第7話 村だー!人だー!
どうも、鯖こと柏木梨々です。今日は大晦日で明日はお正月ですね。少し早いけどあけおめでございます。
大晦日なのに紅白も観ずに、というかテレビすら観ずにひたすら小説を執筆する私を誰か褒めてください(笑)冗談です。
とりあえず、何とか今年中にもう一本話を上げられたのは何よりPVの増加……つまり皆様の応援のおかげでございます。
来年も頑張りますので、閲覧と良かったらブックマークやポイント、感想などよろしくです。
メアが泣かれながら俺に死ぬなと言ったあの日から、二日ほどが経った。
何日も何日も歩いていると足が痛くなると思うのだが実はそんなに疲れていない。前世の俺ではこんなに歩くなんて絶対に無理なのに。異世界補正?分からん。
とりあえず、メアにも言われたので死なない程度に頑張りたいと思っている。
そんな風に考えながら、時にメアと軽い雑談をしながら森をひたすら進む。方角を間違えてしまいそうな気がするのだが、実に運がいいことに村と思われる場所の近辺に一つ、頭が抜き出た木があったのだ。まじでラッキー。
そんなこんなで進んでいくと……え?ま、まさか……う、嘘だろ?
「り、りんごの木……だと?」
唐突すぎる。謎すぎる。森林の群れを抜けた先には、大量のりんごが生った木々が生い茂っている。ご都合主義すぎだろ。異世界さん。
「りんご……ですか?これはリーゴンの実ですよね」
「リーゴン?」
「はい。赤くて甘い実が特徴の果物です」
なるほど。リーゴンとは。何ともネーミングセンスがないな。おい。
だが、そんなことはどうでもいい。俺は野菜が食べたいと言っていたが果物でも最高だ。だって君たち、一か月近く肉ってどうよ。一回やってみ?絶対肉が嫌いになるぞ。
「ですが、こんなに大量のリーゴンはみたことがありませんね。なんせ高級品なので希少なんですよ?」
「そうなのか。俺は肉だけの生活に飽きていたからちょうどいいな」
「メアもそろそろお肉だけっていうのは飽きていたので、食べたいですね。もちろんお肉も好きですけど」
「じゃあ持てるだけ収穫するか」
「そうですね。いささか高い場所にあるのが難点ですけど」
「あぁ。それなら心配ないぞ」
俺は硬度の高い氷を槍状に変形させたものを複数作る。そう。これを飛ばしてりんご、じゃない。リーゴンを落とすのだ。
「よいしょっと」
俺が氷槍を操作すると、枝の方からリーゴンが落ちていく。落とすリーゴンの下には氷を粉々に砕いたものを敷いているので実が傷つくことはないはずだ。多分。それにしても、大量のリーゴンが落ちてくのは爽快だ。……大丈夫。全部食べれるから。
「じゃあ、落ちたリーゴンを拾おうか……ん?どうした?」
「い、いえ。何でもないです!これくらいはレキさんなら普通ですよね。あははは……」
ボーっとしていたので、話しかけたのだが何でもなかったようだ。まぁ、何も無いならいいか。
「よーし拾い終わったな。じゃあ村へ向かおうか」
「はい!そうですね!行きましょう!」
ちなみに、拾ったリーゴンは魔物の皮を加工したもの……鞄ではないが数個のリーゴンが包めるほどのものをメアを俺で持っている。村に行けばちゃんとした鞄があるであろうか。というか、その前に異世界系にありがちなアイテムボックスが何とか使えないか試行錯誤したいと思う。
「これくらいあれば、あと数日は持つかな」
「そのくらいなら十分かと」
「そうか。まぁ、運が良かったな」
「そうですね」
そんな会話をしながら俺たちは森の中を進んでいく。たまに俺が氷の階段を作って村らしき場所を確認しながら進んでいるので、迷うことなく順調に進むことが出来ている。ちなみに、大きな木もあるのだが、何となく不安になるからである。
たまに魔物が出現すると反応が鋭いメアがだいたい倒してくれるので正直俺は何もやっていない。
「あー、聞きたいことがあるんだけどさ」
「はい?」
「異空間にものを収納できたりするアイテムボックスって聞いたことある?」
「異空間という言葉は初めて聞いたのですが、アイテムボックスというのはありますよ?」
「まじかー!やっぱあんのか!で、使い方とか分かるかな?」
「すいません。メアは魔法が使えないので……」
「ああ。そっか。でも謝らなくてもいいのに」
「レキさんの希望に添えなかったので。謝るのは当然のことです」
「まぁいっか。ありがとうな」
「いえ。とんでもないです!」
そんな会話を続けているうちに、あれは看板か?遠目から見ても何となくわかる。木の板に何か書いてる。
『コノサキ、アンテイルオウコク、ナギアムラ。ナギアドウサキ、ガクエントシ、リエーカ』
うわぁ。全部カタカナだよー。まぁ意味不明な文字並べられるより全然いいんだけどさ。まぁありがたく思っておくか。
「メア。この文字読める?」
「え?はい。読めますけど」
「うーむ。この言葉って一部の種族の言葉だったりする?」
「いえ。全種族の共通語ですよ。まぁ種族語もありますけど、この言葉が一番スタンダードですね」
「そうか。良かった。創造神さまさまだな」
「うん?何か言いました?」
「い、いや!何でもないぞ!何でもない!」
ごまかせたとは思わないが、何か察したのか、それ以上は追及しなくなった。いい子や。気遣いができるいい子や。今更だけど。
「そ、それより!もうそろそろだな!ナギア村?」
「そうですね。メアも竜里以外の村へ訪れるのは初めてなので、楽しみです」
看板の先はしっかりと整備された道が整備されていて、魔物や狼などが出てくることはなかった。イージーでいいわな。さいこー。
しばらく歩いて行くと、弓を持った男の人と道の真ん中ですれ違った。
「あ、こんにちはー」
「あなたがたも狩猟をしてきたのかい?」
おいおい。挨拶くらい返せやオラァ……まぁ、俺の声が小さかったのかもしれないからしょうがないかな。うん。久しぶりにメア以外の人と会話したからな。
「ま、まぁそんな感じですね」
「そうか。大変だっただろ」
「え、ええ。ここの魔物は強かったです」
「え?魔物を狩ったのか?」
「は、はい。一人ではないですけど」
俺の後ろにいたメアがひょいっと顔を出す。可愛い。
「なるほど。竜族のお嬢さんですか。それなら楽でしょうね」
「あ、あははは。そうですね。全部やってくれるので」
メアが何か男に言おうとしているがやめてくれ。絶対批判だろう。ここで問題を起こされたら村に入れなくなるかもしれないので俺は必死にメアの口を抑える。
「じゃあな。若い兄ちゃんよ」
幸い、それ以上絡んでくることはなかった。
「もういいか」
狩人らしき男性が未知の向こうに通りスしていくのを確認してメアの口から手を放す。
「な、なぜあそこで口を抑えるのですか!これではレキさんの名誉が!」
「なぁ、メア。俺の名誉なんかよりな、俺はメアと俺の安全が第一なんだ」
「……」
「確かに自分の名誉が棄損されるのは気分が悪いんだけどさ。そんなことは今はどうでもいいんだよ」
「……」
「でもありがとう。メアが俺のこと庇ってくれたの、嬉しかったよ」
「はいっ!」
まだ完全に納得しているわけではないようだが、まぁ年齢的にしょうがないだろう。うん?そういえばメアの正確な年齢聞いたことないな。
「メアっていくつ?」
「いくつ、とは?」
「年齢」
「14ですけど」
なるほど。初めて知った。一か月近くの付き合いなのに。ということは竜族の成人って言うのは14歳の事を指すのか。
「レキさんは?」
「俺は、にじゅ……」
女神から補正された年齢を思い出す。ああ。俺15歳だった。
「15歳だよ」
「一つ上なんですね。まぁその安心感なら納得できます」
「安心感?」
「はい。レキさんと一緒にいるだけで、安心するんです」
メアの言ったことがよく分からなかったが、一応ありがたく思っておくことにしておこう。
そんな会話を続けている間にしっかりと整備された道を抜けて、村の入り口が見えてきた。少し感動だ。RPGで言うところの始まりの街、じゃなくて村だからな。……始まりが高山だったのは気にしない。
『ヨウコソ、ナギアムラヘ』
ご丁寧に歓迎文が村の入り口らしき場所に書いてある。まるで日本のようだ。
「やっと着いたな。村に!」
「そうですね!」
「とりあえず、宿でもとるか?宿ってあんのかな」
「うーん。とりあえず探してみます?」
そんなことを話していたら一人のお姉さんが話しかけてきた。
「旅の人ですか?」
「あ、はい。そうですね」
「後ろの女の子もですか?」
「は、はいっ!」
「この村は初めてでしょうか?邪魔じゃなかったら、案内でもどうですか?あ、お金は取りません」
「はい。ぜひお願いします」
来たー!初めての村!!そして村人Aさん!
とりあえず、ここはお姉さんの好意を頂くことにしようかな。
1月1日、誤字修正、など少しさせてもらいました。
1月17日、オウトリエーカから、ガクエントシ、リエーカに修正しました。