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ここは終末世界、私は女子攻生と旅をする。  作者: 播磨播州
FBS探索編
28/43

28話 ルィの戦い

「痛ぇっ!」


 リウの放った銃弾が数発、ニット帽男の肩や足に被弾した。ニット帽男は痛みと驚きで手に持っていた銃を放り投げるように手放すと、悲鳴を上げながら車から倒れ落ち、頭を強く打ってそのまま気絶した。

 リウが残りの二人、リーダー格の男に狙いをつけた。

 だが、すでにリーダー格の男はリウに銃口を向けて発砲しており、リウの腕から弾けるように血が流れた。

 リウが銃を取り落とすと、すぐにヘルメット男が駆け寄ってきてリウの顔を殴りつけた。

 痛みに耐える悲痛な声を上げながら、リウは倒れ込む。すぐさまヘルメット男はリウの手を拘束した。


「リウ!」


 倒れていたミミが叫ぶ。


「黙ってろ!」


 ヘルメット男がミミを殴りつける。リーダー格の男が顎で合図した。二人は銃を構えたまま、ゆっくりと視線でなにかを探しだした。

 決まっている。私のことだ。


「いるんだろ。出てこいよ!」


 リーダー格の男が大声で叫ぶ。

 私は居場所がバレないように、車を影にしながらゆっくりと場所を移動した。リウが飛び出した場所にとどまれば、当然見つかるからだ。

 しびれを切らしたリーダー格の男が、銃口をリウの頭に突きつけた。


「おい、撃たないと思うか? 値は下がるが、別に死体でも食えないことはないんだ」


 間近にスピーカーが置かれ、そこから大音量で心音が流れているような錯覚に陥った。 

 呼吸が乱れる。だけど、大きく息を吸えば見つかる可能性は高い。

 手で口を押さえ、私はゆっくり、ゆっくりと移動していく。

 もう少し。もう少し。


「どうせ殺るなら、こっちにしましょうよ」


 ヘルメット男が鉄条の紐を力いっぱい引く。地面に倒れていたミミが無理やり起こされ、ヘルメット男に引き寄せられた。

 ミミは痛みで小さく唸った。

 ごめんミミ、リウ。待ってて、もう少し。

 ようやく私は目的の場所へたどり着き、音をたてないようにゆっくりとした動きで地面からそれを拾い上げた。

 

 ニット帽男が倒れざまに地面に落としたライフル銃。ミミから借りていた、大事な銃。

 銃を持つと一度呼吸を整えた。

 そしてミミから教わった使い方を頭の中で反芻する。

 セーフティを確認しロックを外す。

 すると音もなく照準に電子的な数字が浮かび上がった。

 表示された残弾に問題はない。ゆっくりと、静かにボルトを引き下げる。

 ボルトは引き終わるとガチりと金属を響かせた。

 しまった。


「そこか!」


 あっというまだった。私の隠れる車の残骸に、男二人は銃弾を打撃ち込んだ。


「ひやぁっ!」


 私は恐怖で動けなくなり、耳を両手で塞ぐ。

 ミミやリウが私を呼ぶ声が聞こえたが、ほとんどが銃声の中に埋もれていった。

 男二人はマガジン二つ三つ分撃ち尽くすと、ようやく手を止めた。


「両手を上げて出てこい」


 リーダー格の男が言った。

 そんな常套句を言われて、ホイホイ出ていくわけがない。

 私は大きく深呼吸を繰り返すと、意を決して息を止めた。

 顔を出し、ライフルを男たちの方へ構える。

 引き金にかけたままの指に力を入れた。

 銃弾はその完成された構造通りに真っ直ぐな射線で発射された。

 照準に浮かぶ電子的な数字が一つ減る頃には、放たれた銃弾は綺麗に壁に突き刺さっていた。


「あっ」


 男二人が反撃として放った銃弾が、壁にしている車の残骸に当たり、ついでに顔をかすめて、急いで私は身を隠した。

 おかしい……映画だったらこういうときは必ず当たるんだけど……いや、映画じゃないもんね……。

 私とは違い、大変優秀なコントロールで放たれる銃弾は、なおも背にした車の残骸に撃ち込まれていく。

 私が姿を隠すと、銃撃は止んだ。


「ちょっと、殺さないほうがいいんじゃないの⁉ 生きたままの方が新鮮でしょ!」


 たまらず私は叫ぶ。


「お前は病気っぽいから、どうせ燃料にしかならねぇよ」


 ヘルメット男の声がした。明らかに嘲笑するような声だ。

 ショック。こんな時代になっても肌の色で差別が起きているなんて……。

 私は天に助けを求めるように上を見た。


 ……?


 と、そこで名案を思いついた。

 名案というか、もうそれしか残されていない最後の手段。いや、他にも何通りも手段はあるだろうけど、この状況での私の脳にはもうそれしか浮かばない。

 たった一つの手。しかも、成功するかわかったもんじゃない手段。

 けど、それしかない。

 やるしかない。

 私は両手を上げた。


「降参……降参するから。お願いだから殺さないで!」


 鳴き声に近い声で私は懇願する。

 背後で男二人が小さく笑った声が聞こえた。

 ジャリジャリと砂を踏む音が聞こえる。きっと銃は構えたままだろうが、私に近づいているようだ。


「背中を向けたままゆっくり立ち上がって、銃をこっちに投げろ」


 オーケー、オーケー。おっしゃる通りにいたします。

 私は言われた通り男たちに背中を向けたままライフル銃を片手で持ち、ゆっくりと立ち上がる。

 男二人との距離は、砂を踏む音でわかる。今は大体三メートル。


 二……一。


 引き金を引いた。片手で持ちながらも、指は引き金にかけたままだった。

 放たれた銃弾は天井に突き刺さる。


「てめぇ、死にてぇのか!」

「ごめんなさい!」


 私はようやく銃を背後に投げた。

 それで気を許したのか、男二人は歩を早めて私に近寄った。

 お願い……上手くいって。


「手間かけさせやがって」


 リーダー格の男の声が間近で聞こえた。


「腕を折ってやる」


 ヘルメット男の声も。

 その時、私の鼻先にパラパラと砂が落ちてきた。

 上を向く。


 来る。


 私はプールに飛び込むように身を投げた。


「おい!」


 と、男二人どちらかの怒声が聞こえたと同時、耳を突き刺す轟音とともに天井が崩落してきて、きらめく埃をまとったいくつもの瓦礫が男二人の姿を消した。


腰をやってしまい一週間ほど立ち上がることも困難となっておりました。

ようやく座ることはできるようになったので、また更新していきたいと思います。

みなさん、腰は大事に!


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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