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『地球』という言葉が禁句の異世界宙域で秘密の禁書を追う話。  作者: 綾坂真文
第四章:禁止惑星『グリムジャガー』編

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第35話 墜落、グリムジャガー

第四章:禁止惑星 『グリムジャガー』編

 漆黒の宇宙を切り裂き、銀河鉄道は進む。

 窓の外に、じわりと姿を現したのは――グリムジャガー。幾重にも重なる厚い雲に覆われた惑星は、息を呑むほどに重苦しい気配を放っていた。


 宙域に入り、誰もが上陸に向けて準備を始めようとしたその時。


 ズシィッ――。突然の出来事だった。


 全車両に異様な程の重力がのしかかる。車体はたわみ、車輪が悲鳴を上げ、まるで惑星に引きずり込まれるかのように進路を狂わせた。


「おい、どうなってる!」

 コルトが叫び、先頭車両へ駆け込む。


 動力運転室ではすでにミルトが操作盤を叩きつけるようにして対処していた。


「これは……どういうこった!」

「わからん! 事前に小型端末で座標データや周辺環境の解析をした時には、こんなにすさまじい引力は検知されなかった!」


 ガガガガガ――!

 車体がさらに激しく左右に揺れ、コルトは床に叩きつけられ転がった。ミルトもよろめきながら、必死で操作盤を叩く。


「なにっ」「きゃあっ」「どうなってる!」

 中央車両ではナコやアゲハ、ハリーが必死に柱を掴み、振り落とされまいと必死に身体を支えていた。


 ミルトは尚も操作盤を叩く。左右に激しく揺れ動く車両内で振り落とされまいとパネルにしがみ付き宙域からの脱出を試みる。だが、システムは思ったように動かない。瞬間、操作盤のホログラムが赤に染まり、車内に耳をつんざく警告音が鳴り響いた。


「くそっ! 操作が受け付けない、制御不能だ!」ミルトが血相を変えて叫ぶ。

「んだと! どうなる!」

「このまま惑星に引き寄せられながら……グリムジャガーに墜落する!」


「くそがぁっ!」

 コルトは揺れる車両の中、必死に連絡用マイクへと手を伸ばした。傾く身体を壁に叩きつけながらも掴み取り、ミルトがスイッチを叩く。


「緊急事態だ! このままグリムジャガーに落下する! お前ら全員、衝撃に備えろぉぉ!」


 コルトの怒号が車両全体に響き渡る。

 銀河鉄道は制御を失ったまま、吸い込まれるように速度を増し、大気圏へと突入する。


 ゴォォォォォ――!

 灼熱の摩擦光が窓を覆い、赤々とした炎が車体を包む。ミルトは歯を食いしばり、緊急用の外部エアバック展開スイッチを叩いた。


 ガシュンッ!

 起動システムとは独立したその機構が正常に作動し、二秒のうちに車体全体を巨大なエアバックが覆う。


 その刹那――。


 ドオオォォォォォンッ!


 轟音とともに、銀河鉄道は惑星グリムジャガーの孤島へと叩きつけられた。


 落下寸前に展開した外部エアバックが衝撃を吸収し、車両は爆発も炎上も免れた。内部では物が散乱し、座席が外れ、仲間たちは床に投げ出されたが……命は守られた。


 沈黙。


「……っ、生きてるか」

 コルトが唸るように声を絞り出す。


「……だ、大丈夫」ナコが必死に身を起こした。


「ふぅ……死んでねぇな」ハリーが荒い息をつく。

「よかった……」アゲハは安堵のため息をこぼす。


 外部エアバックは役目を終え、しゅるしゅると音を立ててしぼみ、やがて斜面にもたれかかるように沈黙した車両の姿が現れる。


 かつてない墜落を生き延びた仲間たちは、互いの無事を確かめ合いながら、息を整えていた。


 ――銀河鉄道はついに、禁止惑星『グリムジャガー』へと到着した。

第36話『グリムジャガーの鍾乳洞(前編)』に続く。

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