第3話 社畜の特訓
本当にごめんなさい。
内容が薄すぎるので後に編集します。
「よいしょっと」
パキパキ……俺の周りが氷の世界に包まれる。
「んー。だいぶ上手くなったなぁ」
俺は今、魔法というか魔力操作の練習をしている。
最初の頃は、範囲を広げて凍らせる練習をしていたのだが、それは魔力の無駄遣いであることを知ったので、今は狭い範囲でより高密度な凍らせ方を研究している。
それにしても、俺はこの一か月を経てかなり強くなったと思う。完全な下山はまだだが、少しずつ魔物を倒しつつ山を下れているからだ。
あと、魔力が若干ではあるが翌日に目を覚まして増えているのを確認するのが、社畜時代に必死に貯金していたのを思い出せて懐かしい。
「おっ熊だ。よっこらせっと」
熊の体内のみを凍らせた。これで毛皮などを剥いで毛布や洋服代わりにしているのだ。これで魔物の体内運動が止まるからあとは、低温で凍らせて自然解凍して食べるというわけだ。
勿論生ではない。小学生のときに火おこしの体験的なものをやっていたので、頑張って思い出しながら焼いて食べた。
しかし肉ばかりでは、ほんとにきついので早く下山して野菜を食べたいと思っている。
最初のころに、温度の調節ができなかったり頂上が寒すぎて自然解凍できなくて、餓死しそうになったのは今ではいい思い出だ。
……いい思い出ではないな。
それと、氷をそのまま出せるようになったのもこの一か月の成果だ。
今までは、物体を凍らせることしかできなかったが今では無の状態から氷を作り出せるようになった。大きさや形も操作できるようになったが、どこまでできるかはやっていない。
槍の形にして魔物を串刺しにしたこともあったが、魔力の燃費が体内凍結の方が良かったので今はあまり使用していない。
これが、一か月の特訓の成果だ。なかなかのものであろう。とりあえず、今のところは自給自足や魔物の撃退を軽くできるようになった。
と、一か月の成果の振り返りはこんなものにして魔法の練習に戻るとするか。
今日は、薄くて硬い氷の壁を作ろうと思う。今までは防御する間もなく、魔物を倒せていたからいいが、これから先どんなことが起きるかわからない。
故に、自分を守る手段を何か作った方がいいと思ったわけだ。
早速始めるとするか。
「よっと……!」
現象をイメージして魔力の操作をするが、なかなか上手くいかない。壁は作れるのだが、どうしても分厚くなってしまうのだ。しかも脆い。
「んー、難しいな」
俺はこれまで、現代の文明機器をイメージしたりして魔法を開発したりすることができたのだが、氷の壁というのは、見たことがないのでかなり苦戦する。
「あ、もうこんな時間か」
気づいたら、もう日が落ちていた。
最近、生活が充実しているせいか、かなり時間が早く過ぎている気がする。
「今日はもう寝るか」
いつも通り洞窟を探して、俺は眠りについた。
◇
「はっはっはっはっは!今日も増えているな!快調快調!」
朝早く起きた俺は、魔力の増加を実感して、とても気分よく朝食を済ませたのだが、すぐに魔法の特訓という現実に引き戻される。
現在の課題は、壁を薄くすることと硬度上昇である。
壁を薄くするのは、魔力操作が大事なので今は硬度上昇に励むことにする。
試行錯誤を繰り返す俺は、ふと思った。
「鉄みたいに硬くなんないかなぁ」
鉄、鉄、鉄……パンチくらいなら余裕で弾き返せるくらいの……
てか、鉄の強度になったら強くないか?まぁ、そんな事起きるわけないしどっちにしろ火には弱いわな。
そう思っていた矢先だった。
「!?」
何と言うか。俺は今、魔法がとても便利なことを知った。一応知っていたけど今日、更にすごいことを知っていたしまったのだ。多分、魔法の概念を覆してしまったかもしれない。
でも、この世界の魔法師はもっとすごいんだろうけど。
氷属性の特徴。それはすなわち凍る、固まるというのが一番にあげられるのではないか?あと複数挙げるとすれば冷たい、融ける、などであろう。
俺が思うに、氷の性質を強引に変えてしまったのかもしれない。氷の強度が、明らかに今までのものより高くなっていたのだ。
「鉄くらいは触ったこともあるし、強くイメージできるからこうなったのか。でも硬度は高くなっているけど、冷たいとかは変わんないな」
氷の性質変化というよりは、氷の強度を返還したということかもしれない。んー。本場の魔法使いがどんなものかわからないけど、相当強くなったかもしれない。
ただ、火属性の魔法には多分、というか絶対弱いので何とか対策したいところである。
あとは、魔力操作をより精密にできるようにすれば、壁の厚さも改善するであろう。
今日は、魔力も少なくなってきたので魔物を狩って休むことにしようか。
◇
多分、街に行ってそこら辺の不良に絡まれても追い返せるくらいの力は手に入れたと思うので、今日から下山ラッシュに入ろうかと思う。
……大丈夫だよね?
今の位置から推測するに、俺の体力だったらあと二日もあれば、十分に休みながら行っても問題ないはずだ。
言うまでもなく、今までここまで下山するのに一か月もかかったのは、魔法の特訓をしながら魔物を倒すを繰り返しながら少しずつ山を下りていたからである。
「よっと」
安定した体内凍結で魔物を殺していく。もう熊の魔物や地竜くらいなら余裕で倒せるようになっていた。
なので、この作業とも言える魔物の一掃はこの一か月で本当に飽きてきた。
そして、野菜を食べたい。
「あー。暇すぎるー」
こんな独り言もしょうがないだろう。なんせつまらなのだから。
「こんなときに異世界ものみたいに美少女がとなりにいたらなぁ……」
そんな馬鹿みたいなことがあるわけないだろう。だが、非リアの諸君よ。想像してみてくれ。会社に通勤するときや登校するときに美少女がとなりにいるのを。
思わず口元が緩んでしまう。
だが、後に思った。これがフラグと言うものだったのでは、と。
空から、美少女が降ってきた。