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剣士と棺桶2

暑い日差しが、木漏れ日として男性と私に振る。tシャツと短パンでもやはり暑い。



「暑いですねー」

「ああ」


男性は緊張した面持ちで先に歩く私を、心配そうに見下ろして歩いている。


「お兄さんは大丈夫ですかー? 鎧って重くて熱いって聞くんですけど?」

「俺は大丈夫だ。それよりもキミのほうが……」

「あ、大丈夫ですよー。私、身体能力異様に強化されているんでー。それと仕事ですし」


私は男性に短剣を持ってもらい、私は棺桶を横に抱いて歩いていた。以前、ネクロマンサーに言われたのだ。女の子と一緒に相手を抱えながら屋敷に案内した後。ソファの上で眠ろうとした私にネクロマンサーが言った。どうも相手の肉体に損傷ができ、ネクロマンサーは怒り、ショックを受けていったからだ。


『アユメ』

『はい』

『もし。誰かがボクに起してほしい人を連れてきたときは、その相手を確実にキミが運ぶこと』


ワードを使われてまでだ。そしてその間は身体強化まで施されている。普段の私であったら屋敷の窓から地面にぴょいと着地することなんてできないし、私の両腕では棺桶を長時間持つこともできない。素早く動くこともできない。反射で武器も装備するようにもなっている。だから彼にとってきっとこれは重大なことだ。


私はさくさく歩く。素足ではないから、歩きやすい。石を踏み痛みも傷がつくこともない。男性は相手が心配なんだろう。数歩、数十歩を歩いては「キミは大丈夫か?」「大丈夫ですよー」や「お兄さん、鎧重くないですかー?」「俺は大丈夫だ」の繰り返しだ。そろそろお互いに学習しなくてはならない。


それにしても暑いなあ。虫の音がこだましてくる。この音で屋敷が近づいてくるのがわかる。暑さと虫のうるささに眠りたくなる。動きたくない。それでも歩く。私の足がだらけ歩みを止めようとすると、足が勝手に動き出すからだ。


「お兄さん、そろそろつきますよー」

「そうか」


私の言葉に背後からを通してなのに、お兄さんは妙に気を引き締めた。



屋敷の前にたどり着くと、ネクロマンサーが立っていた。白衣を羽織り黒いズボンにスリッパ。


「おかえり」

「ただいまもどりましたー」


私は挨拶をして庭へと向かう。私が歩き出し、男性は戸惑う。男性の相手が離れるからだろう。ネクロマンサーはスリッパをぱたぱた鳴らし男性に言った。


「蘇生魔法を選ばないで、よくもまあこんなところにきたね?」

「俺は剣士のっ」


男性が名乗ろうとしたけど、ネクロマンサーは手を前にして止めさせる。


「あー、いいよ。そういう名前とか、理由はさ。あなたは蘇生ではなく僕を選んだんだ」

「お願いします!」

「まあ、部屋でお茶でものみなよ。夜まで時間はあるし」

「……っ! あ」


こここから、私の聴覚では二人の声を拾えなくなった。私は相手を庭へ運ぶ。


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