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2.初めての世界で初めてのものづくり

 「わぁ!ひっろー…くない」

 ログインして目を開けるとそこはどこまでも続いてるような広大な草原…ではなかった。

 今の職場は都会、大学もそこそこ都会で、地元は山と海に囲まれた小さな平野だったから地平線まで続く大草原というものを味わえると思ってかなり楽しみにしてたのに…

(いや確かに草原なんだろうけど、どこまでも続く地平線を想像してたのにこれは…)

「草長っ!!」

もちろん女としてこの世界に来た自分は現実世界ほど背は高くない…多分150センチ位だろう。それを考えても今目の前にある自分の背と同じくらいの草は非常識なほどに高い。…いや、故郷で見たことのある飼料用の稲がこのくらいの背丈だったか?(そう考えると普通の身長なら胸あたりになるのかな?)

 そのくらいの長さだと考えたら…忍者か、顔まで迷彩の銃を持った兵士…槍持った奇抜な格好の原住民とか出てきそうな映画でたまに見るああ言う草原なのだろう。というか原住民には私が当てはまるのではなかろうか?

 説明書に書いてあった説明を思い出すにここは原人の集落の近くで、その集落の中から性別が同じの適当な原人をここに連れてきて、その原人がそのままその人のアバターになるらしい。何でもリアルを追求するためにプレイヤーがこの世界に初めて入るときは、そういう仕組みにしたらしい。じゃないと何もないところに突然人が現れることになるからね。

 よし自分以外の原人…プレイヤーにあう前にとりあえずこの何も見えない草むらから出よう。…その前に

「まずは時間の確認だね」

もちろんリアルを追求するこの世界に視界に映る時計なんてあるはずがない。ならばどうするかと言うと…

「座ればいいんだっけ?でもここにそのまま座ると虫とかいそう…」

説明書にはどこでもいいから座っていれば一定時間が経つと、ログインと設定画面の選択ができるアイコンが出てくると書いてあった。設定などは見ながら念じれば操作できるし、設定を開いた時、視界の端っこに現実世界の時間が表示されるらしい。

 だから、今すぐこの場に座れば時間がわかるんだけど…今私は、丈の長いポンチョを一枚来ているだけのような格好だ。そんな状態でこんな草むらの地面に直に座ったら、色んな形、見た目をした虫が服の中に入ったりまとわりついたりしてきて…想像するだけで悪寒が背中を這った。ん?そもそもゲームの中にそんな虫とかいるのかな?けどリアルが売りだからもしかしたら…

嫌な予感がしつつしゃがんであ足元を見てみると…

「うぇーいるよ…」

いい予想が外れて悪い予想が当たった。

「なんかちょうどいい椅子はないかなー」

こんなとこに座ってられない!そう思いながらそのへんを見回して…見ようとして諦めた。

今いるところは草原…周りには長い草しか見えない…

「あっ!草編んで座布団作れないかな…」

そのへんには草がたくさんあるし、この世界での時間は太陽の上り具合から見てまだ朝だろう

「よし!そうと決まればまずは…くさむしり?かな」ブチブチ…ブチブチ…意外と楽しい…ブチブチ……


気づいたらちょっとした空き地ぐらいの広さを更地にしていた。

「中毒性ありすぎ…まいいやちょうどいい感じの空き地もできたし。あとは草編んで座布団作るだけだね」

とりありあえずむしって積んであった草に手を伸ばして適当に編んでみる。

「うまくいかないもんだね−…どうすればいいんだろう…」その時2つのことがほぼ同時に頭の中に浮かんできた。一つは、なんの歌かは忘れたけど、縦の糸と横の糸で布ができるという意味の歌詞だ。もう一つは高校か中学校の家庭科の時間にやった平織りと言う布の折り方だ。

「せっかく思い出したんだから、忘れなうちに作ってしまおう!」…たしかに織れた。体育座りしても余裕なくらいの広さの布っぽいものができた。けど端っこをどう止めればいいかわからずにすぐに解けてしまいそうだ…

「まぁ隙間もあまり空いてないし、持ち運びとかするわけじゃないからこれでいいか」

と、いうことで、即席の座布団完成!早速座ってっと

「お、出たでた今現実世界で7時か…明日、明後日は仕事がないから久しぶりに徹夜でもしよっかな〜」

とりあえず、まず何しよっか…とりあえず考えてる間は草で紐でも編もうかな、そんなに難しくないだろうし…グリグリ

「あら、あまりうまくできないな。」グリグリ

「お、できた!かも?」グリグリ

「これは完璧だね!」グリグリ

よく考えてみたら紐を作るだけならミサンガと同じ感じなんだからあれと同じようにやればいいからかんたんなのは当然だ。グリグリ

そろそろ考え事しながらでも紐が作れるほど上達したと感じるので今後の方針を決めることにした

(確か現実での五十分がこっちでの1日、24時間だから12時までやるとしてもこっちの世界で6日分くらいはできるね)グリグリ

(まずは家でも作るべきなのかな…でもここスタート地点だからそのうち人で溢れそうだし)グリグリ

(ここでリュックみたいなものを作ったあと森か川を探して歩き回ってみようかな)グリグリ

(リュックは…紐は結構たくさんできたからこれをさらに撚り合わせて肩紐にして、カゴ部分につければいいかな?)グイ!グリグリ

(あーカゴ部分はどうしようか…)グリグリグリグリ(んー)グリグリ

「あ、座布団と同じように編んで途中から上向きに曲げればいいんじゃないかな…」

「あれ?上向きに編んでいく時に出たあまりはどう処理すればいいんだ?」

「あーーー!!またふりだしだー!…とりあえずここで結んでからまた紐でも編みながら考えよう…」グリグリ

…ん?

「そうだよ!結べばいいんじゃんちょうちょ結びだったら可愛くなりそうだし…でもほどけやすいか…」

(まぁ何個かおきに解けない結び方をすれば大丈夫だろう)

……ッパ

(ん?今設定とかが明るくなった?)

よく見てみるとさっきまでうっすら見えるくらいだったアイコンが今ははっきり見えてる。一回立って座ってみても同じだった

(何なんだろ?まぁ気にしてもわからないからいっか。)

……

設定が明るくなってから現実世界の時間を示す時計が一分(ゲーム世界での約30分)ぐらいしてやっとでかごができた。全体で1時間半くらいだろう。ちょっとした思いつきを試したりしていてだいぶ時間が立ってしまったが、そのおかげで、口も絞れるタイプができた。…私、天才かも…


とりあえずリュックもできたし森に行って木の実とか…あー、弓と矢があれば小動物くらい狩れないかな〜けどリアルってのが売りのゲームだからもしかしたら血とか結構グロいかな、もしかしたら内蔵とか…ウェ想像しただけでも吐き気が…

よし動物に手を出すのは必要に迫られてからにしよう。

「よし!とりあえず森に入ってから木の実とか集めよ」

そして、立ち上がり行き先を決めるためにジャンプをして周りを見てみようとした時気づいた…

「なんか暗くない?」

今まで集中してたから気にならなかったが、朝の明るさではない。そして太陽をの位置を確認したらもうすぐ沈みそうな位置にあった。いくら集中していたとはいえ、現実世界の時間をもとに考えればさっきまだ朝だと思ったときから二時間弱しか経ってない。ならまだ正午くらいのはずだが…

「あ…あ!」自分の馬鹿な間違いに気づいてしまった。この世界の太陽がどの向きから昇ってどの向きに沈むのかわからないのに、ゲームを始めたばかりでしかも太陽が空の中ほどにあるから朝だろうという思い込みで判断してしまったのだ。『このゲームはリアル重視』説明書にもそう書いてあったし、自分でもそれを確認したのに。リアルなら、たった一人のためにゲーム世界が朝になるなんてありえないだろう。

「あーこのミスわきついわ−。確かこういうゲームって夜になるとモンスターとか夜行性の動物とかが出てきて危険なんじゃないんだっけ?」

そんなことをゲーム好きだった昔の友達の言葉から思い出しつつ、初めてのサバイバルな夜を真っ暗な草原の中で迎えようとしていた。


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