成長期の終わり
僕は12歳になってやっと成長曲線が停止した。身長は、師匠には僅かに及ばないものの190㎝程にもなった。僕の父が156㎝、祖父が163㎝なのでかなり背が高い。
いよいよ魔法の発現の実技が始まる。その前に師匠にスキルを常時、使うようにとも言われた。
「君は幸い、パッシブスキルを保有している。君のアイテムポケットは極小だが、使えば使うほど成長するスキルだ。そして、アイテムボックスに成長すれば非常に有用だ。アイテムボックスもさらに成長する。」
マナも使うほど増えるとのこと。今まで、身体の成長の為に使うことを禁止されていたが、これからは、残量が1割になるまで使わなければならない。
就寝前、残量が1割以上残っていたら積極的にマスターベーションをしなさい。と言われた。そばには、従者が居るにもかかわらず、そんなことを淡々と言える師匠の無神経さに辟易した。
僕はこれからの毎日を、アイテムポケットの成長に力を入れることにした。チイが命を削って、僕に残してくれたスキルだ。これからは、チイの為に泣く事はしない。感謝して生きて行く。
☆
朝、目覚めて最初にする事は、敷地内を走ることだ。その後敷地内の池に行く。
そしてアイテムポケットに池の水を限界まで入れる。その後、周りの動植物を鑑定していく。
アイテムポケットの空きが出来ればまた池の水を限界まで入れる。その地道な作業を延々と午前中続ける。
午後は、師匠に魔法の発現の実技を習う。だが、此がなかなか上手くいかない。
「きみの発音は良い。が、イントネーションが独特だ。私の後に続けて言ってみたまえ」
田舎育ちの為、訛りがあるようだ。こんなことを1年続けた。
☆
僕は此方の成人年齢13歳になった。この頃やっと水の魔法が発現した。そして師匠から
「此で君も魔法士と名乗れる様になったな。」と言われ
「少し出遅れたが、その後は、実に素晴らしい結果だ」と褒められた。
なんでも、魔法士になれば士爵を名乗れる様になるらしい。そして、名字を付けなければ、ならない。
師匠の名字を名乗ってもいいと言われたが、僕には決めた名前がある。
『ククルス』
こちらで、郭公の意味がある。僕のいもうとへの贖罪を込めて、決めていた。
これから僕は、カムイ・ククルスと名乗る事になる。
カムイ・ククルス
年齢・・・13歳
マナ・・・3900
適性・・・無、火、水、土、風、光、闇
体力・・・200
知力・・・190
スキル・・鑑定眼、アイテムボックス(大)