第4話 やはり、美少女(竜)は降ってくるものだった
長い間の休暇、本当にごめんなさい!
リアルで残念なことがありましたが、めげずに小説書きます。
いつもよりボリュームアップして投稿しましたので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
おまけ
鯖「いやー。リアルでいろいろとあったけど一件落着したし、小説書くか!」
知人「おう。頑張れよ」
鯖「がんばりまーす」
帰宅後……
鯖「ネタあるけど全然書けないよー!小説家ってすごいわ」
という具合で書きましたので見苦しいものになっておりますが、温かい目で見てくださいませ。
美少女が、降ってきた。
「……何でや」
しかも、角が生えてるよ。おかしいよ。この世界に来て初めて出会った種族が竜って、なんだよ。
これはあれか。出落ちというのか。だって、ビギナーがドラゴンに勝てる?
こういうのはものすごく強い騎士さんとか、魔法使いとかが戦うんじゃないの?ねぇ……
転移そうそうボス戦とかいう落ちはやめてくれよ。頼むから。でも可愛いよ。うん。竜娘って珍しいね。
「誰?」
話しかけてきたー!この世界に来て初?じゃないか。二人目の対話キター!
俺はレキでーす。15歳でーす。
「あ、はい。僕はレキと言うます」
あああああ……嚙んじゃったよ。これが彼女ができない理由だよ。交際できない理由だよ。第一印象で落ちるんだよ。
なぜかアイリスのときは普通に話せたんだけどね。女神補正かな?死んだら饒舌になるのかな?でもリアル美少女の前では会話も出落ちだな。
「レキ?」
「うん。レキです」
「レキは私を助けてくれたの?」
「降ってきたから拾っただけだよ」
すると竜娘ははにかみながら言った。
「ありがとう!」
やばい、かわいすぎな。竜娘。
世界よ。これが竜娘だ!
「あの、助けてもらったのに不躾で悪いんだけど……」
「何だ?」
「ちょっと休みたい」
そう言って彼女は、地面に倒れこんだ。
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とりあえず、俺は近くの洞窟に入って彼女を介護?というのか。見ながら思う。
「これ前の世界だったらギリギリ誘拐だわな」
ぱっと見、15歳くらいの外見。髪の毛は縛ってないで落ちてきたからボサボサだ。
そして、この角だ。もしかしたら、違う種族かもだけど空から降ってきたから竜と解釈してしまったのだ。ちなみに翼や鱗の類は、ない。
しかし、なぜこんなところに落ちてきたのか謎だ。
何もすることがないから、洞窟の外で魔法の訓練をすることにしよう。
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夢中で練習をしていたら、もう日が暮れていた。
「もう夜か……」
相変わらず、魔法の練習をしていたら時が過ぎるのが早い。まぁ、そのおかげでここまでめげずにやってこれたのだが。
軽い倦怠感は気にしないようにしている。
それにしても、焚き火の外でぐっすり眠っている少女をどうしようか。さすがにここで置いて行くという鬼畜な選択肢は善良な俺には持ち合わせていない。事情だけ聞いて、あとは大きい街でお別れという形にするのが一番であるだろう。
親御さんも心配してるだろうし、何より彼女が可哀想だからな。
「ん、んー……」
いろいろと考えを張り巡らせていたら、少女が起きた。
「よく寝ていたな」
「ここは、どこ?」
「ここは、うーん。名前は分からないけど山だな。君が空から落ちてきたから俺が拾って介護していたんだ。調子はどうだ?腹減ったか?」
一応腹は減っていると思っていたから、魔法の練習がてら魔物を狩っていた。干し肉でも良かったが、新鮮なものを食べさせたかったのだ。
というか、こういう時は温かいスープを出したりするのであろうが、生憎そんなスキルも材料もない。
「山なんだ!お腹減ったよー。えーと……」
「レキだ」
「あー!そうだった。レキ!」
「ん。ちょっと待っとけ」
そう言うと、俺は捌いて凍結させていた魔物の肉を溶かして焼き始める。この作業も随分慣れたものだ。
どの温度で凍結させるのが一番おいしく食べられるか。この結論を出すのにかなりの時間がかかった。
あと、この研究をしているときにもう一つの発見があった。
氷はある一定の強度より柔らかくならないということだ。これは同じ魔法、同じ魔力調節で検証したので間違いはないはずだ。
すなわち、氷の強度は低くしにくい、いや、低くできないということだ。
まぁ、肉をどうやったらより美味しく頂けるか研究していたらこんなことも知れて、一石二鳥というやつだった。
「ほら、できたぞ」
いわゆる、骨付き魔物肉を少女に渡すと目をキラキラさせた。
「これ、食べていいの?」
「君が食べたいと言ったんだろ」
そう言うと、すごい勢いで肉にかぶりつく。
「美味しいっ!」
やっぱり自分が作った料理を他人に美味しいと言ってもらえるのは、嬉しいものだな。
やって良かったっていうか。自分の努力が報われるというか。まぁ、そんな経験あんまりないんだけど。
「それは良かった。でもこんな雑な料理で悪いな」
「悪いわけないよ。とっても美味しいよ?」
そう言って俺が焼き上げた魔物肉を全て平らげた。
「あー。また焼くか」
「ご、ごめんっ」
少女は顔を真っ赤にしながら謝ってきた。
別に謝ることでもないと思うけどな。
「大丈夫だよ。お腹が減る辛さは知ってるし、何より自分の料理を美味しいと言ってくれて嬉しいしな」
「うん。ありがとう……」
「あー、あのさ。このまま君っていうのも何かおかしいし、名前教えてよ」
俺が食う分の肉を焼きながら問う。
「私はメアっていうの」
「メアって言うのか。可愛い名前だな」
「そ、そんなことないよ。でも珍しいかも。私のほかに聞いたことないし」
「これを聞くのは何というか。失礼だと思うが、メアはなぜ降ってきたんだ?」
そう俺が言うと、メアはさっきまでの表情を崩して黙りこくってしまった。
まずい。地雷だったか?
とりあえず話題を逸らしてみようか。
「とりあえず俺はこの山を下って街か村に行くのが今の目標なんだ。それでさ、メアをここに置いて行くわけにもいかないから、一緒に俺と行かないか?」
「ごめん。それはできないよ」
一定の長さ、一分くらいの静寂が俺とメアを包む。両者とも黙りこくっていたら先にメアが口を開いた。
「……私は、竜族なんだ」
顔をゆがませながら、唐突に語り始めた。それはもう、心の底から嫌そうに。
「竜族はね、14歳になったら変竜の儀式って言うのがあって完全な竜の姿にならないと大人の竜だって認められないんだ。その儀式って言うのが1日前にあって。私は竜になれなかったんだ」
そう言うとメアは、光に包まれる。
「……私は、欠落竜と言われる竜族の忌み子なの」
「いや、ちょっと待ってくれ。そもそも俺種族とか気にしないし。竜族がなんたらとか何言ってんの?」
「竜族は嫌われてるし、その竜族にも嫌われてるから里から抜けてきたの」
「それで?後は何かあんの?」
「え?」
「だからさ。別にいいだろ?俺はメアを拾ったから、助ける。それでいいだろ?メアが自分の事を教えてくれたのは嬉しいけど、俺にデメリットってある?」
「レキの迷惑になったりしちゃったり、レキが嫌な思いをしたり……」
「嫌な思いなんていくらでもしたことあるし。そもそもここにメアを置いて行ったら一生後悔してしまう」
「…………」
「あと何か話すことあるか?」
「無いけどさ……」
「じゃあ決まりだな。まぁいいじゃん?山を下って適当に大きい街に着いたら独り立ちしたら。とりあえず一緒にこの山下ろうよ」
俺がそう言うと、メアは声を上げて泣き出した。それはもう、心の底から安心したかのように。殺されると思っていたのか、何かされると思っていたのか。
俺が思うに、食事を与えた時から信用はされていたと思うが。そうじゃなきゃ降ってきたのはどうしてだと聞いた時に、自分の事情なんて言わないはずだ。
まぁ、これはあくまで予想だが。
「じゃあ、そろそろ寝るか。遅くなると明日の下山に響くぞ」
「……あのさ」
「ん?どうした?」
「一緒に寝よ?」
「……何でや」
……無理だろ。交際さえそんなに経験がないのにそんな事するなんて……
「そういう気分」
「しょうがないな。来いよ」
折れた。竜娘の温かい眼差しに負けた。……少しだけど自分の欲望も含まれて、る。
「やった!ありがとう!」
この後童貞で非リアな俺が、一睡もできなかったのはしょうがないことであろう。美少女が隣で寝ていて安眠できるわけがない。
ちなみに手を出す度胸が俺にはないことも明記しておく。
これからどうなるのか。
とりあえずこの子を安全に独り立ちさせるまでは安心できないな。