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新サキュレス物語01B(淫魔王編)  作者: 淫魔の使い
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06S.アニマスの救出へ

新平君は、ソフィアが大食いでしたので、淫魔の「ネトリ(栄養補給行為)」のときに、大量の体液を、彼女の体内に放出しました。それに彼女は、大変満足したようでした。そして少しグッタリして居るときに、それが起こりました。彼女の具合が、少しおかしく成りました。身体からは、水分が抜けたように干からびて、彼女の唇が、カサカサに成りました。この兆候は、彼女が「新平君のことを認めた」為に、起きた現象でした。彼を彼女の本体に、会わせる為の、連れて行く為の変化でした。


ソフィアの目は、絶望に沈んで居ました。手足に輪切りのような線が、浮き出て来ました。そして喉元に、手形のような黒いアザが、浮き出て来ると、急にベッドが大きく沈みました。そして奴が来ました。それはビジョンのような人影でした。彼女の首を掴むと、そのままベッドから引きずり下ろしました。そして片手で、彼女を引きずったまま、2階の窓から見えた、あの暗くて陰湿な、恐ろしい場所へと、彼女を連れて行こうとしました。


「ソフィア」の手足は、動かなく成り、やがて無く成りました。彼女の身体は、少女のように小さく成り、あの時代の死を迎えた「ソフィアン」に、変わりました。そのときに、綾さんの声が、聞こえました。「後を追って、あの子を助けて欲しい。」と、言いました。奴のビジョンは、彼女を掴んだまま、あの恐ろしい場所まで連れて来ると、地下室へと降りて行きました。


どうやら、あの暗くて陰湿な場所は、あの時代のソフィアンが、閉じ込められて死を迎えた、地下室へと繋がって居ました。そのビジョンは、地下室の扉のかんぬきを外して、扉を開けると、中に彼女を放り込みました。そしてそのビジョンは、そのまま扉を閉めると、閂を掛けました。そして階段を上がって、外へ出ました。するとその異様な姿が、消えました。


追い付いた新平君は、ドアの前に立ち、閂を外すと、ドアを開けました。中を開けると、つむじ風のようなものが、新平君の太腿に当たりました。彼は「何だろう」と、思いました。部屋の中を覗くと長い間、閉め切って居たような、強い匂いが、迫って来ました。正面には干からびて、ミイラ化した手足の無い、小さい少女のミイラが、扉に向かって、絶望した苦悶の表情を、浮かべながら、何かを叫んで居る姿で、佇んで居ました。


暫く、そのミイラを見ると、綾さんの声がしました。「彼女の〝アニマス(根源)″は、まだそこに有るので、早く水を飲ませて、救って欲しい。」と、言いました。ミイラを良く見ると、死ぬ直前の姿に、戻りました。


新平君は、彼女を抱き寄せると、用意された水の入ったペットボトルを直接、彼女の口に入れて、水を飲まそうとしました。しかし彼女には、もう水を飲み込む力が、有りませんでした。口の周りから、ボトボトと水が、流れ落ちました。すると綾さんの声が、聞こえました。


「新平さんが直接、口に水を含んで彼女の口の中に、注ぎ込んであげて。」と、言いました。「早くするように。」と、急かされたので、彼は自分の口の中に、水を含むと、口移しで彼女の口の中に、息を吹きかけるように、水を出しました。すると中々通らなかった水が、何度かやるうちに、通るように、成りました。


その為ペットボトルから、彼女の口の中に再度、水を直接入れようとしました。すると綾さんの声がして「新平さんの口移し以外では、水を受け入れられない。」と、言いました。その為、改めて何度も口移しで、彼女の喉の奥に、水を出し続けました。


すると綾さんの声は「彼女が拒み始めるまで、やってあげて下さい。」と、言ったので新平君は、やり続けました。最初は反応が無く、ただ流し込まれて居るだけでした。しかし次第に口が、動くように成りました。今では、彼の口から必死に成って、水を飲むように、成りました。


ペットボトルの水が、数本分無く成ると、ようやく拒むように、成りました。すると、綾さんの声がして「もうじき最後だから、彼女を強く抱きしめて欲しい。」と、言いました。そこで彼は彼女を、強く抱きしめました。すると小さなソフィアンは、彼の目をじっと見てから、静かに目を閉じました。そして動かなく成りました。


新平君の両手の中には、あのミイラの死骸が、残りました。良く見るとミイラの表情には、絶望した苦悶の表情が、無く成りました。彼女は、安らかな眠りに就きました。綾さんの声が言うには「彼女のアニマスは、この部屋で数百年間、新平さんが助けに来てくれるのを、待って居た。」と、言いました。そして今日やっと、その願いが叶えられたので、綾さん達の心の中に、残って居た暗いシコリが消えて「自分達の身にも、変化が現れた。」と、言いました。


「さぁ、最後の仕上げをしましょう。」と、綾さんの声が言いました。彼の足元には、彼女に貸して居た、彼の白いシャツが、落ちて居ました。綾さんの声は「死骸を集めて、そのシャツに包んで、埋葬して上げて欲しい。」と、言いました。この地下室の床は、石畳でしたが、奥の隅の床石が一部壊れて居て、赤土が露出して居る場所が、有りました。丁度そこには、スコップも土の上に、刺さって居ました。


綾さんの声は「そこが良い。」と、言いました。その為、新平君は、土を掘って穴を、開けて埋葬の準備を、始めました。床に散らばった、小さいソフィアンのミイラ化した手足も、拾い集めると、胴体と一緒に、白シャツに包みました。そして丁寧に、穴の中に埋葬しました。そして上から、土を被せて整えると、綾さんの声が、聞こえました。


「終わったら水を、上から掛けて欲しい。」と、言ったので足元を見ると、またいつの間にか、数本のペットボトルの水が、足元に置かれて居ました。そのペットボトルの水を、上から撒くと、凄い勢いで水が土の中に、吸い込まれました。それを何回か、繰り返すと、水が吸い込むのが、止まりました。


すると綾さんの声がして「これでソフィアンのアニマスは、完全に救われた。」と、言いました。綾さんは「ソフィアンのアニマスは、解放されて無事に、自分らの元に、帰って来た。」と、言いました。


「ソフィアン」は「淫魔王の第2アニマス」でした。そのツガイの相手が、どうやらあの盗賊団のボスで、名前を「群平グン・ペイン」と、言いました。彼は、発生したばかりの「淫魔王の第1アニマス」で有り、余り人間的な反応が、出来なかったのです。単なる本能だけで動く、単純ですが、極めて強力な「アニマス(根源)」でした。そして「淫魔王の本体にすることが出来る」唯一の存在でした。


その「群平とソフィアン」が、最初のツガイで有り、その女型めがたの2番目の転生態が、あの地下室に残された「ソフィアンの残留物」でした。それが「淫魔王の第4アニマス」の元でした。そのアニマスは、地下室に拘束され続けて、動けないので、様々な形に分裂して、男型おがたの2番目の転生態で有る「村田新平」を、探し出して、彼女のアニマスの元へと、彼女を開放させる目的で、遣わされたものが「黒崎綾」でした。


村田新平が「淫魔王の第3アニマス」でした。そして「淫魔王の2組目のツガイ」の男型として、壊れて分裂した自分の「ツガイの女型」の「アニマスの修復」を、行う「デュデス(役割)」を、持ちました。何故、そのように「淫魔王誕生の仕組み」が、奇怪なものに成ったのかは、謎でした。


新平君がこの地下室に、初めて入ろうとしたときに、中から、つむじ風のようなものが、彼の足に当たったのは「扉が、やっと開かれて彼が、中に入って来たので、彼女ことソフィーナのアニマスが、嬉しくて新平君に、抱き付いた為だ。」と、綾さんが教えてくれました。


今では、しっかりとソフィーナのアニマスは「新平さんのアニマスの中に入って居る。」と、言いました。これからソフィーナは「どこで亡くなっても、どんな場所で死んでも、直ぐに新平さんの近くに、転生して彼を容易に、見付けることが、出来るように成った。」と、言いました。


暫くすると、地下室の埋葬した場所の下から、何かが土を掘りながら、上に向かって、這い上がって来るような、音がしました。土が盛り上がり地上に穴が開くと、中から何かが出て来ました。良く見るとそれは人型でした。人間が這い出て来ました。その人型は女性でした。なんと素肌に白い男物のシャツをまとった「黒崎綾」が、出て来ました。


それは新しいビジョンと成り、這い出ると生まれたばかりの綾さんは、四つん這いに成り、逃げるように地下室を、抜けて行きました。そして階段を昇って外に出ると、誰かを探す為に、何処かに消えました。それが「黒崎綾」の誕生でした。


少し時間が経つと、新平君の耳元で、少し弱ったような綾さんの声が、聞こえました。「ここを出て直ぐに、自分の部屋に戻って欲しい。」と彼女が、言いました。彼は、言われたように地下室を出ました。暫く移動して、屋敷の砂場の有る中庭に入ってから、もう一度あの地下室の在った場所を、振り返って見ました。すると不思議なことに、あの場所一面が今では、すっかりと無く成って居ました。それは、綾さんの力でも、消すことが出来無かった場所は、問題が解決したので、自然消滅したようでした。

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