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兄弟子

あの、大泣きした事件から、1年が過ぎた。

あの時師匠に、泣いた原因を問い詰められたが、僕は頑として話さなかった。

一時師匠との関係が、険悪になったが、頑固に口を紡ぎその後修行に戻った僕を見て師匠も諦めたようだった。

僕には今、兄弟子が2人いるが、普段はこの屋敷には、僕一人だけお世話になっている。

他の弟子は王都ミラに自宅があり、そこから師匠の所に通っている。僕と年齢が近く、当初は友達になれると期待したが、兄弟子達には、完全に無視された。時たまボソリと「平民が」と呟くので、ああ、貴族だから、僕と一緒に修行するのが嫌なのか。と納得し、その後は余り関わらないようにしていた。


師匠の所には以前にも平民の弟子がいたらしいのだが。平民の魔法士は非常に珍しい。僕で2人目だ。

(平民は適性があれば魔法兵士にさせられる。)

平民の場合はすべてに師匠のボランティアになる。衣食住すべて師匠持ちなのだ。

貴族の弟子達は師匠に大枚を払い、教えを受けている。

師匠は国の法衣貴族なので、国から俸給を受けている。魔法の教師としては給料は貰っていないそうだ。しかし師匠に教えを受けたい人は沢山いて、貴族達はお金を払い自分たちの子供をねじ込んでくるのだとか。ゴスが教えてくれた。


僕は、魔法士と魔導師の違いが分からず、師匠に聞くと

「魔法士は、魔法を発現出来る者の総称だ。魔導師になるにはそれなりの条件がある。魔導師ギルドにも登録しなければならない。そして弟子を5人以上育て上げれば魔導士の称号がもらえる」と、教えて

くれた。


在るとき屋敷に来客があった。何でも国でも権力がある一族で、魔法士を沢山抱えている人だそうだ。

「君が噂の平民の弟子か」僕はじっと目を見てうんともすんとも言わずにいた。

いいかげん平民、平民とうんざりしていた頃だ。前世の記憶があるせいで、僕は余り貴族には媚びへつらわない。何も答えない僕にいらだったのか、

「修行が終わったら我が家で雇ってやろうと考えていたが、こんな無礼な奴はだめだ。がっかりしたよ。」と言われた。此方こそ願い下げだ。心で叫んだ。


後で、師匠が「貴族達は自分の利権のため箔付けに魔法士を抱え込んでいる。ただの、飼い殺しだ。何の役にも立たない。魔物を倒すわけでも無し、毎日社交に明け暮れておる」と言って嘆いていた。


兄弟子達はそれぞれ、国に仕えたり他の貴族に仕えたり師匠の元を卒業していった。

今のところ師匠の弟子は僕一人になった。





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