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独り言。

 小学生の頃。

 俺はネットに出会った。

 とても新鮮だった。

 始めは実況動画だった。

 祖父の家で、雄大な自然に囲まれた、観光地でもある地域に位置するその家で、新鮮な空気を吸いながら。

 その母方の実家に帰る時、祖父の、まだ分厚かった頃のそのノートパソコンで、某ハンティングアクションゲームの実況プレイを見るのが好きだった。

 今でも鮮明に覚えている。

 「やぁみんな。モ〇スターハ〇ターの時間だ。」というお決まりの挨拶を。あの実況者は元気にしてるだろうか。

 ゲーム内で温泉街を駆け抜け、農場や鍛冶屋、集会所を行き来し、狩りに出る。

 ゲームというコンテンツ。動画というコンテンツ。実況という世界。

 面白かった。それは「fun」という意味でもあり、「interesting」という意味でもあった。

 その世界に惹かれるまでは長くなかった。

 すぐさま虜になり、その後様々な動画と出会う。

 中でも私の価値観を大きく左右したのは、某3Dサンドボックスゲームとの出会いだろう。まだあれがβ版だった頃だ。いや、サバイバルモードが実装されてすぐだったから厳密にはもっと後なのだが。

 海の上に空島を作るというシリーズ動画だった。

 まだ、どの動画も480pだった頃だ。今こそフルHDの動画も当たり前になってきているが、昔はそんなもんだったのだよ。

 世界を「創る」ゲーム。クリエイティブな選択肢。いやサバイバルモードだけど。

 あれ以来、ものをつくること、新たなものを生み出すことに興味を抱くようになった。

 それは、コンテンツという形態そのもにも、興味を持つことになり、コンテンツを創る事にもベクトルが向けられた。

 動画や実況というコンテンツをつくる。そういったクリエイターにも面白さを感じたのだ。

 その後も実況動画は見続けた。

 ある時は勇者が姫を魔王の下から助けに行く人気タイトルのとある甘党実況者の動画に出会い、またある時は前述の3Dサンドボックスゲームで蜂使いをする実況動画に出会い、またある時は天空に大地を創る変態紳士の実況動画に出会い。

 この中に知ってる動画があった人も居るだろう。どれも黄金期の動画だからな。

 懐かしいと思った人も多いだろう。

 私もたまに見返す。

 そんな時にふと思うんだ。過去に戻れたらな、と。

 多くの人が考える事かとは思う。

 私は「新しいもの」が好きだ。新作ゲーム。新技術。企業動向。世界が変わっていく、新しい様を見るのが好きなのだ。

 変化を求めている。だが、私の中で、「懐かしさ」を求めている部分が濃く存在している。

「新しさ」と「懐かしさ」。

 一般的には相反する存在だ。

 なぜ私は相反する二つの概念を求めているのか。

 私の過去の作品―――未完結のものが多いのだが―――を読んでくれればわかる通り、私の作品は水や光、街を綺麗に描きがちだ。過剰に。絵画で言えば印象派といったところか。

 これらはとある実況者による建築動画の影響も大きい。

 鮮やかな煉瓦屋根、静かに佇む石畳。深い色味の木の家屋。街の至る所には花が植えられ、耳をすませば水路の流れる心地よい音が聞こえる。

 リアルの友人にも「空と水がやたらと綺麗すぎる」と言われたこの世界観だが、私の中では、どこか懐かしい世界観なのだ。

 現実と違う新しい世界。だが懐かしさを感じ、黄昏に近い感情を覚える。実際に懐かしいのではなく、ただその雰囲気が好きなだけかもしれない。

 そこでふと思ったのだ。

 懐かしさというのは、今―――現在と違う、新しさの側面も持つのではないか、と。

 現在に対する、新しさ。しかしそこには経験が存在し、知らぬものへの恐怖は存在しない。

 心地よいのではないか。

 そう感じた。

 かなり直感的な表現だが、まだ私の中で理論として確立していない。許してくれ。

 現在の環境という、変化した環境。飽き飽きとしている現状。そこに対して、過去という現在と違う環境。そこには僅かな新しさもあり、自分の中にその記憶と経験がある。新しさ故の恐怖は拭われ、かつ程よい新しさがある。そんな状態が、心地よいのではないか。

 懐かしさとは、懐古感情とは、意外と新しいものへの憧れと、本質的には同じなのではないか。そんな風に考えるようになった。

 アニメ界の原点にして頂点と呼ばれる作品をご存知だろうか。

 普通の男子高校生なのに、宇宙人やら未来人やら超能力者やらと部活(?)を共にし、とある女子高校生に振り回される日常を描いた物語。

 私はこの作品を観た時、なんだか懐かしいと感じた。

 確かに、私がこの作品を観たのはつい最近で、既に過去に公開されたコンテンツだったのもあるのだが、それとは違う懐かしさを感じたのだ。

 この感情を覚えたのは、これが初めてではなかった。

 そもそもこの作品をこのタイミングで観たのは、その前にとあるアニメ作品を観たのがきっかけだった。こちらはあまりにも大好きなので名前を出させて頂こう。『らき☆すた』だ。

 こっちを観たきっかけに関しては全くの突然なのだが、最初は「この作品くらいは一生に一度観ておこう」と思っていた。それまではそもそもアニメ作品を全く観てきていなかった。せいぜい頭脳は大人な名探偵アニメくらいだ。親父がよく晩酌しながら観ていたからな。

 『らき☆すた』を観た時、得も言われぬ懐かしさに襲われた。

 ちなみにかがみん推しだ。

 割と軽い気持ちで観始めたが、そのままぶっ続けで全話観てしまった。その後五周くらいはしたかな。まだまだにわかではあるが。

 急激にのめり込んだのだ。

 何を思ったかすぐにグッズも漁った。なんならキャラソン買った。

 先日のニュースは非常に残念だった……。まぁ、ここで悔やんでも仕方ないので、この話はまた別の機会にしよう。

 私の中では、その作品に触れたのは初めての筈であり、そもそもアニメというジャンルに触れたのも殆ど初めてなのだ。

 だが、懐かしさを覚えた。

 その懐かしさにのめり込んだのかもしれない。

 一応私は現役の学生だが、高校生であることそのものにも懐かしさを覚えた。

 心地良かったのだな。

 なんだかんだで、私は今も懐かしさを求めている。

 頻繁に過去を思い返すし、過去の話をすることも多い。好きな科目も歴史だ。まぁこれに関しては別の因果っぽそうだが。

 懐かしさと新しさは、私の中の髄を成す概念かもしれない。

お久しぶりです。

生きてます。

最近は言語学にハマっております。

物腰柔らかに生きていければなぁ、と考えることが多くなった今日この頃です。

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