仲がいいこと、悪いこと
1/26 更新
1/28 修正
えっと、何だったかな? ああ、『なんで人間界で高校生を』ってところか。
結論から言うと魔界を必死こいて逃げ回ったはいいけど行くところがなく、仕方がないので人間界への扉を無理やり開いて来たわけだ。
で、今。
「夏島君は初めて見た時と印象が違う気がする……なんでかな?」
「ああ、それは一理あるかも」
副委員長の怪訝そうな声と、素直で軽い声が聞こえたので答えることにする。
「猫かぶってたから」
「ホントに?」
「嘘」
「じゃ、なに?」
「腹がすいてるから」
「……マジで言ってんの?」
「さあね」
二つの息をつく音が聞こえた。この感じからして十中八九ため息だ。いつもため息をつかれるのですぐにわかっちゃった。
「なんていうか……」
「なんだい副委員長」
「なんていうか、夏島君は気の抜けた雰囲気を持っているね」
失礼な。
「私は気が短いんだけど、なんだか夏島君を怒る気にならない」
俺は机に肘をつけて右の席に座る副委員長を見た。ため息混じりに笑っていた。うぜぇ。
「そりゃどうも」
副委員長は自分の頭をガシガシ撫で始め、既にあたまのテッペンがボサボサしてる。
頭というよりか髪の毛か。副委員長の髪は肩ぐらいの長さで、地毛なのか染めているのかわからないけれど、その色は茶色っぽく見える。
絶対、イライラしてると思うんだけどな。
「さて、お腹がすいている夏島君の今朝の朝食はなんだったのかな?」
なんでまたそんなことを。
「食べてないよ」
「マジで?」
淡島君は俺に尋ねる。
「ちなみに昨日も食べてない」
「それは良くない」
副委員長は半ば真剣な顔をした。でも声は棒読み。もしかしたらツッコミ待ちなのかもしれない。
だとしたらごめん。スキを見てツッコんでやる。覚悟しておけ。
「朝食は大事だから食べなさいって」
「でも一昨日の夜は食べた」
「それは良かっ――――おとといのよる?」
「そう、一昨日の夜。それがどうしたって?」
尋ねると、二人は顔を見合わせた。
「夏島君は昨日丸一日何も食べていないのかい?」
「? そうだけど?」
答えるとまた二人して顔を見合わす。いつからそんなに仲が良くなったんだろう。さっきまで淡島君は副委員長に泣かされていたというのに。
「あー、えっと……僕はなんて言ったらいいんだろう?」
「『その時は何を食べたの?』って聞けば?」
「ああ、うん! それ名案!! えと、その時君は何食べたの?」
何と言うべきか、淡島君のオツムには何が入っているんだろう。オムツが入っているのかもしれない。だったらさっさと取り替えないと良くないと思う。彼のためにも。彼の家族のためにも。
とにかく、
「何食べたって……まぁ、活きのいい……魚? みたいなやつ。ま、安っぽかったけど結構歯ごたえがあったっけ」
「魚一匹。で……それだけ?」
「それだけ」
「「………………」」
シィーン。なんで二人とも黙るかな。てゆーかあんまり淡島君が黙り込むと、彼が死んでしまったのではないかと錯覚してしまう。
「あー、おっけ。えーと、委員長」
「なにかな、副委員長」
「提案があります」
「聞こう」
「保健室に行ってください」
「…………」
「ソーダソーダ」
「委員長はお疲れです」
「…………」
「ソーダソーダ」
「よく考えておくので委員長は柊保健女医とゆっくり休んできてください。先生には私が話しておきます。」
「…………」
「ソーダソ……えぇぇぇぇええええ!?」
仲がいいこと、悪いこと
筆がノったので更新。
なんだかどんどん筆者のボキャブラのなさが披露されていく。