み出し、よろよろとクレーターに近寄った。

 クレーターの中心に、オーが倒れているのが目に入った。


「オー……!」


 キューは足を引きずりながらオーに近寄ると、抱き起こした。

 オーは、四肢はどうにか無事だが、爆発による裂傷が酷く、体中から血液が溢れ出している。


「……キュー」


 ゆっくりとオーの目が開いた。口をゆっくりと動かすが、それ以上声が聞こえない。

 かろうじて、生き永らえている状態のようだ。

 ふと、影がキューを覆った。

 振り返ると、巨大な肉塊がキューを見下ろし、なおもその大きさを増やしている。


「これは……」


 見ると、あちこちに寝かされていた元村人であったミュータントや、そのミュータントに命を奪われた村の人々の遺体が集められていき、巨大な一つの生物となっていくようだ。

 そしてあっというまに、10メートルはあろうかという巨大な肉塊が現れた。

 目の前の肉塊に、急激に殺意が駆け巡る。

 急いでキューは、爆発の衝撃で手から離れていた自分の刀を探した。


 あった。だが、数歩駆けなければならない場所に突き立っている。

 拾わねば。そう思考した時には、すでに肉塊はその芳醇な体から突起型の触手を生やし、キューに向けて突き伸ばしていた。

 触手は眼前に迫る。咄嗟にキューは目を閉じた。

 触手が眼球を突き抜け、脳を突き抜けた。と思った。

 だが実際は、3発の銃声が聞こえたのみだった。


「キュー!」


 振り返ると、ルィと、村の少年と少女が大柄な銃を構えて立っていた。


「キュー、大丈夫!?」


 ルィはそう叫びながら、少年少女とともに何発も銃弾を、肉塊となったインルーラーに撃ち続けている。


「駄目です、ルィ……逃げて!」


 キューの言葉を無視して、ルィはなおも撃ち続ける。


「キューが死んじゃったら、私はどうしたら良いの? 私をシャングリラに連れて行くんでしょ!? 絶対に勝たないと!」


 しかし肉塊は、再び触手を伸ばし、少年少女の銃を持つ腕を貫いた。少年少女は痛みで、銃を取り落としてしまった。


「ミミ、リウ!」


 次いで、ルィの首に触手が巻き付く。


「あっ……!」


 そのままルィは触手で宙に浮き、ゆっくりと肉塊に引き寄せられた。


「ルィ!」


 キューは今度こそ立ち上がり、刀を手にした。が、肉塊から数え切れない本数の触手がキューに襲いかかり、キューの体全体に巻き付いた。

 そして、そのまま締め上げ始めた。このまま握り絞り殺す気だ。

 巻かれていく触手の間から、最後に見えたのは、肉塊の頭上に達したルィと、その真下が大きく開き、無数の歯が映え揃った巨大な口だった。


「……ルィ!」


 そうしてキューは、もはや声も出すこともできなくなった。


ここまでお読み頂きありがとうございます!


是非是非ブックマーク、評価をお願い致します!

大変、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ