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未来予知救急車

作者: UV

未来が予知できる救急車という夢のアイテムを手に入れた人類は...

20xx年、日本。高度な経済発展により、今や世界でも一、二を争う大国となっていた。

だが、現在日本は「食料不足」という原始的な危機に襲われている。

その理由は、圧倒的な医療の進化により平均寿命が延び、人口が増加しているためである。

医療の進化というのは、もちろん手術の成功率の上昇や、より効果的な治療方法の発見も大きいが、一番の進化は「未来予知救急車」の登場であろう。

「未来予知救急車」とはその名の通り、未来を予知する救急車である。

概要は事故にあう、もしくは病が発症する10分前に、現場に最も近い消防署の救急車に未来の事故情報が流れ、未然に防ぐというものだ。

無論、素早く現場に駆け付けるため、隊員は救急車で過ごすことになるが、国民の安全を考えたら致し方ない。

この救急車のおかげで、去年の事故死者数は2名、病死者数は20万人という過去最低記録が出された。


そして今日も2人の隊員が命を守るため、働いていた。

「よし、今日も今のところ死者は無しっとぉ」

「事故や病気を未然に防げる時代だ。簡単に死人は出ないさ。」

「俺は良い働きしてっからそろそろ上に行ってもいいと思うんだけどなぁ。」

「君は、というか僕もだがまだ40になったばかりだろう。定年が75になってからというもの、昇格にもそれなりに時間がかかるんだよ。」

「そうだよなぁ。まぁ人の命を守る仕事なのに文句を垂れてちゃ駄目だな。」

「そんなに君って正義感溢れる人だっけ...ん?」

赤いランプが点滅し、嫌な音声が聞こえてくる。

「15時28分。yy番、zz交差点ニテ、松本 光サンガ、車ニヒカレマス。至急、駆ケ付ケテ下サイ。」

「あと少しで消防署に着きそうだったのによぉ...しょうがねぇ行くか。」

「本音が漏れてるな...しかしいつになっても合成音声は慣れないね。体がビクッとなるよ。」

「俺も大嫌いだ。機械的な声が好きなやつなんてそうそういないだろ」

            2人は現場へ向かう。

「ん?もう着いたのか。」

「ちょうど近かったからね。」

「だが、今はまだ20分だぞ。あと8分もある。少しコンビニにでも...」

「駄目。事故を起こしそうな車を見つけるためにここらを走るよ。」

2人は警戒しながら辺りを走った。

「事故を起こしそうな車、いねぇなぁ...あ、あと30秒だぞ。交差点へ戻ろう。」

「そうだね、サイレンを鳴らしながら行こう。」

未来予知救急車はサイレンを鳴らしながら、極めて不快な合成音声で「事故ガ起キマス。離レテクダサイ」

と繰り返した。最後の手段だった。


運転手は時計を睨んでいた。

「おい!お前!危なっ...!」

不意に、嫌な音がした。


「おいおいおいおい何でよそ見してたんだよマジかよ終わりだ...」

「うぅぅあぁぁぁどうしよう...もう今頃松本 光さんも事故に遭っているよね...まずい...」

「嘆くのは後だ。今はとりあえずこの人を助けねぇとっ」

2人は救急車へその男を運んだ。血は出ていたが、意識が無いというわけでは無かった。

しきりに「痛い...痛い...」と漏らしている。

2人がほとんど泣きながら、運び終わった時。男のポケットから財布が落ちた。

運転手の脳内に嫌な妄想が走る。

記憶を必死に探り、最悪の根拠を頭で思い描くより先に手の方が動いていた。

財布を取り出し、運転免許証を取り出す。

氏名の欄には{松本 光}と書いてあった。

運転手の頭には、すでに1分前の記憶が蘇っている、轢いた瞬間、時計の時刻は15時28分を秒針までもがピッタリと指していた...

「ねぇ、これは...どういうこと...?ちょっと意味がわかんない...」

運転手はその場に膝をつく。

「これは、人工知能の...反乱か...?いやまさか...」

その時、赤いランプが点滅した。

「15時39分。pp番、aa交差点ニテ...」

合成音声の音は2人の耳が受け付けなく、救急車を出す事も、その場から動く事も出来なかった。

人類は一度、人工知能のことをもう一度深く考えなおすことも重要ではないかと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルの吸引力。なんだそれは、とつい中身を覗きたくなった。 全自動になっておらず、人の役割がちゃんとあるところがいい。 [気になる点] 人工知能に頼るところ、頼らないところ。それをしっ…
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