Episode3
遅くなって申し訳ないです…
俺は恐る恐る目を開けると…
「…良かったぁ」
影のようなものは綺麗にいなくなっていた
しかし…
「良かったじゃないわよ!何やってんのよ!!」
燐にスパンッと頭を叩かれる
(…痛い)
嵐が過ぎ去ったあとのような感じになっていて、ロビーにあるものすべてが壊れ、倒れている
完全にお咎めアリの風景だろう
(でも、あのまま全員で固まってやられるのを待つくらいなら…)
「アンタ!室内で手榴弾投げるなんて、正気の頭じゃありえないわよ!」
「だって、何もしないで襲われるわけにはいかないだろ!」
「そ、それはそうだけど…」
全員がロビーを見まわし青い顔になっていると…
「おおきに!おおきに!あんさん強いなぁ~」
俺が爆破したところを見てしゃべるウサギがぴょこぴょこ跳ねて喜んでいた
「な、何なんだ…!こいつは」
斑が俺の後ろに隠れてそぉーっとウサギを見ている
「わいは『白ウサギ』や!スペードの女王の右腕やでぇ」
(…何か厨二なことを言ってる)
多分…ここにいる全員が思ったことだろう
しかし、気を取り直して質問してみる
「で、お前はここで何してんの?」
「女王を守ってくれる、幼馴染の騎士を探しに来たんや!」
「「ふーん…」」
その厨二過ぎる探し物に驚愕しつつ、全員が軽く流す
…だんだんよく分からなくなってきたのでここは逃げるべきではなかろうか
「そや!あんさんたち今から言う特徴の少年知ってたら教えてくれへんか?」
「まぁ…それくらいなら」
「いいよ!」
「おおきに!じゃ言うで、白い髪に黒い瞳で…」
(ん…?)
まぁ…そんな見た目の奴、この世にもたくさんいるだろう
「ピアスをぎょうさん付けていて、いろんな爆弾と十字架っちゅー形の剣を持ってる…」
「俺です!」「「帝です!!」」
またもや見事にハモった
俺たちは意外にコンビネーションがいいのかもしれない
「おぉ!あんさんか!早う見つこうて良かったわ!」
そう言ってウサギは俺のズボンをつかんで引っ張り始めた
(意外に力強いな!?)
「お、おい!どこに行くんだよ!」
「女王のところや!騎士様ならクラゲもこの国も救おうてくれるっていっとった!」
「女王って誰のことだよ!俺はそんなやつ知らない!名前を言え!」
「椿様や!椿様はあんさんを探せと言った!」
ウサギは耳をとがらせながら言った
(椿…だと?)
「おまっ!椿が…椿に会えるのか!?」
「せやで、城でわいがあんさんを連れてくるのを待っていらっしゃるんや!」
(本当に、こんなやつを信じていいのか?)
でも、藁をもつかむ思いで探し続けた幼馴染だ…こんなチャンス滅多にないだろう
「…分かった、行く」
「お、おい待てよ!誰なんだ?椿って」
「去年…兄さんと僕はここに越してきたんだ、越してくる前に住んでいたところで一緒に遊んだ幼馴染の女の子だよ…3年前行方不明になったんだ」
「え!?行方不明?」
「手がかりも痕跡も、何一つ見つからなかった…!俺はあいつの剣なるって約束したのに…守れなかった」
3年前からずっと悔やんでいた
俺がそばにいれば、こんなことには…と
「少しでも、希望があるなら…俺はそこに縋る」
俺はウサギと共に駆け出した
「待って!ウサギさん…俺たちも一緒に行っちゃダメ?」
零が合唱のポーズでウサギにそう頼んだ
「ええよ!仲間は多い方がええわ!」
「お前ら…これは俺の問題なんだぞ?」
「良いさ、面白そうだし…友達1人を危険なところに連れていけないよ」
そう言った斑は照れ臭そうに笑った
「…ありがとう」
俺も顔をそらしながら礼を言う
「じゃあ、【穴】の場所までレッツゴー!」
ウサギの案内で俺たちは別荘の奥の部屋に向かった
この先も何本か出来てるんですけど、投稿は1週間後くらいになるかもです。