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ここは終末世界、私は女子攻生と旅をする。  作者: 播磨播州
FBS探索編
21/43

21話 西の廃墟群へ向けて出発

 2人は、「危険だしオーに怒られるかもしれないから」と最初断ったが、理由を伝えると「わかりました。けど、無理はできないですよ」「もしバレたら俺たちは関係ないって言うからな」と言ってどうにか承知してくれた。

 出発は翌日の朝早く。2人が通常業務である見回りに出発し、そのままルートを変えて廃墟群に向かうというものだった。


 2人が何食わぬ顔で見張りをしている村人に挨拶をして門から出た後、私は猫のキナコが抜け出したという村の外壁に出来た隙間から這い出して2人に合流した。

 キューと、それとオーに黙って行くことを心のなかで謝りつつ私は廃墟群へ目を向けた。


 目的地である廃墟群まで、2人が言うにはおよそ5キロで、何事もなければ歩いて2時間程度で着くそうだ。

 5キロを2時間と聞くとゆっくりなスピードだと思うが、今のこの時代はコンクリートやアスファルトではなく植物が支配しており、まるで太古の地球だ。

 廃墟群へ向かう道も生い茂る草木からも最早森に近かった。

 けど、背の高い草木の影で村の中よりも比較的涼しいことは救いだった。


「いつもはリウと2人だから、なにか新鮮。ね?」


 ミミが笑顔で歩きながら、リウに聞いた。


「ちゃんと着いてこいよな。遅れたら置いてくから」


 リウが不満そうにそう言うと、ミミに小突かれていた。

 どうにかついていこうとは思っているが、やはりこの時代でたくましく生きている2人だから、歩くのが早い。

 それに、村を出る前に「最低限の装備はしていったほうがいいです」と、村の人達にばれないようにこっそり渡されたミミの予備のライフル銃と、背負わされたリュックの重さが足の疲れを産まないか不安ではあった。


「リウはああ言ってますけど、疲れたら言ってくださいね」


 ミミの優しさに自然と笑顔が生まれる。


「大丈夫。この靴歩きやすいし」


 ミミから渡されたのは銃やリュックだけじゃなくて、探索用のしっかりと足元が固定されたブーツもだった。そのおかげで、この時代でようやく歩くのが苦ではなくなっていた。


「ねぇ、2人は昔からずっと一緒なの?」


 同世代2人と歩いてることで、少しハイキング気分になった私はとりとめのない世間話を振ってみた。


「はぁ? 一緒ってなんだよ」


 何故か顔を赤らめてリウが大げさに手を振った。


「昔から2人で組んで仕事してるのかってこと」

「そうです。私たち生まれた年も同じで、家も隣同士なので自然とコンビになってました」

「あ〜、幼馴染ってやつだ」

「本当は、ショウも同じ年だったんですけどね」

「ショウって……」


 私はそこまで言って、思い出した。村についた時にミュータントと化した少年だ。少年と言いながらも私は人間の頃の姿を知らず、話に聞いただけだけど。


「その話はやめろ。ほら、急ぐぞ」


 リウが足を早めた。ミミもそれには賛成のようで、何も反論せずにリウの背中を追った。



 最初に言われていた通り、2時間ほど森を歩き続けると、廃墟群を見上げられるほどの付近に到着した。

 立ち並ぶ廃墟群はキューと歩いてきた場所とは違って、植物に侵食されてはいるが10階20階以上のビルや建造物がまだ現存していた。

 しかしどこか見覚えのある場所だ。


「もしかして……ここって新宿?」


 あまり地理には詳しくはないが、ドーム跡から西に5キロ程の場所ということと、この建造物の多さ、何か見覚えのある卵型の建物や、半分近く崩壊しているが時計塔のような建物からも、もしかしたらと思った。


「シンジュクってなんですか?」


 ミミがキョトンとした顔で聞き返す。

 そうか、ミミたちは世界が崩壊した後に生まれているのだから、地名なんか知るはずがない。


「昔の地名。多分だけど」

「わぁ、流石はルィさん。あの、あの、どういう場所だったんですか?」


 ミミは興味津々な顔で、私の腕を掴んだ。


「うーん。東京でも……あっ、東京っていうのは、この辺りの土地まるっと含めた場所の名前なんだけど、その中でも一番栄えてる場所だったかな。私がいた時代だとね」

「へぇ! そんな場所だったなんて。村の人はどうして今まで来なかったんだろう」

「わざわざこんな場所に来る必要ないからだろ。村の中だけで俺たちは生きていけるんだから、わざわざこんな場所まで来ないんだろ」


 確かにオーの村は、衣・食・住とどれをとってもほぼ完璧に機能していて、後は外からの脅威に気をつけてさえいれば、いつまでも平和に生きていけそうだった。


「とにかく。キナコを見つけてさっさと帰ろう」

「あと、ルィさんの探しものも」

「だからそれは知らねーって」

「ちょっと!」


 ぐいぐいと先へ進んでいくリウの背中に、ミミが怒る。


「大丈夫だよ、ミミちゃん。私が無理に着いてきたんだから。場合によっては、私一人で探すし……」

「無理ですよ。すぐ死んじゃいますって、ルィさんは」


 おや……当然のことではあるが、真っ直ぐな目でそう言われるとどうも傷つく。傷つくが、なにも言い返せないわけです。


「だから、もしものときは私は一緒にいるんで」


 ミミは笑顔でそう言い、「さぁ行きましょう」とリウの後を追った。

 私より年は若いはずなのに、心から頼れる。


 けど、私はこれ以上迷惑はかけたくなかった。私とキューの問題は、ミミたちには関係無いのだから。

 だから、本当にいざというときは、2人を振り切ってでも1人で探そうと思った。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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