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くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!

作者: パパノタマ
掲載日:2026/10/23

「よし、ようやくラスボスのあくまマンのところまできたぞ!」


「よくきたなゆうしゃよ、だが、お前はここでしぬのだ!」


「いや、おれはしなないぞ!」


「それはどうかな!くらえ!キングシャーク!」


「おりゃ!」


カキンカキンカキン!


「くそ、けんでこうげきをはじいたか。ならこれはどうかな、くらえ!せいかビーム!」


カキーン!


「あぶない、マイケルおじいさんからたてをもらっておいてよかった」


「なんだと!?こうげきが全部はじかれた!?」


「よし、反げきだ!くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」


「ぐ、ぐおおおぉぉぉ」


「やった!あくまマンをたおしたぞ!」


「ゆうしゃ、よくやった、おれのそうぞうをはるかにこえた力だ…」


あくまマンがしんでから、アメリカの町は平和になりましたとさ。


めでたしめでたし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ハンバーグを焼いていると、息子が自由帳を持って走って来た。


「ママー!漫画描いたよ!読んで!」


さっきからノートと向き合って何してるのだろうと思っていたら、漫画を描いていたのか。


「ママ今ご飯作ってるからあとでね」


「はーい」


 5歳の息子が描いた漫画は一体どんなものなのだろう。私はいつもよりも手際良くハンバーグをお皿に盛り付けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ママ!さっきの漫画よんでね!」


 食事の後始末を済ませると、すぐに息子が私の元に駆け寄って来た。


「はやくよんで!」


 この自由帳の中にはどんな世界が広がっているのだろうか。私はウキウキでページをめくった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 正直な感想、よくわからなかった。まず、舞台は現代のアメリカ(という設定だが、焼け野原みたいで全然雰囲気が違う)で、「あくまマン」をボスとした敵の三人(デビルという軍団名)がアメリカを乗っ取る。そこへ勇者一行(スーパースターズというチーム名)が立ち向かい、あくまマンたちを倒すという漫画だ。


 勇者の必殺技「爆弾手裏剣」は、アメリカが手も足もでなかった「あくまマン」を一撃で仕留めるという最強すぎる技なのだが、そのメチャクチャ感が子どもっぽくて可愛らしかった。


 見開き四ページほどの漫画だが、考察するには十分すぎるくらいの謎が隠されているように見え、恐らく今まで読んだどの漫画よりも満足感がすごかった。


 全体的によくわからない漫画なのだが、実際読んでいて面白かったため、SNSにアップするために写真を撮った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 『X』を開くと、通知とDMがたくさん来ていた。通知を開くと、今朝のポストに2000件ほどのいいねがついていて、フォロワーが140人増えていた。DMを開くと、「フォロワー8万人おめでとうございます!」とファンから大量のおめでとうが来ていた。


 (+)ボタンを押して、さっき撮った四枚の画像を貼る。


「8万人フォロワーありがとう!これからも私のイラストで楽しんでもらえれば嬉しいです!


話は変わるけど、今日息子が漫画を描いて見せてくれました!可愛かったので載せておきます!」


と書いてポストした。


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 アメリカでは詐欺グループの『スーパースターズ』が現れ、被害が多発した。主犯格は『キングシャーク』と『デビル』を名乗っていたが、しばらくして捕まり、『マイケル』という名の老人と『星華』という名の日本人女性だということがわかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 息子の漫画は1億インプレッションを突破した。いいね数は150万を超え、フォロワーは一気に50万人を突破した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 息子に質問をした。チーム名、人名、技名、あれらはどういう意図で名付けたのか。答えは「かっこいいから」もしくは「友達の名前」だった。


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「くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」という言葉が注目を集め、流行語大賞にノミネートまでされた。外を出れば若者が「くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」と口にしている。どういう意味があるかなんて知らない。でもみんなが面白がっている。私は息子の漫画のおかげで大金を得て、有名人になれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 オムライスを作っていると、息子が自由帳を持って走って来た。


「ママー!新しい漫画描いたよ!読んで!名前はせかいめつぼ……」


 6歳になった息子は、自分が描いた漫画が流行っているなんて知らない。自分が楽しいから、ママが喜んでくれるから描いている。


 今度はどんな世界を見せてくれるのだろうか。

私は笑顔で答える。


「はいはい、分かったよ」

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