同僚と二人、オーパーツを目の前にして思うこと
「なろうラジオ大賞3」応募作品のため、1000文字以内の作品になっています。
あのさ、オーパーツって知ってる?
有名なところでは、水晶の髑髏や黄金のスペースシャトル、錆びない鉄とか。
ほら、たまにテレビの特番でやってるじゃん。
最後は、信じるかどうかは〜みたいな感じで終わるアレよ。アレ。
英語の『out-of-place artifacts』の略なんだって。
で、今、私と同僚の目の前にはそのオーパーツってヤツがあるわけよ。
……あっ、今、こいつらヤバい奴だって思ったでしょ?
本当なんだって。ちゃんと最初から説明するね。
まずは自己紹介から。
私の名前は……まぁ、いいか。田舎の小学校で教師をしてます。
大学卒業してこの小学校に赴任して、今年で五年目。
新米教師をやっと抜け出したところって感じかな。
というわけで、私も同僚も考古学者ではないし、もちろん私たちのいる小学校で遺跡が発掘されたわけでもない。
でも、今、目の前にはオーパーツとしか言いようのないものが鎮座している。
それが私のもとに持ち込まれたのは、まだ暑さの残る夏の終わり。
持ってきたのは私が担任をしているクラスの少年だった。
ちなみに私が担任をしているのは小学四年生だ。
その子はいつも元気いっぱいで、休み時間になるとチャイムと同時に外に飛び出すような子だった。
ちょっと生意気でお調子者な所もあるけれど、明るくてお友達もたくさんいる、ごく普通の小学生。
そんな彼が少し青褪めた顔で教壇に立つ私にソレを差し出したのだ。
よく見るとソレを持つ指先も震えていた。
ソレはとても美しく精巧な代物だった。
寸分の狂いもなく組み上げられたボディ、全面に施された鮮やかな彩色、継ぎ目の見当たらない滑らかな表面。
唯一あるスリットから内部を除くと何やら歯車のようなものが僅かに見えたけれど、それの意味するところはその場ではわからなかった。
迂闊なことは言えない。
そう思った私はその場では彼からソレを受け取るだけに留めた。
そして、放課後。
私は信頼のおける同僚と二人きりで、ソレと向き合っていた。
夕日の差し込む教室で、ソレは真っ赤に染め上げられていた。
「いや、どう考えてもこれは親が作ったヤツでしょ」
「だよねぇ。もうちょっと手を抜いて作って欲しいよね」
私たちの目の前には夏休みの宿題の貯金箱が置かれていた。
小学生が作ったとは思えないクオリティのものが。
オーパーツ
その言葉の意味するところは……『場違いな工芸品』
……ちなみに仕掛けは入れた硬貨を仕分けてくれるというものでした。
夏休みの宿題のあるあるですよね。