魔女の世間話
アルディフォリア王国の東、砂塵の混じった風が吹き荒ぶ荒野で、数人の魔女が世間話をしていた。
魔女たちの会合は荒野と昔から相場が決まっているのだ。
「聞いたかい聞いたかい?」
「聞いたとも聞いたとも」
「スノーホワイトが」
「冷たい眼差しの坊やが」
「また殺した」
「異世界の流れ者を」
「仲間を」
「新しい住人を」
「殺した殺した」
「これで何人目だい?」
「わからないわからない」
「わかるわけないさね。なんたってあの子は」
「そう、あの子は」
「あの子はスノーホワイトなんだから」
「でもまた来るよ」
「また来るさね」
「異世界の甘ったれの根性なしが」
「木偶の坊より使い物にならない阿呆が」
「来るよ来るよ」
「もうあの子だけじゃどうにもできない」
「大勢来るよ」
「どうするどうする」
「どうやって愚か者たちからこの世界を守るんだいホワイト」
「さあて、これはみものだね」
「ここんとこ、国どうしの争いがないから血に飢えてたとこだよ」
「こいつはいいね。あの坊やが戦えば、たくさん血が見れるってもんだ」
「支度しなくちゃ」
「血生臭い戦いを見る支度をね」
「ローブも杖も新調しなくちゃ」
「こりゃ大忙しだ」
「忙しい忙しい」
このやかましい会話は、風の音に掻き消されて国中の人間たちには全く届かなかった。