キーホルダー
あの時の僕は、ただただあなたの側をついてまわることしか出来なかった。
それが僕の精一杯の片思い。
あの時、あなたはとても大きくとても優しかった。
僕はあなたの顔をしっかりとは思い出せない。
それでもあなたはとても柔らかく暖かい笑顔を絶やさなかったことは覚えている。
そんなあなたに僕は恋をした。
いつも僕を迎えてくれるあなたの温もりに僕は絶対にあなたの側を歩くと決めていた。
そんな思いもそう長くは続かない。
僕が大きくなる前に、あなたは僕の前から姿を消すことになる。
それを僕は見栄を張って、受け入れているように見せることしか出来なかった。
それでも、あなたは笑っていた。
あの時一緒に聞いたあの曲を僕は忘れない。
あの時、最後にくれたあのキーホルダーを僕は忘れない。
今では深い記憶の淵へと行ってしまったあの思い出とキーホルダー。
それでも、僕は覚えてる。
あなたがあの日も笑っていた事を…
それは僕にとって、大切な離れることのない記憶のキーホルダー。
いつも僕のそばにある大切な贈り物。