表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球』という言葉が禁句の異世界宙域で秘密の禁書を追う話。  作者: 綾坂真文
第五章:禁止惑星『バルエクス』戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/97

第56話 左塔攻略(1F)

第五章:禁止惑星 『バルエクス』戦争編

「最短ルートで左塔を攻略する! 自分の身は自分で守れ!」

 ロックが叫び、仲間たちを鼓舞する。


 塔の扉を抜けた瞬間、目に飛び込んできたのは大きな広間だった。高い天井に反響する足音、螺旋状の階段が右手奥に延びている。そして広間の最奥――巨大なエレベーターらしきものが見えた。だが、その前にはすでに何十人もの兵隊が武器を構え、待ち構えていた。


「エレベーター!」

 ナコが指差す。


「駄目だ!」すかさずミルトが声を張り上げた。

「十中八九、認証キーが必要だろう! ここにいる兵隊が持っている可能性は低い! 階段だ!」


「いい判断だ!」ロックが続ける。

「仮にエレベーターまで行って動かなきゃ、四方八方囲まれて袋のネズミだからな!」


「螺旋階段まで向かうぞ!」

 コルトの指示が飛んだ。


 瞬間、兵たちの怒号が爆ぜた。剣を抜き、銃を構え、一斉に襲いかかってくる。


「おらよっ!」


 先手を切ったのはイクサだった。弾丸を身をひねってかわし、目にも止まらぬ速さで兵の懐に入り込む。左足で銃を蹴り飛ばすと、その推進力のまま身体を回転させ、首筋に強烈な一撃を叩き込む。


「やるじゃねぇか!」


 ロックが笑い、指に仕込んだ指輪型の装置を弾いた。

 鋼鉄の糸が走り、兵の足を切り裂き、立て続けに二人、三人と転倒させる。


「変幻自在な鋭利な刃物ってところか。面白い武器を使うな」


 ハリーが小さく呟くと、即座に構えたチャージガンを解放した。白キ戦艦の武器区画で改良された瞬間火力特化型――放たれた光束が壁を貫き、崩落した瓦礫が兵隊の頭上に降り注ぐ。

「動きを止めるぞ……!」


「っけ、俺も負けてられねぇな!」

 コルトがフリーズガンを構え、兵たちの頭上に撃ち込む。次の瞬間、空気が一瞬で凍りつき、氷塊が形成され、ドシャッと落下して複数の兵を押し潰した。


「よし! このまま螺旋階段までの道を切り拓く!」

 ミルトが叫ぶと同時に、手甲のスイッチを押す。金属が唸りを上げて展開し、彼の腕を覆った。瞬間ブースト――肉体のリミッターを外す直線的な突進で、兵を次々と弾き飛ばしていく。


「ルートが開いた! 走るぞ!」

 一気に仲間たちは螺旋階段へ駆け込んだ。


 背後から怒涛のように追ってくる兵の群れ。最後尾を走っていたナコが振り向き、魔杖銃を構えた。


「フレイムス!」


 放たれた炎が空気を裂き、赤々と広がる。

 すかさず、ナコは杖を反対側に大きく振った。

「カマイタチ!」


 轟風が炎を煽り、瞬く間に炎壁が形成される。敵兵が足を止めるほどの大火が、彼らとナコたちの間に燃え広がった。


 魔杖銃の持ち手近く――鉱石をはめ込む穴は二つに改造されていた。そこには風と炎、二つの鉱石が組み込まれている。


 白キ戦艦の武器開発区画で施された進化。ナコたちの武器は、以前よりさらに能力を増していた。


「おい! 中央塔に続く跳ね橋までは何階まで登ればいい?」

 コルトが走りながら声を上げる。


「知らん! だが左塔の規模からして五~六階程度だろう」ロックが答えた。


「無駄な交戦は避け、上を目指すのが得策だな」ミルトが続ける。

「いずれにせよ上層部にはそれなりのやつが待ち構えているだろう。注意は怠るな」ハリーが短く告げた。

「私の炎と風は兵隊の足止めに最適だと思うから、後方は任せて」ナコが言う。

「おっけ! フォローはすんぜ! まかしとけ!」イクサが快活に返す。



 ――一方その頃。


 監獄塔全体は、まさに地獄と化していた。爆音と咆哮、断末魔が重なり合う中、最重要実験室にひとつの影が立っていた。


 科学者たちの亡骸。兵も、獣も、無惨に散らばっている。崩壊した研究設備。

「ふふ。やはり中途半端じゃこんなものね。さてと、ワタクシはワタクシの目的を果たさせてもらおうかしら」


 彼女は最奥に鎮座する特殊金属の円柱へと歩み寄った。その下には地下深くへ続く大穴――制御不能の複数同位体(ケルベロス)が封印されている牢獄がある。


「待て! 貴様何者だ!」

 声が飛び、複数の影が現れる。


「ムラマサ様……これは……」

 現れた部隊の一人が、得物を背にした長身の男に声を掛けた。


「お、女だと……」


 女は振り返り、艶やかに微笑んだ。

「……あら。あなたたち、ワタクシに何か用でもあるのかしら?」


「この実験室の惨状……お前がやったのか?」


 ムラマサの声が鋭く響く。

「我々は白キ戦艦の部隊。この実験室を破壊し、人々を救いに来た……だが、これは……」


 視界いっぱいに広がる惨殺と廃墟。


「まぁ、退屈しのぎにはよかったけれど……生憎、ワタクシはまだ忙しいの。邪魔をしないでくださるかしら」

 そう言って女が円柱に手を触れた瞬間、金属はひび割れ、一瞬で砕け散った。


「おい! その下は……制御不能の複数同位体(ケルベロス)を収監している牢獄だぞ! 何をしている!」

 ムラマサが叫び、長大な槍を構える。


「ちっ……うるさいですわね。」女は舌打ちし、瞳に狂気を宿した。

「少しだけ遊んであげましょう。ワタクシの気分を害したゴミがぁぁぁ!」


「来るぞ! お前ら構えろ!」

 ムラマサの怒声と共に、空気が張り裂けた。

第57話『ムラマサ vs エリムス』に続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ