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双子の妹

 僕の小さい妹。同い年なのにまだ言葉もたどたどしい。

一方のぼくは他の子供と比べても、明らかに成長が早い。

この事に関して僕には思うところがある。

もしかして、本来の妹の生命力を僕が奪っているのではないだろうか?

異世界からの異分子が母のお腹の中に、横入りして奪って仕舞ったのではないか?まるで、托卵された恰好の雛のように、図々しく本来の子供を巣から押し出そうとしているのでは無いか?

そのように、日々罪悪感を持ちながら、未だ弱々しい妹の面倒を精一杯見ることで償いをしている。


今日も、妹を背負子に乗せて、妹に話しかけながら野原を歩き回っている。

今日は訳あって妹と二人っきりだ。

「チイちゃん、ここで休もっか」

「ん・・」

妹の名前はチムイ。僕の名前はカムイだ。

空はどこまでも青く、風はそよそよと優しく吹いている。

小さい塩むすびをチイの手に持たせ、食べさせる。口の周りにいっぱいご飯粒をくっつけて、ゆっくり食べる妹を見ていると何とも言えず悲しくなる。

僕はと言えば、でっかい握り飯をあっという間に食べてしまえるのに。

チイのオレンジ色のふわふわの髪の毛を、ゆっくり撫でる。僕の髪色は栗色だ。双子なのにあまり似ていないな。


「チイちゃん。ちょっと僕の目を見ていてね」

 「?」

チイの円らな瞳が僕を見ている。

実は、夕べ僕はスキルに目覚めた。

人族の、百人に一人はスキルを持って生れると言われている。スキルに目覚める時期は人それぞれだが、目覚める時期が遅いほど良いとされている。

スキルの種類によっては生命力、マナを吸い取るモノもあるからだ。

僕の目覚めたスキルは鑑定眼だ。此はアクティブスキルなので、使うとき以外はマナを使わないはずだ。

多分。前世ラノベの知識が此方で通用すればだが。

その鑑定眼で妹を診てみる。


  チムイ

 年齢・・・五歳 

 マナ・・・8(38)

 スキル・・アイテムポケット(極小)


そう言えば、しばらく前に妹の周りでモノが消えたり戻ったりしたことがあった。

妹はきっと、早い段階でスキルに目覚めてしまったのだ。然もパッシブスキル。常時マナを喰うスキルだったはずだ。

鑑定で診て解った。成長に必要なマナまで食い尽くしている。目覚めるのが5年後であれば大丈夫だったのかも知れないのに。元のマナも年齢の割には少ない。


とても有用なスキルを持って生れたのに。

このままでは死んでしまうのではないか?

スキルは使えば使うほど成長すると言われている。ますますマナを消費するようになる。


いもうとに問いただしてみると、矢張り悪戯をする為に使っていたようだ。

これからは使ってはいけないよ、と言い聞かせアイテムポケットの中身を空っぽにさせた。

少しは時間の余裕ができればいいが。


だから僕は自分のスキルを成長させて、解決策を見つける。鑑定眼は成長すると神眼になると聞いたことがある。

     ☆

それからの2年間、僕は頭が痺れてしまうほど、四六時中鑑定しまくった。

近所の子供のマナは、年齢×10が平均だと言う事が解った。勿論少ない人も多い人もいるが、チイほど少ない子供はいなかった。

鑑定眼も少し成長してきた。妹はなんとか5歳児くらいまで成長してきた。が、まだ歩くことは、出来ない。

僕の成長は緩やかになった。

















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