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書籍化されないから、自分で本にしてみた。

作者: 山本輔広

 賞レースに出しても選考には残らず、いくら作品を書いても『書籍化の打診が来ています』という赤文字がマイページに出てくることがない。

いつかは実際の本にしてみたいと夢みてもそれは夢のままだった。

 恐らく小説を書いている人ならば一度は夢見る書籍化。

私も同じように夢をみていたがそれが実現することはないままネットに小説をあげる日々。

そんな日々に想う。


『書籍化されないなら、自分で書籍化すればいいじゃないか!』


 イラストを描いていた友人が近くにいたこともあり、私は今まで書いてきた本を自分で本にしてみることにした。

 実際に私が自著を本にしたまでの道のりを記してみようと思う。


◇製本会社を見つける。

 製本会社で検索すると実に多くの製本会社を見つけることができる。

昔に比べ同人誌などを作る人口が増え、即売会なども増えたことが理由だろうか。

何社かサイトを見て回り良さそうな場所を見つけ、どのようにしたら本になるのかを調べた。

(また現在はサイトだけでなく、アプリなどもあるのでより製本がしやすいと思う)


◇小説の編集

 今までは小説は書くだけで終わっていたが、製本するとなるとそういうわけにはいかない。

なろうに投稿する際にはメモ帳で書いたものをそのままなろうにコピペして貼り付けて投稿すれば終わりだったが、

製本するためにはpdfに変換、ページの設定などこれまでしてこなかったことが必要になる。

今までpdfに変換などしたことがなかったので、これが思ったよりも手間となる作業だった。

上記の作業を行うためにadobeのサブスクにも登録し、毎月1980円ほどの支払いをしている。

年間で24000円程度の価格……あらためて結構高いなと実感します。。。

 ちなみにだが書いた文章を自動で適切なサイズに変換、pdf化してくれるサイトなんかもあったりするので、作業にこだわらないならそういったサイトを使用するのもありだ。

 編集しながら書いてきた小説を何度も読み直して誤字脱字の修正なども行った。

作業は多いけど、『私、小説の編集しています』という謎の優越感に浸れるのがちょっと気持ち良かった。


◇製本会社とのやりとり

 編集した本文とともに友人が書いてくれたイラストをpdf化したものを圧縮してひとまとめにしたものを製本会社へデータで送る。

問題なければそのまま製本となるが、始めたばかりの頃は酷いものですんなり製本とはいかず。

規定のサイズにはできていないし、イラストのサイズ違いや編集不足などで製本会社と何度かメールのやりとりをすることとなる。

やりとりをして編集しなおして、再提出して……はじめてだと手探りの状況なのでかなりpdfと格闘したことを覚えている。

今まで三度製本したが、初回と二回目は本当に酷いものだったなと思う。製本会社さんごめんよ。三度目はすんなり行けたから赦してほしい。

製本会社にデータを提出し問題なければ、だいたい一週間もあれば本となって手元に届くことになる。

(コミケなどの大型イベントの際は製本会社もフル稼働になるらしく、時期によって届くまでには差がある場合もアリ)


◇かかる金額

 まず編集するために使用するadobeが月額1980円。

 製本会社に支払う金額がだいたい3万弱ほど。

これはサイズやカラー、使用する紙などによっても金額は変わるのだが、自著の場合は

サイズ  A6

表紙   カラー

本文   モノクロ

ページ数 150-170ページ

冊数   20-30冊


 上記内容で3万弱である。

なのでかかった金額は製本代金+adobeサブスク代=3万ちょいくらいになる。

ちなみに刷った本はイベントで販売しているので、イベントの参加費用も含めるとさらに金額は膨れ上がる。

私の場合は文学フリマに出していたのですが、そちらの参加費用がだいたい8000円くらい(私と友人の二名、椅子二脚含む)

雑費なども含めばトータルで5万前後はかかっているはず。



◇自著が本になった感動

 はじめて本が届いたときの感動を覚えている。

書いた作品が実際の本となっている感動は例えようがない。

きっと様々な思いが重なっての感動なのだろうが、自分が書いた物語が本になるのは本当に嬉しくなかなか体験できないものだ。

今までは電子な存在だったものが実際の紙となって自分の手に取れる。

自分の書き上げた物語が実物として目の前にあるのは例えようのない感動がそこにある。

ネットにあげていた頃よりも何度も読み返したし、何度も手に取って感触を確かめている。



◇製本して変わったこと

 製本すると、また作品を製本したくなる。

これは一度ピアスを開けると他も開けたくなったり、タトゥーを一度いれたらもっと入れたくなる現象と似ている。

現在まで三冊ほど刷ったが、まだまだ製本していない作品はたくさんあるので今後も継続的に本にしたいと思っている。

そういう現在もすでに四冊目の編集を行っており、次回11月に開催される文学フリマ東京までに製本して販売する予定だ。

 

 あくまで私の場合だが、製本してからは創作する人たちとの交流が増えた。

これはイベントに参加したことも大いに関係するだろうが、なにかのキッカケに人と出会ったときに『私はこんな作品を書いています』と名刺代わりになることもある。

やはり『ネットで小説を書いてます!』と『実際に本にしています!』だと周囲の反応はまるで違うのだ。

小説家志望から小説家になれたような気がしてかなり嬉しかった。


◇今後について

 今後も製本はしていこうと考えているし、現在は四冊目の製本に向けて編集作業などを行っている。

今度はこんな物語を書きたいとか、過去書いたこの作品を本にしたいという気持ちが次々溢れてきてしまうのだ。

とりあえずは先日書き上げた『かいじゅう少女』と過去作をいくつかまとめた短編集を出したいなと考えている。

さらに今回はイラストレーターさんもプロの方にお願いしており、過去最高に気合を入れた作品となっている。

はやく本にするのが楽しみだ。きっと今までにない感動を与えてくれるだろう。



◇終わりに

 小説家になろうでは私と同じように書籍化を夢みている人が多いだろう。

もし実際に本にしてみたいという方の参考に少しでもなれば、また自身で本にした軌跡を残せればと思いこのエッセイを書いた。

実際に本になったあの体験はとても感動的なものだ。

私のように『書籍化ならんから、もう自分でしたるわ!』という人の参考になればいいな。

金も時間もかかるけれど、自著を本にしたときの感動はきっと良い経験になるはずだから。



山本


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