表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球』という言葉が禁句の異世界宙域で秘密の禁書を追う話。  作者: 綾坂真文
最終章:エストリプス銀河最大惑星『ノワリクト』最終決戦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/97

第95話 最終決戦(後編)

最終章:エストリプス銀河最大惑星『ノワリクト』最終決戦編

 凄まじい力を宿しながら突き立てられた魔杖銃は、悪魔エリムスの肉塊を焼き尽くし、周囲の建物を粉砕しながら、星ノワリクトの大地そのものを半分荒野へと変貌させていった。


 銀河を震わせるほどの衝撃は宇宙に待機していた白キ戦艦本艦をも揺さぶり、船内の兵たちの表情を凍り付かせる。


 しばしの沈黙の後、瓦礫の山の中から、呻き声が上がった。


「っ痛ぅ……どうなったんだ……」


 瓦礫を押しのけ、顔を出したのはコルトだった。頭に血をにじませながらも立ち上がり、彼は荒れ果てた周囲を見渡して愕然とした。


「……おいおい……星が、ノワリクトが荒野になってやがる」


 目の前に広がるのは、瓦礫と砂塵の荒野。生命の営みを感じさせていた星の大地は、一瞬にして無機質な死の景色へと変貌していた。


「おい! あの化け物はどうなった」


 別の瓦礫から声が上がり、ガンブレードを支えに立ち上がったのはヒョウガだった。


「ヒョウガ! 無事だったか!」


 コルトが駆け寄ろうとした瞬間、瓦礫が爆ぜ飛び、野太い叫びが響いた。


「うぉおおおぉぉっしゃぁ! 俺様ふっかぁーつ!」


 土煙の中から飛び出してきたのはイクサだ。満身創痍ながらも、獣じみた笑みを浮かべる。


「イクサ……お前も生きてたか! ナコと、ラークラは……」


 三人は荒野を見渡した。その視線の先、不自然に血で赤黒く染まった瓦礫の一角が目に入る。駆け寄ったコルトが瓦礫をどけると、そこには血にまみれながらも息をしているラークラがいた。


「はぁ……はぁ……な、なんとか……なったのか」


 弱々しい呻き声と共に、ラークラが横たわっていた。


「おい! ラークラ、大丈夫かよ!」


 コルトが抱き起こすと、彼は苦痛に顔を歪めながらも答える。


「さ……さあな。だが……はぁ、はぁ……生きては……い、る」


「すぐに治療しなければまずい……白キ戦艦本艦に連絡を取る」


 ヒョウガが懐から通信端末を取り出す。その間もイクサは荒野を駆け回り、声を張り上げていた。


「ナコは、あいつはどうなったんだよ! ナコっ! ナコ! 返事しろ、どっかにいないのか? ナコ!!」


 瓦礫を片っ端から砕き、魔杖銃の残骸を探し回る。やがて彼の目に折れた魔杖銃の片側が映った。


「魔杖銃……! この辺にいんのか! おい、ナコっ! ナコ!」


 イクサが必死に叫ぶ。その声にコルトも加わる。


「ナコ! 聞こえてたら返事しろ!」


 しかし、返事はどこからも返ってこない。


 やがて、白キ戦艦から小型艇が星へと降下してきた。砂煙を巻き上げて着陸すると、ミルト、ハリー、アゲハ、さらにミカエルとルクスが姿を現した。


「……ひどい有様だな。星が、ノワリクトが」


 瓦礫の山を見渡し、ミルトが低く呟いた。


「だが……星の消滅はまぬがれたようだ」


 ハリーが言葉を継ぐ。


「ナコは! ナコは! それに星の人たちはどうなったの!」


 アゲハが声を震わせ、感情を抑えきれずに叫んだ。


「俺たちにも分からねぇ。だが、まずはこいつだ。ラークラの治療が先だ。命に関わる」


 コルトが血だらけの仲間を支えると、ルクスがすぐに駆け寄り、治療具を取り出した。


「まずいね。このままじゃ危険だよ。本艦の医療施設にすぐに運ばなきゃ」


 即断するルクスの言葉に、ミカエルが頷き、ラークラを小型艇へと運び込む。


「皆さん、まずは一旦この星を離れましょう。白キ戦艦で調べれば、詳しいことも明らかになるはずです」


 ミカエルの落ち着いた声が響いた。しかし、誰一人として足を動かそうとしない。ナコが見つかっていないからだ。


「ナコ! ナコぉ!」


 アゲハが声を枯らす。イクサも、コルトも、ヒョウガも必死に名を叫び続けた。だが応答はない。


「気持ちは分かりますが、まずは星を離れるべきです。状況が不明のままでは……」


 ミカエルが言葉を続ける。しかしコルトが血がにじむ拳を地面に叩き付けた。


「わかってるけどよぉ!」


「本艦で星の状況が把握でき次第、すぐに捜索隊を派遣します。お辛いですが、今は……」


 説得するミカエルの言葉に、仲間たちは苦渋の表情を浮かべ、やがて小型艇へと足を運んだ。最後まで「私が探す!」と泣き叫んでいたアゲハは、ハリーに抱きすくめられ、半ば強引に乗り込まされた。


 戦いは終わったのか。星はどうなってしまったのか。

 エリムスは滅んだのか。結晶体の力はどうなったのか。ナコは、星の人々は……。


 多くの疑問を残したまま、小型艇は仲間たちを乗せ、白キ戦艦本艦へと帰還していった。

第96話『エンドロール』に続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ