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ここは終末世界、私は女子攻生と旅をする。  作者: 播磨播州
FBS探索編
24/43

24話 逃走と落下


「遊んでっから裏ァ取られるんだよ」


 私とミミに銃を向けた男。片目を黒いアイパッチで塞いだ初老のその男は、略奪カンパニーのリーダー格のようで、ヘルメット男とニット帽男を叱りつけていた。

 私もミミも、そしてリウもヘルメット男とニット帽男に銃を向けられ、先程リウ達が戦っていた場所に跪かされていた。そして人質とはこういうものだと言わんばかりに、両手は頭に回させられている。

 首の輪は外されていたが、リウだけは暴れるのでニット帽男に足蹴にされて踏みつけられていた。

 私たちが持っていた武器は奪われ、リーダー格の男の足元に並べられていた。


「まぁだが、ガキ三人は大収穫だ。大目に見てやるよ」


 リーダー格の男はニヤッと笑うと、銃を片手に、もう片手で瓶から何やら喉に流し込んだ。まぁ、見るからに酒だろう。

 ありがとうございやすと、ヘルメット男もニット帽男も下品に笑った。


「ドームのガキは高く売れる」


 リーダー格の男が笑った。


「そんじゃ、日が暮れる前に行くか。おい。腕ぇ折っとくぞ」


 リーダー格の男がヘルメット男とニット帽男にそう命ずると、リウのように私たちも地面に足蹴にし、私たちの両腕をとって力を込め始めた。


「やめろ、離せ!」


 ニット帽男男に腕を取られたリウが叫ぶ。


「痛い、痛い、痛い!」


 リーダー格の男に腕を取られた私は、情けなく痛がるしかできない。だって今まさに腕を折られようとしているわけで、ぎりぎりと曲がっては行けない方向に曲がっているのだから。


「おとなしくしてろ!」


 ニット帽男が銃のお尻の部分でリウの顔を殴った。

 リウは口から血を流して地面に倒れる。


「お前もだ!」


 見るとミミも抵抗して暴れており、ミミを担当するヘルメット男が銃を振り上げた。

 だが、すんでのところでミミは避けた。

 体勢を崩したヘルメット男の隙をつき、ミミが膝蹴りを食らわす。


「てめぇ!」


 今度はニット帽男が銃口をミミに向ける。だがそれを狙っていたかのようにリウが、ニット帽男にタックルし倒すと、馬乗りになって殴りつけた。それをわかっていたようにミミがヘルメット男が落とした銃を拾う。


「何やってんだ、バカども。おい、こいつがどうなってもいいのか!」


 今度は私が反撃……とはいかず、残念ながら二人の活躍を目で追っているだけで何もできておらず、状況は変わっていなかったために、リーダー格の男の銃口は私の頭に向けられたままだった。


「それはこっちのセリフ」


 リウとミミも互いに互いを押さえていた男2人に銃口を向けていた。


「俺にそんな脅しが効くとでも思ってんのか?」


 リーダー格の男がニヤッと笑った。

 ヘルメット男とニット帽男は、文句も言わずに黙ったままリウとミミを睨みつけている。もしこのような状況になっても、助けないというある意味の信頼関係が出来上がっているに違いない。


「私たちのことはいいから、その人だけは離してあげて」


 ミミもそれに気づいたようで、提案の方向性を変えた。


「おい、ミミ。何ってんだよ!」


 けど、リウはそれに反発する。


「当然でしょ! ルィさんは村に返さないと」

「そんなやつ、関係無いだろ!」

「リウ、それ本気で言ってるの⁉」


 リウとミミはいつもの調子で喧嘩を始めてしまった。かろうじて男たちに銃は向けたままであるが、今にも掴みかかりそうなくらい面と向かって怒鳴り合っている。


「馬鹿が」


 私の後ろでリーダー格の男が小声でそう言い、こちらに背を向けてしまっているミミに銃を向けた。


「ミミちゃん!」


 私が叫ぶと同時、リーダー格の男が銃弾を放つ。

 しかし予期していたようにミミは背を向けたまま銃弾を避けた。

 ミミを通り過ぎた銃弾は、その先にいるリウの頬をかすめただけで背後の瓦礫にぶつかって土煙を上げた。

 その頃にはすでにリウがリーダー格の男に向かって銃を撃ち返していて、背後で呻き声が聞こえた。


「逃げるぞ!」


 リウが叫び、ヘルメット男とニット帽男に一撃を与える。

 ミミが駆け寄ってきて私を引き起こしてくれた。


「行きましょう!」


 ミミが私を引っ張るが、私は踏みとどまった。


「待って」


 私は、私たちの武器を拾い上げようとした。


「何やってんだよ!」


 後ろでリウが怒鳴る。


「だってあれ、大事な銃でしょ⁉」

「ルィさん、いいから!」


 ミミが問答無用で私を引っ張り、駆けだした。


「銃なんかより、命を大事にしてください」


 ミミが本気で怒っているようで、声には怒りが満ちていた。


「ごめん……けど……」


 そう言いながら幾つかの瓦礫を乗り越えた時、聞き覚えのある風切り音がして、ミミの首に鉄の輪が嵌った。


「ミミちゃん!」


 足を止め振り返る。

 30メートルほど先に、怒りの形相で追いかけてきていた略奪カンパニーの3人が立ち、ヘルメット男の持つ銃の銃口からはミミの首輪につながる紐が伸びていた。


「いいから、行って!」


 ミミは叫ぶが、そのまま引っ張られて背中から倒れ込み、男たちの方へ引きずられていく。


「リウ、助けて!」


 私が叫ぶとリウはすでに銃を構えて、ミミを引っ張る紐に照準を合わせていた。

 乾いた銃声があたりに響く。

 だがリウの放った銃弾は紐をかすっただけで地面にめり込んだ。


「リウの馬鹿!」

「違う! 地面が……」


 リウが言い終わる前にお腹の芯まで響くような低い重低音が辺りを包み、立っていられなくなるほど大きく世界が揺れた。世界というか、私たちがいる場所が。

 そして地面に亀裂が走ると、まるで花瓶が割れるように地面が崩れ、私たちはあっという間に落下していった。




「痛たたた……」


 目を開ける前に折れたりしていないか両腕、両足を動かしてみる。大丈夫、多少痛みはあるが動くし感覚もある。

 目を開けると、遥か上部に空が見えた。

 あんな上から落ちてよく無事だったなと思ったが、起き上がってその理由がわかった。


「大丈夫……リウ?」


 私はリウの上に落ちていたようで、彼がクッションとなってくれていた。


「……どいてくれ」


 私は急いでリウの上から飛び退く。リウは立ち上がると、体に違和感が無いか確かめ始めた。


「擦りむいたくらいだ」


 リウの肘から血が流れていた。その程度の怪我ですむなんて、頑丈だ。


「それより、ミミは?」


 リウと一緒に、辺りを見渡す。

 私たちが落ちてきた場所から差し込む光で、薄暗くではあるが私達が落ちた場所のディティールがはっきりと確認できた。


「ここって……」


 灰色のコンテナが狂いなく何十個も等間隔で並べられ、2段ないしは3段と積み重なっていた。端から端まで走っても二、三分はかかりそうなほど広い。

 私達が落ちた場所もその二段に積まれたコンテナの1つの上で、リウの手助けで私は地面に降り立った。

 なにかの倉庫だろうか。新宿の地下にこんな巨大な倉庫があったなんて。私の記憶ではそんな施設は聞いたことがなかったが、そもそも新宿の地下施設がどうなっているかなんて、当時から詳しくはなかったのであてにならない。


「おい、これって」


 リウがコンテナの壁面を指差した。

 そこには羽と女性の横顔が組み合わさったロゴと、「IUV」という文字が描かれていた。

 


徐々にブクマ頂いており、心の支えになっております!

少しでもお読みいただいた方が楽しんで頂けていれば幸いです……!


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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