襲撃されます
この世界『まもない』は全寮制の私立蒼風学園を舞台に物語が展開していく。なので、学園の外のことはほとんどわかっていなかった。俺も実際にこの世界に転生していなけれはわからないことだっただろう。
この世界は警察が当てにならない。警察察の犯罪もかなり頻繁にニュースで流れている。最近ではSPによる政財界の要人の殺害なんてのもあった。凶悪犯罪の件数も多いらしい。
警察の信用が地に落ちたために、民間人による警備会社の設立が急増した。
今俺は、狭い路地を一人の男性を連れて進んでいる。路地の出口が見えた時、二人の人間が立ち塞がった。
俺は、チラリと後方の安全を確認して男性に下がるように指示した。
「…俺の後ろに下がって下さい。」
「あ、ああ、わかった。」
男性の顔は青ざめてる。まあ無理もない、立ち塞がった男達が手に持っているのは、今じゃ比較的手に入れるのが簡単になった、黒くてゴツゴツしてるもの、そう、拳銃だ。
「おい、後ろの男をおいて消えろ。その可愛い顔に傷つけたくないだろ。」
「ハハハハハ。」
野郎、俺が気にしてる事を!!
ぶっ殺す!!
「やなこった。お前らが消えな。」
言うと同時に俺は駆け出した。
俺が動き出すのを見た男達は慌てて銃を構える。
この素人が。
銃を持ってるなら最初から構えてないと駄目だろうが。
男達との距離はおよそ3メートル程度。これぐらいの距離なら奴らが照準を合わせる前に辿り着く。
俺は、前に立つ男の銃を握る手を飛び上がりながら上に蹴り飛ばし、そのまま空中で体を捻りながら顔面に蹴りを叩き込んでやった。
「テメー?、このっ!」
もう一人の男がナイフを手に突っ込んでくる。
けど…遅い!!
「ォラァ」
男のつきだしてきたナイフを半歩分体をずらし回避し、それと同時に左手でナイフを持ってた手を掴み、右手で男の眉間に裏拳をあて、そのまま男を一本背負いの要領で投げ飛ばした。硬いアスファルトに叩きつけられた男はそれで気を失ったようだ。
「ふぅ、よし!!」
一息ついて、先ほど下がらせた男性を見てみると、幾分か顔色も元に戻ってきた見たいだ。
「さすが、最近巷で評判の警察会社のエージェントだ。武器を持った人間をこうも容易く倒すとは。」
「それほどでもないです。それでは目的地まで もう少しなので先に進みましょう。」
そう言って俺は目的地に向かって進みはじめた。