くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!
「よし、ようやくラスボスのあくまマンのところまできたぞ!」
「よくきたなゆうしゃよ、だが、お前はここでしぬのだ!」
「いや、おれはしなないぞ!」
「それはどうかな!くらえ!キングシャーク!」
「おりゃ!」
カキンカキンカキン!
「くそ、けんでこうげきをはじいたか。ならこれはどうかな、くらえ!せいかビーム!」
カキーン!
「あぶない、マイケルおじいさんからたてをもらっておいてよかった」
「なんだと!?こうげきが全部はじかれた!?」
「よし、反げきだ!くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」
「ぐ、ぐおおおぉぉぉ」
「やった!あくまマンをたおしたぞ!」
「ゆうしゃ、よくやった、おれのそうぞうをはるかにこえた力だ…」
あくまマンがしんでから、アメリカの町は平和になりましたとさ。
めでたしめでたし
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ハンバーグを焼いていると、息子が自由帳を持って走って来た。
「ママー!漫画描いたよ!読んで!」
さっきからノートと向き合って何してるのだろうと思っていたら、漫画を描いていたのか。
「ママ今ご飯作ってるからあとでね」
「はーい」
5歳の息子が描いた漫画は一体どんなものなのだろう。私はいつもよりも手際良くハンバーグをお皿に盛り付けた。
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「ママ!さっきの漫画よんでね!」
食事の後始末を済ませると、すぐに息子が私の元に駆け寄って来た。
「はやくよんで!」
この自由帳の中にはどんな世界が広がっているのだろうか。私はウキウキでページをめくった。
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正直な感想、よくわからなかった。まず、舞台は現代のアメリカ(という設定だが、焼け野原みたいで全然雰囲気が違う)で、「あくまマン」をボスとした敵の三人(デビルという軍団名)がアメリカを乗っ取る。そこへ勇者一行(スーパースターズというチーム名)が立ち向かい、あくまマンたちを倒すという漫画だ。
勇者の必殺技「爆弾手裏剣」は、アメリカが手も足もでなかった「あくまマン」を一撃で仕留めるという最強すぎる技なのだが、そのメチャクチャ感が子どもっぽくて可愛らしかった。
見開き四ページほどの漫画だが、考察するには十分すぎるくらいの謎が隠されているように見え、恐らく今まで読んだどの漫画よりも満足感がすごかった。
全体的によくわからない漫画なのだが、実際読んでいて面白かったため、SNSにアップするために写真を撮った。
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『X』を開くと、通知とDMがたくさん来ていた。通知を開くと、今朝のポストに2000件ほどのいいねがついていて、フォロワーが140人増えていた。DMを開くと、「フォロワー8万人おめでとうございます!」とファンから大量のおめでとうが来ていた。
(+)ボタンを押して、さっき撮った四枚の画像を貼る。
「8万人フォロワーありがとう!これからも私のイラストで楽しんでもらえれば嬉しいです!
話は変わるけど、今日息子が漫画を描いて見せてくれました!可愛かったので載せておきます!」
と書いてポストした。
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アメリカでは詐欺グループの『スーパースターズ』が現れ、被害が多発した。主犯格は『キングシャーク』と『デビル』を名乗っていたが、しばらくして捕まり、『マイケル』という名の老人と『星華』という名の日本人女性だということがわかった。
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息子の漫画は1億インプレッションを突破した。いいね数は150万を超え、フォロワーは一気に50万人を突破した。
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息子に質問をした。チーム名、人名、技名、あれらはどういう意図で名付けたのか。答えは「かっこいいから」もしくは「友達の名前」だった。
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「くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」という言葉が注目を集め、流行語大賞にノミネートまでされた。外を出れば若者が「くらえ!爆弾手裏剣!おりゃああ!」と口にしている。どういう意味があるかなんて知らない。でもみんなが面白がっている。私は息子の漫画のおかげで大金を得て、有名人になれた。
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オムライスを作っていると、息子が自由帳を持って走って来た。
「ママー!新しい漫画描いたよ!読んで!名前はせかいめつぼ……」
6歳になった息子は、自分が描いた漫画が流行っているなんて知らない。自分が楽しいから、ママが喜んでくれるから描いている。
今度はどんな世界を見せてくれるのだろうか。
私は笑顔で答える。
「はいはい、分かったよ」




