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ハイアングルとローアングル——写り方の違い

 ローアングルといってもアレはダメですからね!

 スカート姿の女子が階段を上るとき、下からスマホを差し入れて——みたいなのは犯罪ですから絶対にやめましょう。社会的立場もある大の男たちがその魅力に吸い寄せられていって、そして社会的に抹殺されていったのを反面教師にするのです。


 そういう『魔のローアングラー』ではなく、至極健全な写真の楽しみ方についてを書いていこうと思います。


 ◆ ◆ ◆


 さて皆さん、自分が全身写真を撮られるとき、どういうふうに写りたいですかね?


 顔デカ短足か。

 小顔脚長か。


 聞くまでもないと思います。

 全く同じ人物を写しても、短足にも脚長にも写せちゃう。それが撮影アングルのトリックです。

 普通、レンズというものは近くにあるものを大きく、遠くにあるものを小さく見せるものです(ていうか人間の眼もレンズの一種ですから、毎日自然とそのように見えています)。


 男目線で恐縮ですが、ある日、被写体を女性として全身写真を撮るとしましょう。

 基本的に平均身長は男の方が高い。なので男が普通に立ったまま女性へ向けてシャッターをパシャリとやった場合、だいたいがハイアングル気味になります。


 さて、そうしてできあがった写真に、おそらく被写体女性はノーを突きつけてくるでしょう。

「なにこれ! こんなのアタシじゃない! あんた写真ヘタすぎ!」

 と。

 まあその場で口には出さずとも、後日の女子会やらSNSでその撮った写真はボロクソにけなされるでしょう。


 なぜそうなるのか?

 ハイアングルで撮ってしまったからです。


 人間を上から写すということは、当然レンズに近くなるのは脚ではなくて頭ですよね?

 レンズというのは近くにあるものを大きく写し、遠くにあるものを小さく写します。


 つまり、ポートレート写真をハイアングルでやっちまうと、顔デカ短足写真ができあがるわけです。こういう写真をありがたがる人ってあんまりいませんよね。できれば脚長に写してほしいですよね。


 いくら写真が【真を写す】だといっても、真実の一部はどのようにも切り取れてしまうのです。前章で書いたレンズの圧縮効果による人混み偽造とかもですね。

 このハイアングル撮影による短足偽造もその一種です。


 ではこうならないためにはどうすればいいのか。

 逆をやればいいんです。


 ポートレート写真を撮るときは必ずローアングル。これを厳守すれば被写体はすらりと写ってくれるでしょう。

 もちろん冒頭にも書いたとおり、スカートの中を狙うのは厳禁です。

 で【この人物写真はローアングル】に、前章で書いた【人物写真は望遠レンズで】をプラスするのです。


 そうすることであなたの写真に写った人物は、小顔・脚長で、全体的に顔も体型も引き締まって見えるでしょう。おまけに背景では玉ボケがキラキラ光り輝いています。

 ローアングル、望遠レンズの力を借りて、ポートレート写真の正解にたどり着けるのです。


 これをプロ用の機材でやろうとすると、結構大変です。なにしろ高いカメラとかレンズって重いんですよね。それをローアングルに構えるとなると、足や腰がやばいことに。

 そんなときには、小型軽量高倍率ズーム機! これなら胸ポケに入るサイズで似たようなことができちゃいます。何ともお得ではありませんか。


 ◆ ◆ ◆


 さてローアングルローアングルと連呼していると、なにやらいかがわしい文章だと勘違いされてAIに誤BANされてしまわないとも限りません。

 話題を移しましょう。ローの反対といえばハイ。


 ハイアングルといえば俯瞰撮影。被写体を立体的に表現するならこれですね。

 ですがまあ、普通にその辺を撮影してもそこまで立体感って出てくれないんですよね。俯瞰を劇的に表現するには、やはり超高いところから地上を撮影すべきです。


 鳥瞰図ちょうかんずっていうジャンル名があるくらいなんですから。鳥が飛ぶくらい高いところから撮ってこそ、街を一望するような異世界感が得られるというわけです。


 では、お外へ出かけましょう。

 目指すはビルやタワーの展望台。


 高いところから眼下を撮影するなんて、タワマン高層階住みでもない限りはできませんからね(え? 職場がビルの高層階だから撮影できる? いやいや職場での撮影は1発アウトの可能性が高いですよ)。


 個人的なオススメとしてはやはり都庁ですかね。タダですし、晴れていれば富士山も見えますし。車はそこらにわんわん走ってますし。

 さて都庁展望台行きのエレベーターが到着したら、さっそく窓際に陣取りましょう。

 そして眼下に向けてシャッターを切るのです。


 これが普通のスマホカメラなら、地上をゆく人々なんかは豆粒のごとし。車だって指先のごとき小ささでしか写りません。

 ですが高倍率ズーム機ならそんなあれやこれやもばっちり鮮明に写せます。

 何やらごちゃついたビルの屋上も! 普段あまりお目にかかれないバスの屋根ルーフも! 相手が身長2メートルの兄ちゃんだろうとその脳天だって見えちゃいます!


 それが高所からの高倍率ズームによるハイアングル撮影。

 小説を書くにしても、絵を描くにしても、こういうアングルの違いによる見え方の違いってのは体験してみて良かったと思いました。


 考え方の幅が広がる。発想の幅が広がる。

 というより純粋に楽しい。


 展望台に昇り、鳥になった気分で地上を激写するのです。そこにはきっと思いがけない発見と面白みが待っているはずです。


 なお決して、展望台での撮影中に

「人はゴミの——」

 みたいなことをつぶやいてはいけません。カメラを持っている人間全体がそんな人種であると思われてしまう可能性があります。なにごとも節度を心がけましょう。


 ◆ ◆ ◆


 あとローアングルで書き忘れましたが、なにも被写体を人間に限る必要はありません。

 花や虫をローアングルというか地面すれすれで撮るのも効果的です。

 むしろ自分としてはそっちが本番。


 何かと忙しい現代人、匍匐ほふく前進でもしなけりゃ地面すれすれのアングルなんて目にすることはありません。

 なので、人間は花を見るときは基本的にハイアングルからになります。


 じゃあそこを超ローアングル撮影して、まるで小人がお花を見上げているように写したら……それは他人の写真とはひと味違って見えるでしょう。


 そのようにしてあらゆるものを地面すれすれアングルで撮りまくり、できあがった写真をざあーっと並べて鑑賞してみましょう。すると普段見慣れた風景が、全く別の巨人国へ迷い込んだかのように見えてきてしまうのです。

 ただ写真のアングルを変えるだけで、小人やら巨人の気分を味わえてしまう。これも一種のロールプレイってやつです。


 ですがまあしつこいくらいに書きますが、ローアングル撮影をするときには充分周りに注意しましょう。スカートの中を取るのは犯罪ですからね。撮るつもりがなくても、ついうっかり射線上にミニスカートの女性がいた——なんてことも考えられます。

 周囲に気を遣いながらアングルの変化を使いこなし、どうか楽しい写真ライフを。


 ◆ ◆ ◆


 このように、高倍率ズーム機デジカメでハイアングルとローアングルを使い分けると、写真の表現力は無限に広がっていくのです。

 世界の解像度が上がること間違いナシ!

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