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7.初めての複合魔法と旅立ち

 …あんなことでよかったらしい。まぁ水の系統が開放できたのはいいことだ。

「よし!早速水を発生させることのできる魔法について考えよ」そうは言っても…

(もちろん水を出す魔法なんてものはないだろうし…やはりどこから集めないといけないんだろうね。集めるなら、収束は必要だよね。けど、さっき収束の魔法だけでは使えなかったからその前に何らかの操作が必要なんだろうな…)

「ん〜〜」頭から湯気出そうだ…湯気…

…わかったかも。

そもそも、魔法の狙いというものは、見えているとか、聞こえてるとか、認識できてないとつけられない。つまり、収束する前に、その対象である水が見えるようにする魔法が必要というわけだ。ではどうすれば見れるようにできる?それなら簡単だと思う。雨は雲から降ってくるし、その雲は見えてる。つまり、空気中にある水分は、冷却とかの魔法で凝結させればいいのだ。草とかに含まれる水分は、蒸発させてから凝結させればいいから、蒸発の魔法とかでいいだろう。空間に対して魔法が使えるのは、ネズミさんたちが来た時にわかった。

そうすると、水を作る魔法は、いくつかの操作をこちらで組み合わせて作る魔法になる…

「…そういえば、冷却とか蒸発って、『加熱』の応用っぽいよね。『加熱』は根本的には、分子、原子レベルでの振動の『加速』だし…てか、蒸発って、『加熱』を火がつかない程度に加減した魔法じゃん!だけど、冷却の方は、『減速』なんだよな…」

そこまで考えた時、天の声が聞こえた。

《条件 1.該当魔法と関連魔法の関係の理解 のクリアを確認しました。これにより、【水】の系統魔法『冷却』を取得しました。

 条件 1.該当魔法の機能を使った魔法の習得2.該当魔法の機能を使った魔法と該当魔法の関係の理解 のクリアを確認しました。これにより、無系統魔法『加速』『減速』を習得しました。》

 やはり、加速と減速だったようだ。

 そういえば、今まで意識しなかったけど、この天の声も魔法なんだよな…

(どういう効果なんだろう…ていうか、普通のゲームだったらシステムがやっていることを魔法に置き換えるのって、効果とか考える時めんどくさそ。天の声は、システム音声の置き換えだよね。こんなことはやっぱり、『ゲームだから』で済ませればいいのに…ん?確か、このゲームって海外のゲームだよね…ということは、もしかして、自動翻訳機能とかついてるのでは…)

《条件 1.始祖系統魔法『天の声』の解析 のクリアを確認しました。これにより、始祖系統魔法『自動翻訳』を習得しました。》

やはり、自動翻訳もできるようになった。

(やーこんなことまで魔法で片付けるとはすごいな!)

そんなことを思ってみたが、もっと大事なことが今の天の声の中にあったのに気づいた。

「始祖系統魔法『天の声』って…なん?」

あまりの驚きに声に出てしまった。とりあえず、使用可能魔法の始祖の魔法の欄を見てみた。たしかにそこには天の声があった。更に混乱する。

(確か天の声って、私が、何も呼びようがなかったシステムメッセージに付けた名前だったよな…もともとこの名前だったのかな?いやいや、そんな偶然ないだろう。でも、発熱の魔法なんて、よく着火って言って発動してるのに着火の魔法になる気配ないしな…

もしかして、私が呼び方がわからなかったのと一緒で開発者さんもしっくりくる名前がなかったから空白にして、プレイヤーが名前をつけたら、その名前が魔法の名前になるようにしたんじゃ…)

「アハハハ!そんなわけないよね…」ないよね?

もしかしたらそんなことあるかもしれないけど、今はとりあえず水を作ってみよう。

蒸発が取れなかったってことは、草からの水分回収は諦めたほうがいいだろう。

とにかく冷却を発動してみてどの程度の効果があるか見てみることにした。呪文と儀式を設定して…

「そういえば、加熱はエネルギーの供給が必要だったけど、冷却の場合、奪ったエネルギーはどこに行くのかな?」

そう思い、一応奪ったエネルギーを観測するために、発生したエネルギーは自分の近辺に来るように意識しつつ、目の前の一点を見つめながら、

「冷却」控えめの動作に合わせてそう唱えると、一瞬だけその空間に霧がかかったようになり、その後すぐに晴れた。そして、肌が少し暖かくなった…気がする。

 とりあえずもっと儀式を複雑にするなり供物を用意しないと使い物にならないのはわかった。後、廃熱をどうするかも考えないといけないだろう。規模を大きくしても、廃熱の処理をしっかりしないと、最悪廃熱でやけどしてしまう。

 これらのことを考えるのはこの辺を探索しながらでいいはずだ。今水を作っても、もちは持ち運びのための水筒もないし。

 それより今必要なのは、探索中にモンスターや他のプレイヤーに襲われた時にすぐ使えて高威力で自分は安全な魔法だ。ネズミ相手に使ったあの魔法は、草を大量に消費するし、被害範囲が広くなりがち、更に、発動にも時間がかかるから遠くから対集団に使うときにしか使えない。

「あ、草玉を何個か作っておけば、使いたい時に供物としてでも燃料としてでもすぐ使える?」

そう思い、この空き地にある草をすべて拳に収まるくらいの大きさにまとめた。一山燃えてもまだまだたくさんあった草は、収束を応用した圧縮によりかなりコンパクトにまとめられた。数にして四、五十個だろう。

次に、簡易攻撃魔法を考えた。

ここは、せっかく手に入った加速の魔法を使うべきだろう。加速の魔法も何らかのエネルギーにを必要とするだろうが…

(そういえば、冷却の魔法は、廃熱が発生するんだった。その廃熱を加速のエネルギーにうまく回せれば、冷却と加速をうまく組み合わせてノーリスク高威力魔法が発動できるんじゃ…)

《条件 1.複数魔法の組み合わせによる単一効果の再現の試み のクリアを確認しました。これにより始祖系統魔法『魔法複合』を習得しました。》

…また便利な魔法があったもんだ。

けど、考えるべきことがたくさんありすぎて、まだ魔法を実際に組み上げる段階ではない。まだどのようにして大量の廃熱を出す規模の冷却を発動するかのアイディアが全く浮かばないのだ。呪文を長くするのは、今回の『簡易』攻撃魔法の趣旨から外れるから論外。同じ理由で儀式の動作の方もそこまで長いのは出来ない。

残されてるのは、収束のときのように大量のものを投げ上げてそれを儀式認定させる案と、供物を準備する案だ。

一番簡単そうなのは、さっき作った草玉を供物にして発動するパターンだが…うん、これしかないだろう。一発撃つにつき草玉一個くらいは消費するのは少し多い気もしなくはない。

しかし、それを差し引いても、何でも高速まで加速させられる魔法を作ることができれば、かなり使い勝手はいいだろう。

次は何を飛ばすかだが、これはそのへんに落ちてる小石をいくつか持っておけばそれでいいだろう。それか、冷却によって発生するであろう大量の水を、収束により高密度の状態まで圧縮してもいいだろう…

(けど収束の分も供物が必要になるから、小石案がいいかな…)結局小石案でいくことにして早速『魔法複合』を開いて複合魔法の制作に取り掛かる。普通に自分で魔法をつなげるのと違うのは、いくつかの魔法を組み上げる場合、1つめの魔法から最後の魔法までの動作すべてが儀式に含まれるところらしい。ということは、冷却で発生した水の落下までを儀式に含めれば、氷を飛ばすこともできるのではないか…

そんなことを考えながら、結局、小石案と氷案のどちらも作った。

簡易攻撃魔法も出来たから、早速この辺を探索しよう。

できれば木はほしい。いまのままだと、夜のたびに火持ちの悪い草を大量に使わないといけなくて不便だ。

それに気があれば、燃料にも使えるし、魔法のさらなる便利化にも役立つかもしれない。

早速準備を開始する。ここの草原は広そうだし、最悪この場所には変えってこれないかもしれないから、壁に使ってた草も暇つぶしに編んでた草も、草玉も全部かごに入れてから…

ログインしてから内部時間にして一日がたとうとしていた頃、ようやく私はスタート地点を離れた。

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