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『地球』という言葉が禁句の異世界宙域で秘密の禁書を追う話。  作者: 綾坂真文
最終章:エストリプス銀河最大惑星『ノワリクト』最終決戦編

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第88話 侵入(第二層)

最終章:エストリプス銀河最大惑星『ノワリクト』最終決戦編

 第二層へと駆け上がったナコたちの前には、またも同じような景色と、徘徊する無数の複数同位体(ケルベロス)が立ちはだかっていた。


創造的(イマジネイション)消失(・バニッシュ)!」

 ルキの両手から放たれたビー玉がエネルギーの線で結ばれ、六芒星のエネルギーブレイドが獣を焼き尽くす。


「キリがないな!」

 ガンブレードで獣を切り裂き、もう片方の手でシャープネス小型銃を撃ち放つヒョウガが叫んだ。


「また同じような景色……何層まで続いているんだろう」

 アゲハがブーメラン型の銃を両手で撃ち放ちながら走る。


 やがて走り抜けた先に、第三層への分岐手前となる少し広い空間が見えてきた。だがそこには一層と同じく、巨大な複数同位体(ケルベロス)が横たわる影のように待ち受けていた。


 巨体で鉄壁な甲羅を持つカメを彷彿とさせる巨躯。手足を甲羅にすぼめ、回転しながら咆哮を上げる獣は、見た目からは想像もできないようなスピードで上空に飛び上がり、そのままナコたちを押し潰すように落ちてくる。


「ちょ! まじかよ!」

 仲間たちが咄嗟に転がって四散する。しかしカメ獣が落ちた衝撃で衝撃波が生まれ、吹き飛ばされた仲間たちは、奈落の穴ギリギリのところで何とか踏みとどまった。


「鉄壁の防御力に、このスピードか……厄介だな」

 ミルトが強化手甲を構え、展開しようとボタンを押す。しかしその瞬間、イクサが超速で一歩踏み込み、カメ獣までの距離を詰めていた。


 持ち前のスピードでカメ獣を翻弄すると跳躍し、回転しながら後方へ、壁を蹴って勢いをつけると、手甲を装備した拳を思いっきり打ち込む。


「グガァアァァ!!」


 その巨躯は怯まない。だがイクサの一撃は甲羅の一部を破壊していた。


「行けんぜ! 自慢の甲羅も俺の拳の前じゃ役不足みたいだな!」


 地面に下り立ったイクサは仲間たちに振り返り、真剣な表情で言った。


「ここは俺が引き受ける! 先に行ってくれ」


「イクサ!!」

 仲間たちが驚きながら叫ぶ。


「この獣には、どう考えたって俺の拳が一番適任だろ! 適材適所ってやつだ」


「なら俺も……」

 強化手甲で腕を覆ったミルトが前に出ようとする。しかしそのミルトを制止して、ヒョウガが前に出た。


「いや、ここは俺に任せてくれ。強化されたガンブレードは、たかが甲羅ごときには防ぎきれんだろう」


「だが!」


 ミルトが食い下がる。


「そろそろ思いっきり身体を動かしたかったんだ! 譲ってくれ」

 ガンブレードを構え、ヒョウガがカメ獣に向き直った。


「いいぜ! ヒョウガ! さっさと片付けるとするか」

 イクサが拳を合わせ、気合を入れる。


「……必ず追いつけ。行くぞ!」

 ヒューベルトの一言に「おう!」と答えると、イクサとヒョウガは獣へと突っ込んでいく。


 その戦いの最中を抜け、ナコたちは第三層への道を走り出した。


「よし、俺が獣の動きを止める!」

 走り込むヒョウガがガンブレードを振り抜き、甲羅から出ている手足を裂く。


 すぐに手足を引っ込め、甲羅を回転させてヒョウガに突進していくカメ獣。だがその甲羅の中心に跳躍したイクサが、エネルギーの爪を振り下ろした。


 戦いは熱を帯び、過熱していく。第三層へと走るナコたちは、後ろで響く激しい戦闘の音に振り返ることもなく、真っすぐに走った。仲間たちを信じているからこその行動だった。

第89話『ラークラ』に続く。

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