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店内のプロポンピーファンはそれぞれの話題で盛り上がる。オサムと純太は若干、気後れしながらも近くのグループへの潜入を試みる。みな、熱っぽく今夜の試合の回想などをしている。
二人は割って入れそうなタイミングを見計らい、会話の中に滑り込む。幸いみなフレンドリーで、にわかながらもたちまち二人は打ち解けた。
いくらか酒も進み、お互いの気心も知れた頃、二人組の女性ファンが近くの席に着いた。
「あー。そのキャップ、もしかしてペリカンズのファンの人ですかあ?」
年上気味のロングヘアの女性がオサムのキャップを指差して言った。珍しく女性のほうから声をかけられ、しどろもどろで返答する。
「あ、ああ。実はそうなんだよ。今シーズンは不調だったけど、最終戦は見ときたいと思ってね。んで、こいつがピッグスファン。俺の後輩」
オサムは会話の間をもたせるため純太を巻き込む。するとロングヘアの表情が更に明るくなった。
「わあ、すごーい。実はこの子もピッグスファンなんだよ。こんなことって、あるんですねー」
そう言うとロングヘアは連れのポニーテールの肩を抱いた。こちらの女性は背が低く、いかにも内気そうだ。
「マジっスかあ? 俺の周り、ピッグスファンが極端に少ないから、めっちゃ嬉しいっス」
「ど、どうも。私も、う、嬉しい、です」
「あー、気にしないでぇ。この子、初対面はいつもこんな感じだから。打ち解けたらまるっきりおばさんなんだけどねえ」
ロングヘアが笑いながらそう言うと、オサムがすかさず切り出した。
「ねえねえ、それじゃあ、君もペリカンズファン?」
「そうだよー。ペリカンズの本拠地って、ウチの地元なんだよねー。田舎もんってのがバレちゃうけど」
「まじか? すげえな。それじゃあ、練習中の前田とかも見れたりするのか?」
「タリの前田よ。里帰りしたときは公開練習とか見に行ったよー。前田勘太選手、ちょーカッコいいよねー。特にあのマエカン蛸踊り」
相槌を打つオサムにテーブルの下から純太が肘で脇腹を小突いてきた。
(先輩先輩。なんかめちゃくちゃいい感じじゃないっスかあ。もしかしてこれって、運命の出会いってやつじゃないっスかあ?)
(おう。俺もそう思ってたとこだ。二人とも結構可愛いし、グイグイきてるし。ここは男として連絡先をなにがなんでもゲットしようぜ)
二人が小声でそんなことを言い合っていると、ロングヘアが首を傾げたが、二人は笑ってごまかした。
やがて四人は打ち解け自己紹介。ロングヘアは沙耶子。ポニーテールはマヤリといった。




