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『地球』という言葉が禁句の異世界宙域で秘密の禁書を追う話。  作者: 綾坂真文
第五章:禁止惑星『バルエクス』戦争編

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第55話 宙域艦隊戦(バルエクス戦争の始まり)

第五章:禁止惑星 『バルエクス』戦争編


 宇宙歴二七八五年九の月二日。

 白キ戦艦はついにバルエクス宙域へと侵入した。漆黒の虚空を埋めるように展開するのは、無数のノワリクト銀河政府艦隊。その光群が瞬く間に動き出し、迎撃態勢を取った。


「やつらの司令系統は三つか。まずはその艦を叩く! 十士(じゅっし)、クレイグ班、オスカー班、マリウス班を中心に司令艦までの活路を開け! 小隊は本艦とその他小型艇隊で引き受ける」

「イエス・ミカエル!」


 ミカエルの号令と同時に、宇宙に閃光が奔った。

 銀河政府部隊の小隊と、白キ戦艦の小型艇隊が衝突する。轟音と共に無数の砲火が交錯し、機体が弾丸の雨に削られ、光と炎を撒き散らしながら爆散していく。空間そのものが震えるような衝撃――戦争の始まりだった。


「ちぃ、銀河政府の小隊の数が多い! ちょこまかとめんどくせぇ!」


 クレイグ班の一機が舵を切り、弾丸を紙一重で避けつつ反撃を叩き込む。

「数ではこちらが不利だ! 最優先は司令艦を沈黙させること。無駄な撃ち合いは避け、相手の懐に入りこめ! 小型艇隊は十士(じゅっし)をフォローし、敵をかく乱しろ!」

 ミカエルの声が戦況を切り裂く。


「あいよ! まかしときな!」


 マリウス班の機体群が縦横無尽に動き、敵の弾道を翻弄する。急旋回、急加速、スモーク弾が視界を覆い、敵の射線を乱す。

「いけ! オスカー!」

 マリウスの声に応じ、後方から迫るオスカー班が一気に司令艦へ突入。榴弾が中央部に炸裂し、激しい爆炎が吹き荒れた。

「今が好機! 司令艦を落とせ!」

 オスカーの声に合わせ、集中砲火が浴びせられる。閃光の中、司令艦のシールドが弾け、轟音と共に沈黙した。


「一機司令艦を落としたか。残り二機の司令艦も落とせ! そうすればやつらの連携は崩れる。勝機を我らに!」

 ミカエルの指示が次の標的を示す。


「よし、準備しろ! 俺たち潜入班も動く!」

 ヒューベルトの声に応じ、ムラマサを含む精鋭部隊が小型艇に乗り込む。艇が震え、大気圏へと突入していく。


「A地点からJ地点、着地後地上戦に入る! 気を抜くな!」


「ロック、そちらの誘導は任せたぞ!」

「まかしときぃな、ヒュー!」

 操縦席のロックが豪快に笑い、小型艇を強引に突っ込ませる。


「コルト、ナコ、ミルト、ハリー、イクサ! 中央塔で合流だ! やられるなよ!」


「ったりめーだ! ヒューベルト、そっちも遅れんなよ!」

 コルトの声に、互いの信頼が火花のように交錯した。


 やがて――ヒューベルトらの小型艇は右塔付近へ、コルト達を乗せた艇は左塔付近へと滑り込み、重々しい衝撃と共に着地した。

 ハッチを蹴破って降り立つと、すでに監獄塔周辺は混沌の戦場と化していた。


 剣戟の音、銃声、爆発、咆哮――地と空が揺れる。血と硝煙と焦げた鉄の臭いが充満し、地獄を思わせる光景が広がっている。


「よし、このまま左塔へ侵入する! 兵隊は多く、獣も出てくるだろう! ここからは本気の戦場だ! できるだけフォローはするが、自分の命は自分で守れ!」

 ロックを先頭に、コルトたちは塔の巨大な扉を押し開けた。重い金属音が響き渡り、暗き監獄塔の内部が、その口を開いた。

第56話『左塔攻略(1F)』に続く。

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