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獣人の子

僕は暖かい懐のまま、買い物にきている。

サウスの繁華街を、そぞろ歩きながら、小さい女の子が好きそうな物を物色している。兄の子供達のお土産を買う為だ。

「結婚したばかりなのに2人も子供が居るなんて一体どうなっているんだか」

女の子と言うことだから、一緒に仲良く遊べるおもちゃがいいか、それとも可愛いリボンやアクセサリーだろうか?等と考えて、結局どちらも買ってしまった。


兄の住んでいる所は、街から随分離れた場所にあった。

ログハウスのようなゴツイ建物で、周りに高い塀が巡らされていた。

庭にコロコロとした子犬が走り回っていた。

「ペットまでいるのか。随分優雅だなぁ」などと、独り言を呟きながら歩いて行った。

ノッカーを叩くと待ち構えていたのか、早速兄が出迎えてくれた。

「やあ、遠い所、良く来てくれた。」

「これ。子供達に。気に入ってくれると良いけど」お互い、お決まりの挨拶を済ませ家にの中にはいった。

中は広い空間を取っており、ゆったり寛げる雰囲気があった。2階建てで寝室は2階にあるようだ。

トム兄の奥さんが出てきてハグをする。

とても綺麗な人だ。上背が有り、迫力のある身体つきだ。所謂、ナイスバディと言うやつだ。

ちょっとドキドキしてしまった。

それをニヤニヤしながら見ているトム兄。『どうだ。羨ましいだろう』と言わんばかりだ。

クソッ!その内僕だって、見付けてみせるさ!

リビングでお茶を飲んで寛いでいると、外から騒がしく泣きながら、子供が飛び込んできた。

オレンジ色の髪の毛。まるで、チイのようだ。でも、チイとは違いぷくぷくと健康そうな3歳位の女の子だ。僕を見て、泣き止み固まってしまった。僕がなにかしたか?

突然また外から飛び込んできた物がある。先ほどのペットだろう。キャンキャンと鳴いている。

しかし、またもや僕の方を見て此方も固まった。奥さんが笑いながら、

「さあさあ、叔父様にご挨拶しなさい。トト、ミミ」


すると、ペットだと思っていた、子犬がキラキラのエフェクトの後、人間の裸の女の子になった。

と言う事は美人の奥さんは、獣人だということか。

「ビックリさせてしまったね。僕は君たちのお父さんの弟で、カムイと言います。よろしくね」

取り敢えず大人の余裕を見せて、自分から名乗った。内心はビックリしすぎてパニックだ。

「ミミ」「トト」

それからは割とスムーズに打ち解けていった。

     ☆

兄が鑑定して貰いたかったのは、実は、チイに似ているオレンジ色の髪のトトだった。

ミミはすでに、スキル獣化に目覚めている。獣人は生れたときからマナが豊富で小さいときにスキルに目覚めてもちゃんと成長する。

マナは年齢×100が平均だ。また獣人の9割が無属性の適性がある。後発スキルも発現しやすい。

マナが豊富な為10歳で大人と同じ体格に生る。成人した後はマナの伸びがゆっくりとなる。しかし魔物を倒せばマナは伸びる。ここは人族と同じだ。見た目も人族とほぼ変わらない。体格がずば抜けて良く、男性は体毛がやや濃くなりやすい。

すばらしい戦闘能力、素晴らしい体格素晴らしいスキル。それは獣人が厳しい自然のなかで暮らす為に備わった能力なのだろう。

獣人は憧れの存在だが、偶に悪い人族の人攫いが居る。此処でこの子達を育てるのは神経を使うだろう。

それでも、この子達は混血のため、マナや、適性が無いかも知れない、と両親が心配してこのサウスに移り住んだのだろう。

アフロマはマナの瘴気が濃いと聞く虚弱な子供は直ぐに死んで仕舞うそうだ。

それにしてもミミはスキルに目覚めるのが早すぎる。トトより若干小さい。

双子だと聞いて僕は妙な緊張を持って、トトの鑑定をした。

 

   トト


 年齢・・・1歳

 マナ・・・100

 適性・・・無、風

 体力・・・40

 知力・・・7

 (スキル・・身体強化)


僕は鑑定の結果を紙に書いてトム兄に渡した。

スキルは未だ目覚めて居ないけれどちゃんとある。

獣化はないけれど、身体強化は獣人が良く持っているスキルだ。然も、混血の為、風属性の適性まであった。(もちろんミミも無属性の適性がありマナも豊富だった。)

両親は内心、喜んでいるようだ。普通獣人は無属性以外の属性は無いのだ。

そんなこんなで、緊張も解けて、後は皆でワイワイ楽しく過ごした。久し振りに、家族の気安さと、暖かさに触れる事が出来た一日だった。



































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