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沙耶子の方は気さくなお姉さん気質。オサムと気が合い、酒もどんどん進む。
一方、マヤリは引っ込み思案。だがいくらか話すと口も聞いてくれるようになった。この時点でオサムは沙耶子狙い。純太は身長が自分より低いマヤリ狙いで仲良く落ち着いた。こうなればもう解散前に連絡先を交換するばかりである。会話も弾んでオフ会は大盛り上がり。もしかすると連絡先に留まらず、お持ち帰りできるんじゃないかな? などというよこしまな考えが二人の頭をよぎり始めた。
「でもねー、ウチってぶっちゃけ、ポンピーのルールってよく知らないんだよねー。あのリザードテールチェンジってさあ、なんで選手が無理くり退場させられるわけ?」
「ああ、あれはさ」
沙耶子の質問にオサムが答えようとしたその時、
「ちっ。これだからにわかは」
後ろの席から小さく聞こえた呟きをオサムは聞き逃さなかった。
「あれはさ、反則が累積して退場する選手の代わりに、戦力的に劣る選手を代理で退場させられる、プロポンピー独自のルールなんだ」
「へー。オサム君って物知りだよねー。もっと色々教えてね。あ、そだ。あの得点を決めた選手がいきなり大勢に潰されて試合再会するときがあるけど、あれはなんで?」
するとまたも背後から嘲笑がした。
「はっ。そんな基本も知らねえのか。これだからにわかは。女子供は大人しく家でテレビ観戦でもしてろ」
連絡先を教えてほしい女を目の前で馬鹿にされて男としては黙ってられない。オサムは席を立ちつつ振り向いた。
「おい、なんだよアンタさっきから。感じ悪いな」
振り向くと一人の男が酒を飲んでいた。年の頃は五十前後。いぶし銀の玄人ファンの風格を漂わせている。その隣に座る人のよさそうな中年がオサムを宥めた。
「ああ、ごめんなさいね。この人、熱烈なプードルズファンでさあ、今日優勝逃しちゃったもんだから機嫌が悪いんだよ。気にしないで」
その仲裁に矛を収めかけたオサムだったが、件の男はまたも挑発してきた。
「こっちが謝る必要なんかねえ。所詮、にわかが付け焼刃の知識を披露してるだけの、安い飲み会じゃねえか。にわかをコケにして憂さ晴らしでもしねえと、やってられるか」
「なんだと! にわかで何が悪い! 選手を応援する立場は一緒だろうがよ!」
オサムが声を荒げると、中年は困惑して男の背をさすった。
「ちょっとお、やめなよ、辰三さあん。いくらプードルズが負けたからって、飲みすぎだよお」
どうやら男は辰三さんと呼ばれているらしい。だが辰三さんはそんな中年の言葉など意に介す様子はない。




