部屋
1/7 ひっさしぶりに更新
三谷が拉致されて数時間後には天界の塔が空から降りてきた。テレビはやかましいし、そこらの人間も携帯で写メを撮っている。
彼らは自分らの命があとどれくらい残っているのか考えたことはあるのだろうか?
人間は弱い。長い間生きることはできないし、欲に溺れて堕落する。
あの塔は天界と人間界を繋ぐトンネルだ。もうすでに天界の兵士が街に溢れて、人間をこそこそ殺している。
ここに来るまでだって何匹か倒してきたしな。
だからさ、淡島。せめて正直な君はそのままでいてくれ。俺はここで冷蔵庫を漁りながらそう願っているよ。
「なるほどなるほど、三谷がその天使……さん? に連れ去られてしまったわけだけど。夏島君はこれからどうするんだい?」
「まぁ、天界に行って三谷を取り戻すのが一番だけど……」
「うんうん、そうだね。僕もそれがいいと思う。けど君はどーして僕んちに来て冷蔵庫のモノをガッタンガッタン外に出しているのかな?」
「いやね、天界に行く前にちょっと魔界に調べものとかしようかな……なんて思ってさ」
「じゃ、さっさと行けよ! なんで僕んちにいんだよ!! うちの冷蔵庫は魔界につながるトンネルか!? そうなのか!!? ちげえだろ!!!」
うるさい男だ、淡島よ。
そんなに叫んでたら脳みその血管が切れてしまうんじゃないか? 俺はとてもそれが心配だよ。
「実は……」
「え、マジで……?」
「そんなわけねえだろ」
「やっぱそうじゃねーか!! 違うんじゃねーか、バーカ!!」
「当たり前です、人間。リードはただ出番が全くなくなったキャラのとこに来て「ちょっとくらい喋らせてやるか」的なノリでここに来たのですよ。おわかりですか?」
「――!? て、天使だ。夏島君の話全然信じてなかったけどホントにいるんだ……天使って」
「おまえ……せめて話半分でも信じろよ……。どうやら時間がないらしい」
俺は悲しくって悲しくって。
「そこらにいる雑魚を倒すのが面倒になってくるよ」
「え……ええええええええええええ!!??」
淡島は驚いた顔でこちらを見た。
グワシ、と雑魚一匹の頭を掴んで潰す。後ろから切りつけるとは卑怯ではなかろうか。手土産に剣を奪ってやった。
「こんな雑魚兵士をよこして俺が捕まると思うのか? あァ?」
「いいえ。これは訓練のようなものです」
「クンレン? 悪いけど皆殺しにしちまうぞ」
「その子らは別に構いません。天界の兵はまだ腐るほどいますので、今日はこれだけです。来るなら来なさい、リード。早くしなければ三谷桜子は取り返しのつかないことになりますよ」
「畜生が」
では、とガブリエルは消えた。一体、アイツは何がしたかったのだろうか。よくわからない。
「さあて、十何匹かな? 淡島、そこを動くなよ」
「う、うん……」
途端、俺はリビングにいる雑魚一匹に剣を投げる。避けたところで頭に一発蹴りを入れる。次の敵の剣を避けて裏拳一発。
体ごとひねってパンチで頭を床に叩きつける。
「は、はええ……」
「な、なんて速さだ。とても並みの天使では追いつけないッ!」
「褒めてくれてど う も!! おら、お前はチョンパだ!!」
手刀で首を落とす。
「チョンパチョンパチョンパチョンパチョンパーーーー!! てめえら全員チョンパだああああ!!!!」
俺は雑魚の手から落ちた剣を手にとって、いっきに敵を切り刻む。
こういうのはなんだか懐かしい気持ちがする。昔もこんなふうに敵を皆殺しにしたような……そんな気がしないでもない。
「ひい! あ、悪魔め!!」
と、最後の一匹が叫んだ。
「紹介どうもあ り が と う。ならお前はなんだ? 悪魔か? 人間か? まさか天使なわけねえよな? そんな腰抜けが、ワルイワルーイ悪魔から人間を守ってあげる、上から目線で自称崇高な天使なはずがねえよなあ?」
「く、ぶ、無礼者!! 天使兵小隊長のこのケンレンが悪鬼悪魔を成敗して――」
説明なげえよ。長すぎて、聞くに耐えなくてブチ殺しちゃったじゃねえか。淡島には悪いことをしたな。部屋が荒れ放題だ。
「悪いな淡島。出番がもうないからってお前を引っ張り出しちまって」
「いや、部屋を荒らしたことを謝れよ」
「ホントウにすまなかった」
「おい、それはなんに対してだ」
「や、悪いって心の底から思ってるから。今日はこのへんで」
そんなこんなで、「説明しろ!!」という叫び声は無視して、俺は淡島宅から姿を消した。
部屋
自分でもなんでこんなに時間が空いたんだかわかりません。
待っていてくれた方がいたのなら、へい、お待ちどう様です。