剣士と棺桶1
その日は、私は床に寝ていた。眠かったからだ。このまま眠っていたかったのだけど
「アユメ」
そのワードを聞いた途端。
肉体が勝手に動く。両手が近くのものを握りだす。即座に私の身体は軽やかに窓から飛び降り、地面へち着地した。もちろん服を着ている。Tシャツと短パンだ。靴下も運動靴も履いている。
私の身長よりも高い門を跳躍をし飛び越える。また着地し、走る。走る。私は死体であるために汗はかかない。疲れない。肉体の疲労を感じない。
この肉体の全速力で走る。
なぜ、私の身体は勝手に動いているのだろう。なぜ、ワードを言われたのだろう。そう考え出そうとして、答えは目の前に見えてきた。
男性が一人。背中には太刀。剣士だ。
そういうことか。私は一人で勝手に納得をする。意味がわかると私の走りは早くなる。足の回転を速くした。
すると、すぐに男性は私に気付き、太刀を構えた。
「だ、誰だ!?」
おかしい。なぜ警戒される。私は自分の恰好を見て納得をした。両手ともに短剣を握っているのだ。これは警戒されるに決まっている。
「あの、ネクロマンサーに御用ですか?」
「っ!」
男性の持つ太刀が揺れる。当たりかもしれな。私は敵意がないと示すために、短剣をぽいと男性のほうへ投げ捨てた。男性は警戒をしたまま、その後ろには棺桶が一つ。
「私はネクロマンサーに仕えているものです。その、あなたは、あなたが守っている相手を起こすために来たんですよね?」
あえて、男性の後ろにあるものを棺桶と言わないで相手という。たまに棺桶という怒る人がいるためだ。
「どうして、それを……」
男性は構えたまま、目を見開く。
「ネクロマンサーの屋敷に近づく人はたいていそうだからです」
ネクロマンサーは私にワードを使うとき。それはすぐに誰かを起こすためだ。